ECサイトで売れる商品画像の撮影方法とは? 撮影時のコツを解説
今回のテーマは、ECサイトにおける商品画像の撮影です。実際に商品を手に取れないユーザーにとって、商品画像は購入を判断するための重要な情報源です。そのため、商品画像の良し悪しによってECの売り上げは大きく変わります。とはいえ、具体的にどのような点に気をつけて撮影すればいいかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、「商品画像の撮影のコツ」を厳選して3つ紹介します。ぜひ商品画像を撮る際の参考にしてみてください。
ECモールのガイドラインを守るのが大前提
「Amazon」や「楽天市場」など、各ECモールでは「商品画像に関するガイドライン」を設けている場合が多いです。
ガイドラインの内容には、たとえば以下のようなものがあります。
Amazon
- メイン画像は販売対象の商品のみ表示
- メイン画像の背景は純粋な白を使用
- 画像の長辺は1,600ピクセル以上にする必要がある
楽天市場
- 背景は基本的に単色の白(写真背景も使用可)
- 画像内のテキスト占有率は、全体の20%以下
- 画像に枠線をつけない(囲み線、L字、帯状などを含む)
ECモールを利用する以上、ガイドラインは必ず守らなければいけません。違反した場合は、ペナルティ(検索対象外・出品停止など)を受けることもあります。
商品の撮影でさまざまな工夫をするにしても、その前提には「ガイドラインの順守」があることを覚えておきましょう。
自社ECでもガイドラインを確認するのがおすすめ
自社ECだけ展開している場合、「ECモールのガイドラインはまったく関係のない話」かというと、そうとはいえません。
なぜなら、どのサイトも今後ECモールを利用する可能性はゼロではないからです。その時になって急いで確認するよりも、予備知識として一度目を通しておくとスムーズです。
また、Google ショッピングといった広告に商品画像を転用する場合、出稿媒体のガイドラインを守る必要もあるので注意しましょう。
撮影する前にどんな写真が必要か考えよう
いきなり撮影に入る前に、
- ユーザーが知りたい情報はなにか
- どんな写真なら商品をほしくなるか
などを事前に考えておくのは意外と重要です。
最終的なゴールは「商品を売る」ことであり、そのために必要な画像を逆算して撮影しないと、目的達成から遠のいてしまうからです。
さらには、行き当たりばったりだと準備や撮影に手間取ってしまう上に、撮り忘れが起きる恐れがあります。
そのような事態を避けるため、あらかじめ撮影したい画像のイメージを固めておきましょう。簡単なラフ案を書くのもおすすめです。
また、競合や人気のサイトを調査して、どんな写真を載せているか分析する方法もあります。
イメージ写真とディティール写真を使い分ける
商品画像で用いる写真には、「イメージ写真」と「ディティール写真」の大きく2種類があります。
イメージ写真
- 実際に商品を利用しているシーンを撮影した写真
- 購入後の姿を見せることで、購買意欲を刺激したり、商品の訴求力を高めたりできる
- たとえばファッション用品の場合、全身のコーディネート姿など
ディティール写真
- 商品の全体像や細かい部分を撮影した写真
- 商品のイメージを正確に伝えやすく、購入に対する不安を取り除くことができる
- たとえばファッション用品の場合、生地の質感やサイズ感など
イメージ写真だけだと詳しい情報がわからず、ディティール写真だけだとユーザーの心をつかむのが難しくなります。
どちらか一方だけにならないように、どんな商品画像が必要かを考える上でぜひ参考にしてください。
ちなみに、イメージ写真の利用シーンを思い浮かべるのが難しい場合、「どんな人が・どんな時に・どんな場所で・どのようにこの商品を使うか」などを考えるのがおすすめです。
売れる商品画像を撮影する3つのポイント
ユーザーにとって魅力的な商品画像を撮影するには、さまざまなコツがあります。その中でも、押さえておきたい基礎的なポイントを厳選して3つにまとめました。
- 光を調整して印象を正確に伝える
- 背景や小物を使って演出する
- 魅力的に見える構図やアングルを探す
1つひとつ紹介します。
1. 光を調整して印象を正確に伝える
商品を撮影する際に、もっとも重要といっても過言ではないのが「光(照明)」です。
光の強さや色、方向などによって商品の印象はガラッと変わります。そのため、撮影において光のコントロールは特に気をつけたいところです。
具体的には、以下のようなポイントに注意してみてください。
①照明は太陽の自然光をメインに使う
- 実際の商品と近しい色味や雰囲気が出やすいため
- 光が混ざらないように、室内の照明は消しておく
②窓に近い場所で撮影する
- 自然光が入りやすく、光の強さなどの調整がしやすい
③撮影時間は午前~正午がベスト
- 午前は自然でやわらかい光が射すが、午後は光が強くなりがち
- 夕方だと暗くて赤みがかった色になるので避ける
④カメラは基本オート撮影でOK
- もし微妙な仕上がりになった場合、明るさ(露出)を調整する
- それ以上の細かい調整は、撮影の経験を積んでからで十分
⑤光の強さは白いレースなどで調整
- 自然光が強くて影が目立つ場合、窓に白いレースやシーツを張って和らげる
- レフ板を使って光の加減をコントロールする
撮影に慣れていない間は、ナチュラルに仕上がりやすい自然光をメインに使うのがおすすめです。
とはいえ、自然光は天候や時間帯に左右されやすいため、いつでも安定して撮影したい場合は専用のライトを買うのも手です。
ちなみに「画像加工を前提にとりあえず撮影する」のはおすすめしません。なぜなら、本来の商品が持つ色合いや質感、雰囲気などが正確に伝わりにくくなるからです。 最悪クレームに発展する恐れもあるので、撮影環境を最適にし、できるだけ画像加工に頼らない姿勢が大切です。
