石居 岳 2021/8/2 9:00

エイチ・ツー・オー リテイリングが公表した2024年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画(中計)によると、2021年3月期に84億円だったEC売上高を、中計最終年度は約3倍となる250億円を目標としている。

中計の事業戦略として掲げたのが百貨店事業の再建。その一環としてOMOスタイルの確立を図る。Webカタログの充実やオンラインコミュニケーションの強化、デジタル接客ツールの整備に加え、月間売上高1億円を突破したリモートショッピングサービス「Remo Order(リモオーダー)」など、リアルとデジタルを融合した新たな購入プロセスの開発と提供に取り組む。リモオーダーによる売上高は年間50億円ペースへ引き上げる。

エイチ・ツー・オー リテイリングが公表した2024年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画
百貨店事業の再建(画像は公表した中計の資料から編集部がキャプチャ)

阪急阪神両本店の名物催事に、WebセミナーやECを組み合わせた拡張、デパ地下ケーキ宅配「阪急のケーキ宅配」「CAKE LINK」「TOKYO CAKE DIARY」など強みを生かした新たなサービスを展開。ECのラインナップ拡充や動画配信による魅力の最大化など、独自性の高いコンテンツの開発とリアル・デジタルによる相乗効果を発揮する。

2021年秋には、新たなロジスティクスセンターを開設する。さらなるOMOスタイルの推進に向けて百貨店の物流センター機能を集約し、自動倉庫や自動搬送機などを活用して物流効率や在庫オペレーションを大幅に改善。素早い物流を実現することで、店頭在庫の流動性やECの利便性を高めサービス向上につなげていく。

全社的な戦略としては、新たな事業モデルにチャレンジする。まず、百貨店・食品スーパーなどの既存事業の枠組みにとらわれず、多くの生活者が頻度高く利用する、地域生活に密着したオンライン機軸のサービスを開発する。

グループの知見を生かすことができる「食」領域からスタートし、グループやアライアンスパートナーの既存店舗商業と連携して相乗効果を追求。さらに、サービス領域を拡大して1000万人の生活者と常時つながり、密接にコミュニケーションできる関係を構築する。

エイチ・ツー・オー リテイリングが公表した2024年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画
新事業モデルへの挑戦(画像は公表した中計の資料から編集部がキャプチャ)

次に、新規サービスを通じたつながりや生活者データ、さまざまなサービス機能からなる顧客データ/サービス基盤を構築し、決済・ポイント・配送・コミュニケーション・分析・マーケティング機能と合わせたプラットフォーム機能の提供、顧客データ基盤を活用した広告やマーケティング分析など、新規サービスの提供によるBtoBビジネスの創出をめざす。

IT・デジタル化の推進には3か年で260億円を投資、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた新たなIT基盤の構築と現システムのリスク課題対応とを両輪で推進する。

グループ顧客データ基盤の構築、グループのEC/OMO基盤の構築、デジタル接客ツールの整備など、既存プラットフォーム強化によるOMO化の試行にも取り組む。

エイチ・ツー・オー リテイリングが公表した2024年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画
IT・デジタル化の推進(画像は公表した中計の資料から編集部がキャプチャ)

 

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