SEO実践編。まずはトップページと特集ページにキーワードを設定してみよう
ネットショップに共通するサイトの基本的な構造と言えば「トップページ」「カテゴリページ」「商品ページ」「特集ページ」の4つ。今回から2回に分けて、それぞれのページにどのようなキーワードを選べばいいのかを説明します。今回は前編。「トップページ」と「特集ページ」について解説します。
本題に入る前にYahoo!のお話を。先日、Yahoo!検索がSSL化というニュースが発表され、8月18日に実行されました(→参考)。
これによって、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで「Yahoo!からどのキーワードで訪れたか」というキーワード情報がわからなくなります。Googleと同じような状況ですね。
ちなみに現状ではYahoo!の参照元 search.yahoo.co.jp は、困ったことにorganicではなくreferralに分類されているようです……(→参考)。
そのため今後は「キーワード単位での効果分析」がアクセス解析ツールではほぼできなくなります。SEOを重視しているサイトではなかなかつらい変更ですね。
キーワードの分析ができなくなるということは、もうキーワードに注力する必要はなくなるのでしょうか?
そんなことはなく、SEOを行う際にはユーザーの検索ニーズ、つまりキーワードを意識してサイトを作っていくことはまだまだ重要な要素となります。
もちろん、今のGoogleに対しては“キーワード”だけにフォーカスするのではなく、初回にお話したように「キーワード」とそれにマッチした「コンテンツ」を考えていくことも重要になります。
つまり、そのキーワードを検索するユーザーの検索意図までしっかり把握して選んでいくということです。
キーワードからサイト構造を考える
私がSEOを手がけたサイトには、本当にいろいろな種類がありました。ネットショップはもちろん、ニュースサイトや旅行サイト、不動産サイトやメーカーサイトなど、さまざまなタイプです。そのため、作業をするときはいつも「ページにキーワードを設定する」のではなく、「キーワードからサイト構造を考える」プロセスを取ってきました。
今あるページからキーワードを考える、もしくは先に作りたいページのサイトマップを作ってしまうのではなくて、必ず先にキーワード調査を行ってそこからページに当てはめていくという流れになります。
つまり、キーワードによっては既存のサイト構造も大きく変えていく必要があるということです。
ただ、今回はネットショップが対象ですので、すでに構造はほぼ決まっています。
1. トップページ
2. カテゴリページ
3. 商品ページ
4. 特集ページ
この4つがネットショップに共通する主なページですよね。
この記事では上記の構造に合わせたキーワードの選び方をご紹介します。
ネットショップ以外の場合は、前述したように「キーワードからサイト構造を考える」、この概念はやはり重要になります。それはまたどこかでご紹介できればと思います。
トップページのキーワードは最重要なビッグワードを
さて、今回は寝具のネットショップを例にしてみようと思います。寝具や布団を販売しているお店ですね。
私もシーツだけはたまにネットで買いますが、枕カバーや布団カバーは実際に見たいのでお店で買うことが多いです。
そして、今気になっているのはこの猛暑……寝具は干すだけでいいのか、洗った方がいいのか、寝苦しい夜の対策がないのかなど、毎晩考えています(笑)。
そんな寝具のネットショップのトップページのキーワードです。
よく言われることですが、トップページには最も重要で人気がある「ビッグキーワード」を設定するといいでしょう。寝具のネットショップであれば、「寝具」や「布団」です。
新規サイトであれば「寝具ドットコム」「布団店 [サイト名]」など。
既存サイトでもサイト名にプラスして「 [サイト名] 寝具と布団の通販サイト」などと設定するといいでしょう。
このあたりはかなり浸透しているようで、ネットショップのサイト名を「寝具ドットコム」のように、ビッグワードを含んだものにしているショップをよく見かけます。
1つよく質問されますが「『布団店』にしたら『布団』でヒットしないんじゃないか?」という懸念。Googleには「形態素解析」があります。これは平たく言うと文章を最小単位の言語に分割することです(形態素解析については、このサイトの例がわかりやすいです。→言語郎「形態素解析とは?」)。
「布団店」は「布団」と「店」に分割されますので「布団店」でも「布団」はヒットします。
ずいぶん前、困ったことがあるのは「お花見」が形態素解析されていなかったことです。
あるお客様のサイトで「花見」というキーワードを使っていたら「お花見」で全然ヒットしなかったのです。
Googleの辞書は日々進化しており、その後形態素解析された「花見」が入ったので気にする必要はなくなりました。
なお、トップページのキーワードはあまり欲張らずに1語か2語にしてください。
良くない例:「羽毛布団、敷布団、枕、布団通販の○○ドットコム」
良い例:「布団通販の○○ドットコム」
特集ページのキーワードは季節のニーズを逃さずに
特集ページを作るネットショップも多いですね。ユーザーとしても特に買うものがまだ明確に決まっていない段階では参考になることが多いです。
さて、この特集ページですが、皆さんはテーマをどのように考えていますか? 「スタッフの方でアイデアを出し合って決めている」「毎年だいたい同じテーマのものを更新している」「新しい商品に合わせて特集を組んでいる」そのような感じでしょうか。
たまにはキーワードから特集を作ってみませんか? 集客の機会が広がりますよ!
