気象データ+AI技術で生鮮食品の需要予測と自動発注を実現。日本気象協会が提供を始めた自動発注支援サービスとは

日本気象協会は気象予測を活用した生鮮食品の自動発注支援サービスを開始。野菜・果物の自動発注システムをマックスバリュ東海全店舗が導入した

瀧川 正実

2023年11月2日 9:00

一般財団法人日本気象協会(JWA)は気象データを活用した生鮮食品の自動発注支援サービスを開発し、企業への提供を開始した。

自動発注支援サービスは、「気象データ」「販売データ」「歳時記データ」などから、発注推奨数を導入企業にシステムを通じて提示。導入企業は、販売機会ロスの削減、発注業務の負担軽減、接客などのより付加価値の高い業務へのリソース投入などが期待できるという。

一般的に賞味・消費期限が短い生鮮・日配品の領域は日々の需要予測精度が重要で、野菜や果物などの需要は気温や相場・企画などの影響に大きく変動するため需要予測が難しいとされている。また、市場仕入れや産地の違い、店内加工などにより販売・発注コードが十分に整備されてないため、自動発注が難しい領域とされてきた。

JWAは2018~2022年度にかけて、気象データとAI技術を活用した生鮮食品の需要予測、自動発注の実現に向けた研究開発を推進。同時にマックスバリュ東海と実証実験を重ねてきた。

一般財団法人日本気象協会(JAW)は気象データを活用した生鮮食品の自動発注支援サービスを開発し、企業への提供を開始
自動発注支援サービスの仕組み

2022年10~11月にマックスバリュ32店舗の農産部門(野菜・果実)の約100カテゴリー、約700品目を対象に、日別の発注推奨数の配信実験を実施。その結果、発注作業時間で19.4%の改善効果があった。また、発注推奨数の商品74%をそのまま採用し、対象カテゴリーの廃棄金額では5.7%の改善があったという。

そこで、2023年7月から配信実験店舗を130店舗に拡大。在庫日数の改善効果もあった。実証実験に参加した発注担当者からは、「打ち込み(入力)作業が減り、確認と修正作業を行うだけなので明らかに楽になった」「在庫に関しては目に見えて減った。回転率と鮮度が上がった」「配信がないと約2倍の時間がかかる」といったコメントがあがったという。

一般財団法人日本気象協会(JAW)は気象データを活用した生鮮食品の自動発注支援サービスを開発し、企業への提供を開始
自動発注支援サービスの導入効果

なお、マックスバリュ東海は2023年11月から、マックスバリュ東海全店舗において農産部門における自動発注の導入を決定。今後、相場や販促・年末年始などの突発変動への対応も含めて発注精度の向上を図る。また、畜産・水産部門への拡大を予定している。

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