「SHOPLIST」は規模拡大を優先――「売上最大化に投資し利益は出しません」と宣言
ファッション通販サイト「SHOPLIST」を運営するクルーズは、ECやオンライントラベルなどクループの流通額が1000億円を超えるまで、単年度の利益の全額を投資に回す計画を発表した。
事業規模を拡大することが長期的な利益の最大化につながると判断。短期的な利益の確保よりも市場シェア拡大を優先する。現在の売上高が約210億円の「SHOPLIST」は、年率30%以上の成長をめざす。
米Amazonが短期的な利益確保よりも成長への投資を優先していることを引き合いに出し、「SHOPLIST」の市場シェア拡大を優先することがクルーズの最終的な利益率向上につながると指摘。利益の全額を投資する理由について、IR資料で次のように説明している。
10億を1年で使っても2億ずつ5年かけて使っても使う金額は同じです。同じ金額を投資するなら我々はスピードを優先し、今後は全ての利益を売上拡大に投資します。
ゲーム事業売却で2018年3月期は減収減益
クルーズの2018年3月期における連結売上高は、前期比10.6%減の254億8600万円だった。営業利益は同65.5%減の7億2500万円、経常利益は同66.9%減の7億200万円、当期純利益は同96.7%減の1億500万円。
ゲーム事業の大半を売却したことなどが影響し、売上高と利益が減少した。2019年3月期からEC事業の強化と、ECに次ぐ第二・第三の柱の創出に取り組んでいる。
「SHOPLIST事業」の2018年3月期における売上高は、前期比12.6%増の214億5500万円だった。
中期事業方針として、「SHOPLIST」の年間ユニーク購入者数500万人、1人あたりの年間購入金額2万円をめざす。
年間ユニーク購入者数は2018年3月期の第4四半期時点で約160万人。計画を500万人に設定した根拠として、日本国内の16~45歳の総人口約4600万人のうち、11%にあたる500万人は達成可能と判断したと説明している。
年間購入金額の計画は、「SHOPLIST」における1回あたりの平均購入金額が約5000円であることから、顧客が春夏秋冬の季節ごとに年4回買い物することで達成できるとしている。
年間ユニーク購入者数と年間購入単価を目標に設定した理由として、リピート率を先に改善することで新規ユーザーの定着率が上がり、効率的に売り上げを伸ばせることをあげている。
中期事業方針を達成するため、2019年3月期は配送日数の短縮や、キャンセル・返品に関する問い合わせ件数の削減に取り組む。
「SHOPLIST事業」の売上高は4年で2倍以上に拡大した。四半期ごとの売上高は約40億~62億円で推移しており、2018年3月期はすべての四半期で前年同期を上回った。
通期のプロモーション費用の売上対比は16.1%。第4四半期にプロモーション費用が増えた影響で、理想値(設定時点での理想の値)を2.6ポイント上回った。リピート率改善の兆しが見えたことから、プロモーション費用の増額に踏み切ったとしている。