楽天の年間流通額を1日で超えた中国の「独身の日」まとめ[EC流通額は約2.7兆円]
ネット通販各社による大規模セールが行われた中国の「独身の日」商戦。阿里巴巴集団(アリババグループ)のECモール「天猫」では1207億元(日本円ベースでは約1兆8708億円)の流通総額(GMV)を記録。京東集団(ジンドン)や蘇寧電器といった大手ECサイトの流通総額を合わせると、1日で1770億元(日本円で約2兆7441億円)もの買い物が中国のECサイト上で行われたそうです。11月11日の中国EC市場における流通総額、主なトピックなどをまとめました。
楽天の年間流通額2.6兆円を1日で抜く「独身の日」
「独身の日」(別称はダブルイレブンやシングルズデー)はアリババグループがネット通販の普及を目的に2009年から開始した商戦イベント。現在は中国の他のECサイトも大規模セールを仕掛けています(ちなみに、京東集団は6月18日が会社設立記念日で、その日にも大規模セールイベントを行っています)。
中国では12月12日(ダブル12)など年間を通じていくつもの大規模セールが行われていますが、最も大きいとされるのが「独身の日」。2016年の「独身の日」は、中国のEC専門メディア「ebrun」によると、1日で1770億元もの買い物が中国のECサイト上で行われたそうです。
「楽天市場」など楽天の国内EC事業における流通総額は2兆6748億円(2015年12月期)。日本最大手のECプラットフォームの楽天さんが1年間で流通させる取扱高を、中国EC市場は1日で突破した計算になります。
アリババグループが発表している情報、「ebrun」が報じた大手EC企業の流通額をまとめると次のようになります。
- 天猫(Tmall)→ アリババグループが運営するBtoC型のECモール。天猫国際(Tmall Global)は越境EC専用チャネル。
- 京東(JD.com) → 直販モデルで中国最大手。海外企業向けのBtoCオンラインショッピングサイト「京東全球購(JD Worldwide)において、日本製品専門サイト「日本館」を2015年に開設し。ヤマトホールディングスも提携している。
- 蘇寧(suning.com)→ 中国の家電量販店である蘇寧電器が運営するECサイト。中国EC最大手アリババグループも出資している。
- 国美(GOME)→ 中国の家電量販店である国美電気。ビッグカメラと提携し、2015年にECサイト「国美海外購」内に日本製品を専門に扱う越境EC「国美海外購日本館(日本館)」を開設している。
- 1号店(Yihaodian) → 米小売り大手ウォルマート・ストアーズの子会社だったが、2016年に京東集団が買収した。
- アマゾン中国(amazon.cn)→ Amazonの中国サイト。
中国郵政局(旧郵政省に相当)の調査によると、「独身の日」当日、各大手ECサイトでの注文によって3.5億件を超える配達/物流オーダー数が発生し、前年比59%も増えたといいます。
また、イベント当日に各郵便局や宅配企業が処理した件数は2.51億件で、2015年比で52%も増加。11月11日から11月16日までの6日間で、処理する配達件数は10.5億件を超える見通しです。
「ebrun」によると、2016年の「独身の日」は、例年に比べて販促方法などに大きな変化が見られたそうです。例年、各プラットフォームでは「5割引き」といった大型割引の実施をイベント参加の必須条件としていましたが、2016年は「代引き」「高品質の顧客サービス」など顧客サービスを提供する店舗の参加を重視しました。
また、例年は各大手プラットフォーム同士が“口撃”し合う「広報戦」が繰り広げられていましたが、2016年は影を潜めたそうです。各プラットフォームは国内外のスターを招き、イベントの生放送などを通じて祝日のようなショッピング雰囲気を醸成。販促ためのエンタテイメント性を重視していました。
アリババと京東が公表した「独身の日」の数値やトピックは次の通り。
名称 | 天猫 | 京東 |
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流通額 | 1207億元 | 402億元 |
伸び率 | 32.3% | 59% |
モバイル比率 | 82% | 85% |
主なトピック |
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