実店舗でもECでも、ユーザーの購買意欲というのは着々と変化していきます。購買意欲が高い可能性の時期の1つが、「検索している瞬間」です。実店舗でいえば店員に話しかけている時と言えます。検索はかなり積極的な人の行動です。それだけにユーザーを理解しやすく、加えて商品を提案するタイミングとして最良な時期。つまりECにおける商品検索というのは、「ユーザーを理解する」「商品提案をする」という2つの要素があり、これをマッチングすると最適な“接客”ができるようになります。

実は、“サイト内検索”が「商品知識」「ユーザーに関する知識」のマッチングを実現させる

前回までのおさらい(参照記事

  • ECサイトで実店舗のような接客を実現するためには、商品知識とユーザーに関する知識が重要
  • ユーザーに関する知識は商品検索というインターフェースが重要

今回は、商品知識とユーザーに関する知識を得たECサイトを、経営者&担当者はそれをどう活用し、商品購入につなげていくかを解説していきます。

その先のステップは、結論から言うと、得た知識をマッチングということです。そもそも、商品知識とユーザーに関する知識は、良いマッチングをするために必要とするものだからです。

ECサイトには「3大機能」というものがあります。

  • 商品検索
  • 決済
  • 配送

このうち「決済」「配送」は、ユーザーが購入を決意した後に発生するプロセスですよね。「3大機能」のうち、ユーザーがECサイトで商品を購入するかどうかは、「商品検索」のみが左右するのです。

「商品検索」は、「検索」というキーワードから、なんとなく「ユーザーが頑張って商品を見つける」という印象を受けますよね。訪問者が能動的に商品を探さなければ、ほしい商品を見つけることが難しいという性質がECサイトにはあります。だから、レコメンドなどの需要があるわけですが……。

そのため、本来は店舗(ECサイト)からの提案の方がより重要なのです。それはつまり、“接客”。実店舗の多くでは、「売る側」が「接客」を通じて提案を行いますよね。

もちろん実店舗でも「接客」という機能を省くことでコストを削減し、それを商品価格に反映するというアプローチは有用です。「自分で商品を探すことで価格が安くなるならその方がありがたい」と思うユーザーは、ある一定の割合で存在するのは間違いありません。

もともとECは、そういった「コスト削減によって安く買える」という方向性が強かったものでした。

家電などがわかりやすい例です。無店舗の家電系通販は、店舗や店員コストがないので、“家電が安く買える”という差別化で成長した市場です。

しかし、安さだけを求めるユーザーがすべてではありません。家電販売最大手で、ゼロスタートの検索エンジンを導入しているヤマダ電機は、「ネット通販に対抗した値下げをやめたことで30%の増益を達成した」というトピックがありました。

これは、「商品検索やスペック調査などが面倒でも少しでも安い方がいい」というユーザーだけではない、「接客」を重視するユーザー層の存在を開拓したことを示唆しています

そしてECを最近使い始めたユーザーほどそういった傾向、つまり「接客」を求めている傾向が高いというのが私の感想です。ECサイトは、ユーザー数の拡大によって求められている方向性が変わってきているということなんです。

マッチングは「差を埋める」「差を生かしていく」という2つアプローチが重要

商品とユーザーに関する知識をもとに、良いマッチング(商品検索)をめざすのは、ECでも実店舗でも同じです。とはいえ、アプローチは異なります。やはり双方のメリット・デメリットがあるからです。

大きな違いはユーザーに関する知識の差です。特定の商品については、店舗とECサイト、それぞれ「わかりやすい」「わかりにくい」といった現象が生まれることが多々あります。

EC事業者が採るべきアプローチは、「差を埋めようとすること」と「逆にその差を生かしていく」という2つ方法が重要となります。

差を埋めるためのアプローチ

“ECサイトだけでは伝わりにくくわかりづらい”。こういった「差を埋めようとすること」ものについては、いわゆるオムニチャネルと呼ばれるマーケティングによるアプローチが近いです。いまのところ、オムニチャネルは単なる「ECで買った商品を店舗で受け取る」という配送部分の利便性を向上するだけのケースが多いのですが、本来は配送ではなく、商品検索の向上に生かすのがより本質であるといえます。

ECにおけるユーザーとの接点、実店舗におけるユーザーとの接点の両方を融合し、より良いユーザーへの「アプローチ=商品検索」の向上をめざすという本来のオムニチャネルは、これからが本番でしょう。

差を生かすアプローチ

ECならではの強みを生かすということです。たとえば、ECであればユーザーの検索条件やページ遷移などの行動を逐一記録して分析することができます。いわゆる、ビッグデータと呼ばれるものです。

また、ECの場合、ユーザーと商品のマッチングについて仮説がある場合、それをA/Bテストとして行い、結果を精査することも取り組みやすいアクションといえるでしょう。

ただし、こうしたことは、ECと実店舗の条件に違いがあるためであり、「あるユーザーに」「どの商品を」提案すべきかは、本質的には同じです。

マッチングのロジックを向上させていくのは終わりのないステップです。それこそが、マーチャント(お店)のノウハウであり、財産であると言えます。

ただ、もう1つ重要な要素があります。

「あるユーザーに」「どの商品を」という条件のほか、「いつ」提案するのかというタイミングも同じくらい重要なのです。

そもそも1年前と今日では、提案すべき商品が異なる可能性はかなり高いですよね。こうした「時期」による「提案すべき商品の変化(推移)」も重要ですが、それはむしろマッチングロジックに含まれる要素としての「いつ」です。

ここで示した「タイミング」とは、ある時点でのユーザーに対し、提案すべき商品を定めたと仮定した場合、それをどのタイミングで提案すれば一番購入してもらえる確率が高いのか、ということです。


今回はECにおけるマッチングとタイミングの重要性について述べました。次回は具体例を挙げて、どうマッチングの精度を向上していけばいいのかについて解説していきます。

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山崎 徳之

ZETA株式会社

山崎 徳之(やまざき・のりゆき)
株式会社ゼロスタート 代表取締役社長

青山学院大学卒業後、アスキー、So-netなどでネットワーク・サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータホテルを構築・運営の後、海外においてVoIPベンチャーを創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現株式会社ゼロスタート)を設立、代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZERO ZONE」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発・販売している。

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