通販新聞ダイジェスト

楽天グループが「楽天市場」と「楽天ラクマ」の連携を強化。その理由と内容は?

フリマアプリ「楽天ラクマ」は、「楽天市場」との連携を強化。両サービスの併用率アップや、リユース市場における「楽天ラクマ」のシェア拡大を狙う

通販新聞[転載元]

2023年9月27日 7:00

楽天グループでは、仮想モール「楽天市場」とフリマアプリ「楽天ラクマ」の連携を強化する。楽天市場で購入した商品を、ラクマで簡単に出品できるようにしているほか、直近では楽天市場の大型セールイベントにおいて、期間中にラクマで買い物をすることで、ポイント付与率がアップするキャンペーンも開始。両サービスを併用する「クロスユース率」を、現在の6%から30%まで引き上げたい考えだ。

フリマアプリ「楽天ラクマ」は「楽天市場」の連携を強くする(画像は「楽天ラクマ」から編集部がキャプチャ)
フリマアプリ「楽天ラクマ」は「楽天市場」の連携を強くする(画像は「楽天ラクマ」から編集部がキャプチャ)

コロナ禍でC2C-ECが伸長

9月1日に、同社本社で行われた戦略説明会では、同社執行役員でコマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業市場編成部ジェネラルマネージャーの髙間真里氏が、同社の掲げる「サーキュレーション・ストラテジー」に関して説明。

商品を買って売り、また買ってもらう。こうした循環を『サーキュレーション』と呼んでいる。近年の物価高騰を受け、消費者は価格やポイントに敏感になっているほか、コロナ禍でECが成長するなかで特に成長したのはC2Cだ。『より賢くお得に買い物をする消費者が増えている』ことにきちんと応えていきたい」と述べた。

楽天グループ 髙間真里氏
楽天グループ 髙間真里氏

具体的には「商品購入時に新品(楽天市場)も中古(ラクマ)も一度に比較検討できる」「獲得できる楽天ポイントを増やす」「不用品を簡単に出品し、売上金としてオンライン電子マネー『楽天キャッシュ』を獲得できる」といった点を、ベネフィットとして消費者に提供する。

昨年10月からは、楽天市場でファションやホビー商品など一部ジャンルの商品で検索した際、ラクマで出品される関連商品の情報も検索結果画面に表示されるようにした。また、楽天市場で購入後、不要になった商品を購入履歴の「持ち物リスト」から簡単に出品できる機能を、ラクマアプリは1月、楽天市場アプリは8月下旬より実装

不要な品を出品できる「持ち物リスト」(画像は「PR TIMES」から編集部がキャプチャ)
不要な品を出品できる「持ち物リスト」(画像は「PR TIMES」から編集部がキャプチャ)

また、楽天市場のキャンペーンにラクマが参画。8月の「お買い物マラソン」と9月4日から開催している「楽天スーパーセール」では、ラクマを利用することで、楽天市場とラクマで購入した商品のポイント付与率が上がる「買い回り」キャンペーンも実施。スーパーセールの開催にあわせ、4日からはスーパーセールとラクマの合同テレビCMの放映も開始した。

シェア拡大に意欲、競合はメルカリ

ラクマ事業部の長谷川健一朗ジェネラルマネージャーは、楽天市場内検索にラクマの商品を表示するようにした施策の成果について「ユーザーの反応は非常に良い。ある程度ほしいものが決まっているユーザーが多いので、ラクマにおける購入転換率が高い」と話す。

楽天グループ ラクマ事業部 長谷川健一朗氏
楽天グループ ラクマ事業部 長谷川健一朗氏

同社によれば、楽天市場の顧客層は特に30~40代が多いのに対し、ラクマは10~30代が約63%を占める。クロスユースを促進することで顧客層の相互補完を狙う

楽天市場ユーザーの4割がC2Cアプリを利用

髙間真里執行役員は「昨年アンケートを実施した際、楽天市場を利用しているユーザーのうち、約40%が他社も含めてC2Cアプリを利用していることがわかった。クロスユース率30%には意外と早く到達するのではないか」と述べ、競合となる「メルカリ」からシェアを奪う意欲を示した。

また、中古品を中心としたラクマとの連携を強化することに対する、楽天市場出店店舗の反応に関しては「転売を防ぐために、楽天市場で購入してから一定期間は『持ち物リスト』に表示させないといった工夫もしており、今のところ出店店舗からネガティブな反応はない。ラクマと連携を強化することで、ユーザーはまた楽天市場に戻ってくるということを店舗に理解してもらえるよう、コミュニケーションも取っている」(髙間真里執行役員)という。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「声のする方に、進化する。」会社全体最適を目標とするワークマンの「補完型EC」 が実践する「レビューマーケティング3.0」とは? 12月17日 7:00 「所有から利用へ」の潮流をAIで勝ち抜く。事例で学ぶレンタル・リユースビジネスの成功法則とEC構築術 12月16日 7:00 「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00