キヨハラサトル 2022/1/24 8:00
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ロボットによる自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」は、省スペースでの高密度保管が可能で、事業の展開に合わせたスペースの拡張にも柔軟に対応できるのが特徴だ。ロボットが休まず24時間稼働するため、高い作業効率が実現できるだけでなく、現場の従業員が安全に業務を行えることから、労災の減少や従業員満足度の向上にもつながるという。

実際に導入した物流の現場ではどんな変化や成果が生まれているのだろうか。オートストア システムのビジネスデベロップメント マネージャー・阪井克来氏が、ノルウェーとオーストラリアの事例をもとに、オートストアのポテンシャルを語った。

オートストア システム株式会社 ビジネスデベロップメント マネージャー 阪井克来氏
オートストア システム株式会社 ビジネスデベロップメント マネージャー 阪井克来氏

「AutoStore(オートストア)」とは?

オートストアの仕組みはいたってシンプルだ。

「グリッド」と呼ばれる上下左右に格子状に組まれたアルミ製のレール内に、荷物を入れておく専用コンテナ「ビン」を設置。グリッドの上部を縦横に「ロボット」が動いて必要なビンを取り出し、入出庫作業を行うワークスペースである「ポート」まで運ぶ。ポートでは従業員がビンから商品をピッキングしたり、入庫する商品をビンに入れたりするという流れだ。

ロボットはバッテリーを搭載しており、自ら充電スペースに行って充電する仕組みになっている。

オートストアのイメージ
オートストアのイメージ

オートストアはこの「グリッド」「ビン」「ロボット」「ポート」といった要素で構成されており、これらに対して「コントローラー」と呼ばれる装置から指令を出したり、データを保持したりする。

オートストアの3つのメリット

オートストアの利点を語るキーワードは「高密度」「拡張」「99.6%」の3つだ。これらはこのサービスの差別化ポイントでもある。それぞれについて説明する。

メリット①「高密度」: 従来比4分の1のスペースで実現する高密度保管

先述の通り、ロボットはグリッドと呼ばれるレール内を縦横無尽に走行する。これがもたらす最大のメリットは「通路」を設ける必要がないということだ。人の動線を考慮することなく荷物を積めることで高密度保管が実現し、従来よりも狭いスペースで運用できる

オートストアを使うことでスペースが棚保管の4分の1になる。ここが他社にはない自動倉庫業界ナンバーワンの差別化ポイントだ。(阪井氏)

メリット②「拡張」: 需要の波に柔軟に対応できる拡張性

倉庫スペースは商品の需要や外部環境の変化、経営の波によって、グリッドを足したりする調整が可能だ。柔軟にレイアウトを組むことができ、拡張が容易にできるという。

たとえ柱があっても不規則なレイアウトでも、オートストアでは変幻自在に空間を有効活用できる。ロボットが走行できるよう、水平レベルが合っていれば良い。(阪井氏)

メリット③「99.6%」:100%近い稼働率で止まらない倉庫を実現

たとえば、6台のロボットが稼働していたとして、そのうちの1台が故障で止まったりしたとしても、残りの5台は稼働を続ける。そのため、庫内のオペレーションが止まることはない。

つまり、ほぼ100%に近い稼働率で、24時間365日、ロボットが休まず作業を続ける環境が維持できる

オートストアの3つのメリット
オートストアの3つのメリット

事例① 投資を2年で回収したノルウェー「エレクトロインポートレン」の事例

ノルウェーでBtoBとBtoCの電気機器販売事業を手がける「エレクトロインポートレン」は、23店舗を展開しているほか、ネット通販も行っている。売上比率は卸の方がやや多く、ネット通販の売上比率は全体の13.7%を占めている。

エレクトロインポートレン(ノルウェー)の売上比率
エレクトロインポートレン(ノルウェー)の売上比率

BtoCの売上が年間20%程度で増加を続けるなか、エレクトロインポートレンはコストを平準化できるソリューションを探していた。そんな時にオートストアと出会い、庫内スペースをコンパクトに利用できる点などを評価し、2017年3月に導入を決め、同年11月には稼働を開始した。

床面積500平方メートルの倉庫内に12台のロボット、10,750個のビンを設置。2020年にオートストアを拡大している。少量多品種を扱う同社の商品のうち、SKUの85%をオートストアによって処理している。

エレクトロインポートレンの2016年の売上高は約52億円。2017年にオートストアを導入し、2019年の売上高は約122億円に伸長した。翌年の2020年12月には上場を果たしている。

通常の出荷と返品入荷の流れ

エレクトロインポートレンのピッキングの流れは、まずオンラインから注文が入るとオートストアのシステムに情報が入る。その情報をもとにロボットがビン(商品)を探し、ビンをポートに格納していく。

ポートと呼ばれる作業スペースで従業員がビンを受け取り、そのなかに入っている商品をピッキングしていく。仮に注文の商品と異なるものを取り出すと、アラートが出るようになっている。その場合は改めて正しい商品をピッキングして梱包し、送り状を貼って配送に回す。