2. 背景や小物を使って演出する
「Amazon」や「楽天市場」のガイドラインにもある通り、基本的に商品画像の背景は白が基調とされています。しかし、それだけでは各商品の魅力を十分に引き出せないことがあります。
そんなときは、背景を変えたり、小物を添えたりして商品の違う一面を写してあげましょう。たとえば、以下のような感じです。
高級品の場合
- 黒い背景をつかって、商品の光沢や高級感を引き立たせる
雑貨の場合
- ウッド調の背景をつかって、ナチュラルな雰囲気を演出
食品の場合
- 周りに皿やカップ、箸などを配置して食事シーンを表現
ギフト用の場合
- 実際に梱包した姿や、商品と外箱を並べた姿を撮影
このように商品の性質や特徴などによって、背景や小物を変えてみるとより商品の魅力を表現できます。
ただし、主役はあくまで商品そのものです。
- 背景色と相性が合わず、商品が悪目立ちする
- 小物の数が多く、商品の存在感が埋もれてしまう
といった事態は避けるように注意しましょう。
3. 魅力的に見える構図やアングルを探す
撮影するアングルや構図にこだわることで、より一層雰囲気のある商品画像に仕上がります。撮影でよく使われる構図は、大きく3つあります。
①日の丸構図
- 日の丸のように、写真の中心に商品を配置する構図
- 初心者でも撮りやすく、シンプルで商品が目立ちやすい
②三分割構図
- 写真の縦横を3×3で分割し、線が交わる4点のどこかに商品を配置する構図
- 見た目のバランスがよく、安定感が生まれる
③対角線構図
- 写真の対角線上に沿って、商品の角度を調整したり配置したりする構図
- 奥行きや躍動感が生まれ、広がりのある写真になる
また、撮影時のカメラアングルは主に以下の3つです。
①ハイアングル
- 高い位置から見下ろすように撮ること
- 商品の全体像を俯瞰して写せる
②水平アングル
- 人と同じ目線で撮ること
- 角度がつかない分、商品のサイズ感を伝えやすい
③ローアングル
- 低い位置から見上げるように撮ること
- 大胆で見る人を引き込みやすい
撮影するときの距離感など、ほかにも撮影時に工夫できるポイントは多くあります。 すべての商品を同じように撮るのではなく、商品が一番魅力的に映る構図やアングルはどのようなものか、あらゆる角度からぜひ探ってみてください。
このように何枚も撮影を重ねることで、商品のディティールや雰囲気をより具体的に伝えることができます。
プロのカメラマンに外注するポイントと注意点
撮影に慣れていない場合、「なかなか思い通りの仕上がりにならない」と悩むことがあるかもしれません。
また、
- 長く販売するからクオリティの高い写真にしたい
- 大量に商品を入れ替えるからスピーディに撮影したい
という場合もあるかと思います。
そんなときは、プロのカメラマンに依頼してみるのがおすすめです。
経験豊富なカメラマンにお願いすれば、クオリティの高い写真を撮れるのはもちろん、現場に立ち会えばプロの技を直接見て学ぶことができます。
わからないことがあればその場で聞けるので、予算に余裕があればぜひ外注を試してみてください。
ちなみに、カメラマンの相場価格は
- スタジオ撮影:8,000~20,000円 /時
- 出張撮影:10,000~30,000円 /時
ほどで、商品の数や加工の有無などによっても前後します。
まずはカメラマンに撮影の目的や詳細なイメージを伝え、見積もりをお願いしてから相談してみましょう。
自社で撮影できるよう準備するのも大事
とはいえ、すべての撮影をプロに任せきりにしてしまうと、
- 常に外注コストがかかる
- 自社にノウハウが蓄積されない
- 急ぎの撮影やちょっとした撮り直しが難しい
などのデメリットが生じます。
そのため、ゆくゆくは自前での撮影も視野に入れながら、撮影の準備やスキルの習得などをしておくと安心です。
また、商品画像の撮影をできるだけ自前にすることで、商品画像の効果の検証や改善がしやすいというメリットもあります。
ABテストで反応を検証すると効果アップ!
冒頭でもお伝えしたとおり、商品画像は売り上げを大きく左右するとても重要な要素です。ですが、実際「どの画像がユーザーにとって魅力的なのか」は試してみないとわかりません。
そこでおすすめなのが、商品画像を複数用意してABテスト(反応が良いパターンはどれか検証)をすることです。
「いろいろな商品画像をテストした結果、申込数が2倍になった」というケースは少なくありません。すべての商品をテストするのは大変なので、「想定よりも売り上げが伸びていない商品」のように、対象を絞ってぜひ分析してみてください。
テストの実施が難しい場合は、同ジャンルのなかで人気の店舗を参考にしてみましょう。人気があるということは、ユーザーに響く商品画像としてある程度パターンが最適化されている可能性が高いからです。
まとめ:商品画像にこだわって売り上げアップを目指そう
これまでの話を改めてまとめます。
- ECモールや出稿媒体のガイドラインを守るのは大前提
- 撮影前にどんなイメージ写真やディティール写真が必要なのか考える
- 商品画像を撮影する3つのポイントは、光・背景・構図
- プロのカメラマンに外注するのも1つの手
- ABテストでユーザーの反応を検証すると効果アップを狙える
実際に商品を手に取れないユーザーにとって、商品画像はとても重要な情報源です。 つまり、商品画像の良し悪しがそのまま売り上げにも直結します。
ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、商品画像の撮影を工夫してみてください。
この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。