ワークスタイルハンター藤田の【突撃!御社のNewな働き方】

飛行機通勤もOK! リモートワークとコミュニケーション深化の両立を実現するEC会社「Hamee」の働き方改革

Hameeは小田原オフィスに新幹線などの利用を可能とした制度「いざ!小田原」を2020年10月から開始。通勤に新幹線や飛行機、特急列車などを利用でき、1か月の交通費の上限は5万円

藤田遥

2020年12月16日 9:00

スマホケース「iFace」などの企画・卸販売、ECや「ネクストエンジン」の開発・提供を手がけるHameeが、新しい働き方の一環として始めた、小田原オフィス出社時に新幹線や飛行機、特急列車などを利用できる制度「いざ!小田原」。遠方に居住する社員の出社に対するハードルを下げ、「社員同士のリアルなコミュニケーションの機会を増やす」のが目的。新しい働き方における社員同士のコミュニケーションを模索するHameeの取り組みを取材した。

「いざ!小田原」は通勤時間がネックになる社員も出社しやすい制度

退社を取りやめた社員やマイホームを建設予定の社員も

2020年10月から開始した「いざ!小田原」は、通勤時に新幹線や特急電車、高速バス、飛行機などを利用できるようにした正社員対象の新制度。利用条件は、従来の通勤時間よりも1分でも通勤時間を短縮できること。1か月の利用金額上限は5万円。

Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
2020年10月から開始した「いざ!小田原」制度(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

この制度の特徴は「ライフスタイルに合わせて使える点」。Hameeには小田原周辺地域2市8町に居住する社員に対し、月2万円を支給する居住手当「小田原手当」がある。独身で1人暮らしの時は「小田原手当」を利用しオフィスに近い小田原近辺に住む、出身地に帰る・結婚を機に遠方に移住する時などは「いざ!小田原」制度を利用する――といった使い方ができるという。

実際に、群馬出身の社員が「いざ!小田原」制度ができたことで群馬に家を建てることを決心。結婚を機に広島へ移住するため退社予定だった社員は、リモートワークメインに切り替え、制度を活用して月1回出社できるようになったことで、退社を取りやめたケースもあるという。

全社員の約半数は「小田原手当」を利用しており、元々小田原近辺に住んでいる社員が多い。全社員のうち「いざ!小田原」制度利用者は25名ほど。EC部門に限ると19人のうち2人という。

リアルなコミュニケーションを取りやすくしたい

制度導入の理由について、高倉裕直氏(みらい創造部 広報担当)は「社員同士でリアルなコミュニケーションをしてほしいため」と説明する。Hameeは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月下旬からリモートワークをスタート。出社機会が減少、特にオフィスから遠い地域に居住する社員は通勤時間がネックになるため、出社しにくい状況という。新制度を設けることで、「遠方に住んでいる社員の出社ハードルを下げる」狙いがある。

リモートワークをしていても、リアルに集まってコミュニケーションを取りたいという場面があります。そういうときはやはり小田原に集まって、顔を合わせてコミュニケーションをとってほしい。そうすることで、互いの信頼関係が高まり、業務のやりやすさやスピード感も違いが出てくるし、アイデアを一緒に考えることもできます。結果的に事業成長にプラスに働いてくると考えています。(高倉氏)

出社数を抑えていることもあり、約200人いる全社員の出社数は1日30~40人ほど。EC部門の平均出社回数は週1~2回、作業内容によって出社回数にばらつきはある。商品撮影や対面での商談が必要なメンバーを優先的に出社できるよう調整しているという。

リモートワークで「情報共有意識」が高まる

EC事業部における業務への影響について、内田雅也氏(Webマーケティング部 マネージャー)は「特に大きな問題や社員からの不満などはなかった」と言う。その理由について、「新しいことにチャレンジすることが好きな社員が多かった。テスト的に調整しながら導入してみようと社員が思えたから」と内田氏は話す。

また、EC部門の顧客対応は別部門が行っており、PCがあれば自宅でも業務ができる状況だった。そして、コロナ前からチャットワーク上でやり取りをしていたこと、以前からコミュニケーションを通じた信頼関係が成り立っていたことが大きいという。

気軽に長く続けられる方法でコミュニケーションを維持

しかし、リモートワーク長期化による「コミュニケーション面で懸念はあった」と内田氏。ミーティングの回数が減ってしまい、人と話す機会がなく1人で作業を行うメンバーも出てきていたという。

どうやって部署内やチーム内でコミュニケーションの機会を作り、お互いの信頼関係を維持していくかという点には気を遣っています。(内田氏)

EC部門では、コミュニケーションを円滑に行うための取り組みを模索。オンラインで行っている朝礼では業務報告や情報共有以外に、あらかじめ提示したお題にそってスタッフ1人ひとりが話す時間「部内1分間スピーチ」を設けているという。

「リモートワークを続ける中で、社員同士が『情報共有をきちんとやっていかなければ』という気持ちが強くなったことは大きい」と内田氏。業務内容だけでなく、その日に感じたことを一言添えて投稿する日報、雑談もできるチャットなどを用いて、気軽に長く続けられるコミュニケーション方法を模索しているという。

リモートワークを行う前と比べて、社員1人ひとりが「意識的にコミュニケーションを取ろう。情報をこまめに共有しよう」という意識が強くなったことは良かったと思います。また、そうした変化によって、仕事に対する意識も高まり、業務上の問題点や課題点を明確にし、「もっと取り組んでいかなければ」という前向きな姿勢が強まってきました。(内田氏)

自由度が高くなった「フレックスタイム制」が好評

Hameeは「フレックスタイム制」も導入している。以前は9時30分から18時30分までの定時制だったが、10時から16時までをコアタイムとした。リモートワーク時でも継続しているという。

フレックスタイム制を導入したことで、業務の自由度が向上し「メリハリを付けて働けるようになった」と社員からは好評。また、残業時間の削減にもつながっているという。

Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
小田原付近(2市8町)に居住する社員に手当を支給する「小田原手当」のほか、コミュニケーション制度として、会社の補助で部署や役職を超えて食事に行くことができる制度「ファン★ごはん」などを行っている。現在はオンラインでも開催しているという(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

オフィスをリニューアルし「出社して良かった」と思える環境作り

高倉氏は「元々コミュニケーションを取ることが好きで、それがモチベーションになっている社員も多い。そうしたコミュニケーションの場を積極的に作っていきたい」と語る。

Hameeは小田原オフィスを2021年にリニューアル予定。社員の働きやすさや多様性をきちんと確保しつつ、「出社して良かった」と思える環境作りを進めると言う。リニューアルの理由について、高倉氏は次のように説明した。

リアルなコミュニケーションをずっと大切にしてきたし、これからも大切にしていきたい。そのためにも、今以上にワクワクするような仕掛けや働きやすい環境をつくることで、より満足度の高い出社体験ができるオフィスへと進化させていきたいと思っています。(高倉氏)

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