レコメンド精度だけがいいのは“ダメECサイト”。商品マッチングは「UIの一般化」が重要
「見つけたい商品が確実に見つかるECサイト」ってどうすれば実現できるのか。それは、UI(ユーザーインターフェース)を充実し、ニーズに対応したマッチングロジックを蓄積していけばなんとか実現できます。でも、それは長い道のりですが、まずここをクリアしなければECとしてスタートラインに立てません。さて、ユーザーのニーズと商品をうまくマッチングするには、どうすればいい?
マッチング精度を上げるには「UIの一般化」か「専門業者を利用する」
結論は2つです。
- 「知っている商品とのマッチング」を確実に達成し、検索精度を向上させる。検索精度を向上する方法には、UIの一般化(たとえば、入力ハードルを下げる、サジェスト機能やドリルダウンの搭載など)が必要。
- ゼロスタートのような専門業者を利用する。
「見つけたい商品が確実に見つかるECサイト」を実現するには主にこの2つの方法があります。前者はコストが抑えられますが、時間と労力がかかります。後者は業務・システムを外部企業にアウトソースするので短期導入が可能です。
「見つけたい商品が確実に見つかるECサイト」になるために必要なこと
なぜ、「見つけたい商品が確実に見つかるECサイト」にする必要があるのかその理由や方法を解説します。
商品のマッチングは大きく「知っている商品とのマッチング」と「知らない商品とのマッチング」にわけられます。前者はそれを見付けられるかどうか、後者はそもそも知らないけれども知ったら買いたくなるであろう商品を提案できるかどうかです。
また後者はさらに細分化すると、「趣味・嗜好にあっている」「定番だけど商品知識が低いから知らない」というケースもあります。
マッチングにもさまざまなケースがありますが、「見つけたい商品が確実に見つかるECサイト」になるには、まずは「知っている商品とのマッチング」を確実に達成する必要があります。
知っている商品を見つけるのは難しいけど、いいオススメ(レコメンド)が表示されるECサイトは、はっきり言って“ダメなサイト”です。検索がダメでレコメンドを強化するというのは、意味がないとは言いませんが、やるべきことが前後しています。
「マッチング」はキーワードによるヒットの改善がありますが、それよりも「ユーザーの操作の余地を増やす」ということが重要です。
実店舗であれば、「こういうのがいい」「予算は」「色は」「少し待てば入荷するなら待つ」といったニーズを店員に伝えることができますよね。でも、ECでキーワード検索ボックスしかない場合、消費者が感じている詳細なニーズってあまり入力されません。
では、どうやってマッチングの精度を上げればいいのか。マッチングには商品知識に加えてユーザー理解が重要ですが、そのためにはユーザーを理解するためのインターフェース、すなわちUIを強化する必要があるのです。
お客の話を聞かない店員より、聞く店員の方が良い接客ができるのと同じ理屈です。入力してもらった貴重なユーザーの情報について、それにマッチした商品が表示されるようにマッチングロジックを向上させる必要があるのですす。水と入れたら化粧水や撥水マットではなく、飲料水がきちんと表示させるようにする、といったロジックです。
簡単に「マッチングロジック」を向上させる方法を手順化すると……
- ユーザーが自分の情報を伝えられるようにインターフェースを充実させる
- そのインターフェースから入力された情報を正しく処理できるようにする
つまりUIとマッチングロジックの2つはどちらも重要だということ。良いUIなくしてはマッチングが成立しないんです。UIが良くてもロジックがダメならやはりダメですが。
しかし、ロジックはとにかく蓄積が重要なので、「こうすればOKです」というのは難しいです。でも、UIの一般化はECサイト側で十分にできる対策です。
UIの一般化に向けて、情報を入力してもらうためのハードルを下げる
ECではないWebやネットサービスのUIも通じるところで、そもそも情報を入力できないのは論外ですが、情報を入力させるためのハードルを下げるということは注意しておきましょう。
マッチングの1つの方法としてわかりやすいのが「サジェスト」です。文字入力しただけで、“おそらくこれですか”と候補を表示してくれるのは、察しの良い店員のようなもの。ユーザーの負担やストレスは減るでしょう。
しかも、サジェスト内容にマッチングロジックが生かされてパーソナライズされているとしたら、それはとても良い商品検索の機能です。
またドリルダウンも同じです。たくさんある商品から選ぶのですから、価格、色、評価、発売時期、機能などいろいろな面から絞り込みするのは重要です。
ドリルダウンと近いですが、ソートの種類も同様です。もちろん色などの、ドリルダウンにはなるけれどソートにはならない、というものもあります。
こうした機能をそろえ、次にやるべきは、いわゆるお薦め商品を表示するレコメンドです。
次回はマッチングのなかでも、オススメ・レコメンドについて触れてみます。