1000億円の取扱高めざすクルーズの「SHOPLIST」事業、今後の施策&2019年3月期の業績まとめ
ファッションECサイト「SHOPLIST」を運営するクルーズは5月13日、長期目標として掲げている「SHOPLIST」事業の年間取扱高1000億円の達成に向け、2019年度以降の施策を公表した。
2019年9月をめどに、大半の注文で配送日数を受注後3日以内に収める。新規顧客を年間100万人ペースで獲得することや、有名ブランドの新規出店を増やしていく方針も示している。
新倉庫への移転が完了し出荷能力3倍に
2018年下期に実施した、神奈川県相模原市内の新倉庫への移転作業は、2019年3月末までに完了した。出荷能力は従来の約3倍に拡大し、年間取扱高1000億円を実現する基盤が整ったとしている。
また、新倉庫が稼働したことで預かり在庫の保管キャパシティが拡大。2020年3月期の第2四半期中(7~9月)には、売上高の9割を構成する商品を、注文後3日以内に配送できるようになる見通しという。3日以内配送の達成割合は2019年4月時点で56%。
年間100万人ペースで新規購入者の獲得目指す
年間取扱高1000億円の実現に向け、年間ユニーク購入者数500万人の早期達成をめざす。2019年1~3月期(第4四半期)時点の年間ユニーク購入者数は約186万人。
今後、新規購入者を年間100万人のペースで獲得するため、広告宣伝費や販売促進費などの投資を継続する。
有名ブランドの出店促進、3年で300ブランドも
クルーズの小渕宏二社長は5月13日に業績についてメッセージを公表し、ユーザーに認知があるブランドを「1年で30ブランドは最低獲得したい」と表明した。今後は営業担当者を増員し、 「3年少々で300ブランド獲得したい」としている。1つのブランドの年間取扱高の平均を8000万円と仮定し、「300 ブランドで(年間)240億円を今よりも積み上げられるポテンシャルがある」との見通しを示した。
通期売上高は16%増の249億円、第3四半期以降に成長ペース鈍化
2019年3月期における「SHOPLIST」事業の売上高は、前期比16.4%増の249億6600万円。四半期ごとの売上高の増減率(前年同期比)は、第1四半期が20.9%増、第2四半期が26.9%増、第3四半期が16.3%増、第4四半期が1.6%増と推移した。
第3四半期以降の増収率が低下した一因は、倉庫移転に伴う物流の混乱で、2018年11月から2019年1月にかけて最大2日の配送遅延が発生したこと。これにより購入率の低下が発生したほか、予定していた広告投資を抑制せざるを得なくなり、売上高の伸びが鈍化したという。
倉庫移転の混乱もあり営業赤字
「SHOPLIST」事業の営業利益は3億3500万円の赤字だった。新倉庫の地代が移転前と比べて月間約6000万円増えたことに加え、第3四半期以降に送料無料キャンペーンを過度に実施したことで、配送料の負担が月平均と比べて2500万~4500万円増えたことが収益性の悪化を招いたとしている。