返品入荷の際は送られてきた商品を開封し、システム入荷ボタンを押す。ステッカーに記された情報をスキャンすると、同じ商品が入っているビンをロボットが探し当て、作業場のポートまで運んでくる。そして従業員が運ばれて来たビンに、商品を入れていく。

エレクトロインポートレン(ノルウェー
ポートにビンが運ばれピッキングをしていく

最大の利点は「効率の向上」と「従業員の健康」

エレクトロインポートレンの物流責任者は、オートストアを導入した最大の利点を2つあげている。

1つ目は「効率の向上」。狭いスペースでコンパクトに稼働し、たとえ数台のロボットが止まってもシステムはシャットダウンせず、故障したロボットだけを取り出して修理できるので、作業を止める必要がない

2つ目は「従業員の健康」。ロボットが入出荷作業を行うため、肉体労働が得意でない人でも安全に倉庫作業を行える。作業中の事故が減り、結果的に従業員の満足度の向上にもつながっているという。

また、ピッキングなどの作業を行うポートは1人1台割り当てられているため、ソーシャルディスタンスを確保できる。これはコロナ禍では特にメリットとなっている。

エレクトロインポートレンの物流責任者
エレクトロインポートレンの物流責任者

オートストアの導入を検討している企業へのアドバイスとして「拡張コストの削減」にも触れている。

エレクトロインポートレンではオートストアを導入した2017年時点で、数年後にビンを追加するなどの拡張を想定して、電源の配置などをしておいた。そうすることで実際に2020年に拡張した際のコストを削減できたという。

エレクトロインポートレンは、オートストアの自動倉庫を導入するにあたって、3年半の投資回収を計画していたが、実際は2年で回収できたという。

事例② ピッキングの生産性が4.8倍になったオーストラリア「ダブコ」の事例

オーストラリアのダブコはBtoBで鍵の卸売りを手がけている。従業員は62人だが2020年の売上は約14億円にのぼる。

ダブコも先ほどのエレクトロインポートレンと同様、2017年にオートストアの導入を決定した。最初は1万個のビンを配置したが、翌年の2018年には4000個を追加し、ロボットやポートも追加で導入するなどして拡張している。

ダブコの売上
ダブコの売上はオートストアの導入から約14億円に成長

1時間あたり125個のピッキングが600個に

オートストアの導入前、ダブコでは1日に1000個のピッキングを行っていた。1時間あたり125個に相当する。また、入荷は1日あたり300個だった。

ダブコの社長はその程度の作業レベルでハイエンドの自動化システムを導入することにためらいがあったという。しかし、調査するなかで自動倉庫へ移行する時期だと判断し、世界中のサービスをリサーチした結果、オートストアを選択したという。

導入後、最大で1時間あたり600個のピッキングが可能になった。これは導入前のおよそ4.8倍だ。オートストアを導入したことによって、ダブコのピッキングの生産性は大幅に向上した。

ダブコの倉庫内の様子
ダブコの倉庫内の様子

現在、ダブコでは1万4000個のビン、10台のロボット、4台のポートを稼働させている。ダブコの商材は鍵だが、1つのビンで耐荷重は30キロまで対応する。

オンラインで注文が入った段階でロボットはビンを探しておき、従業員がピッキングの準備ができると、ロボットはすぐにポートまでビンを運んで来る。ポートでは1つのビンが最速12秒で入れ替わる仕組みになっている。この速度もオペレーションに応じて選択が可能だ。

ダブコの社長は、稼働から4年経ってオートストアの部品は摩耗による交換があるものの、非常に頑丈だという印象を持っている。ロボットが1台止まっても、別のロボットが動くため支障はないという。

ダブコの社長
オートストアについて語るダブコの社長

スペースの削減、教育コストの削減にも寄与

オートストアがダブコにもたらしたのはピッキングの生産性の向上だけではない。ダブコはオートストアを導入することで、以前よりも小さな倉庫に移った。これに伴い電力消費量が大きく減った

以前の倉庫では月9000ドル(およそ72万円)だったが、倉庫を移動してオートストアを入れた後は月1200ドル(およそ10万円)に下がった。電気代が85%下がり、ざっと60万円強の削減効果となった。自動倉庫のため、従来は必要だったコンベアを設置していないことも、電気代の削減に影響しているようだ。

また、ロボットがビンをポートまで運んでくるので従業員はあちこち歩き回る必要がない。複雑な作業がないため、誰でも1日で仕事を覚えることができ、結果、教育にかかるコストが低減できるというわけだ。オートストア導入から4年間、ダブコの物流現場では誰もケガせずに作業ができているという。

ダブコの倉庫内
ロボットがビンを運ぶので従業員による労災発生の可能性はかなり低い

このようにオートストアを導入することで労災をなくし、従業員が安心して健康に働けるという点は、1社目のエレクトロインポートレンと同じくダブコも評価しているポイントだ。

オートストア導入による設備投資は、2年で回収できたという。オートストアでさまざまなコスト削減効果が出ており、ダブコでは今後、利益の増加を見込んでいるという。

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