特集キーワードを考えるときのポイントがいくつかあるのでご紹介します。
ポイント ① カテゴリと同じキーワードにしない
Googleは1つのサイトが検索結果を占拠しないように、特に1ページ目は1つのドメインからは基本的に1ページしかヒットさせないことが多いです。これによって検索結果には多様なサイトが並ぶのです。
ナビゲーショナルクエリ(サイト名など)や一部のインフォメーショナルクエリ(一般キーワード)では1サイトから複数ページ出ているケースもありますが、基本、ヒットするのはサイトにあるどこかの1ページなので、特集キーワードはカテゴリキーワードとバッティングしないようにしましょう。
例えばカテゴリのほうに「羽毛布団」カテゴリがあるのであれば、特集では「羽毛布団特集」などは作らないか、作るなら「羽毛布団の選び方特集」など、違う言葉で作りましょう。
ポイント ② 季節テーマを取り入れる
自由度の高い特集ページは、季節キーワードを盛り込むのが効果的です。
例えば夏の特集。何があるでしょうか? パッと思い浮かぶのは「夏用寝具特集」でしょうか。でも、調べてみるとさほど検索されていないことがわかります(今回は派生語のわかりやすいキーワードウォッチャーのデータを使います)。
では夏の寝具の利用シーン、購入ニーズはどのようなものがあるのでしょうか。
夏といえば寝苦しい熱帯夜。「熱帯夜」を調べてみます。
「熱帯夜」自体は非常に検索されていますが「寝具」との検索は見られませんでした。
他に熱帯夜対策として寝具に求めるニーズがないかGoogleで調べてみます。
すると「ひんやり寝具」「冷感寝具」という言葉が見られます。
「ひんやり寝具」より大きなくくりにして「ひんやり」で調べてみます。すると「ひんやりシーツ」、「ひんやりタオルケット」などが検索されています!
プランナーツールで調べてみても同様に検索されていました。
同じく「冷感」で調べてみると「冷感シーツ」や「冷感敷きパッド」などが検索されていました!
ちょっと言い回しを変えて「涼感」にしてみます。こちらも検索されています。
「夏用寝具」よりも「涼感寝具」のほうが人気ということがわかります。
もしひんやり冷たい商品を扱っていたら後者を使って「夏の涼感寝具特集」などいかがでしょうか? 下層コンテンツとして「冷感・ひんやりシーツ」なども作成できそうです。
このように、特にその季節のお悩みからキーワードを探して特集を作ると、一過性ではありますが、大きなトラフィックを生むことがあります。
ポイント ③ ハウツーを探す
これも特集向きのキーワードですね。ユーザーは布団に関してどのようなことを知りたがっているのでしょうか。
まずは「布団」というビッグワードの派生語を見てみます。6月のキーワードです。
羽毛布団と一緒にクリーニングや洗濯が検索されています(①)。
Googleで「羽毛布団 クリーニング」と検索すると、サジェストワードに「料金」「保管」などが出てきますので、ユーザーはクリーニングの料金や保管サービスを検索しているということがわかります。
梅雨時のデータなので「布団 ダニ退治」「布団乾燥機 ダニ退治」なども検索されています(②)。
布団のダニ退治の方法などを解説する特集もいいですね。それでも困っているユーザーには防ダニ布団などへの買い替えの訴求ができるかもしれません。
他にも布団の派生語には次のようなハウツーワードが見られました。
「布団の洗い方」 「布団の打ち直し」 「布団の捨て方」 「布団のたたみ方」
打ち直しや捨て方を探しているユーザーには新しい商品を勧める機会になるかもしれません。
このように、まずは商品関連の派生語をよく観察して、ハウツーになる言葉を見つけることをおすすめします。
言葉を発見できたら「ユーザーはどんな意図で検索しているか」を想定して特集コンテンツを作成するといいでしょう。
解説文があるといいのか、図解があるといいのか、何か比較表があるといいのか、合致する商品の紹介があるといいのか……。
1ユーザーの立場に立って考えてみると、最適なコンテンツはおのずと見えてくると思います。
いかがでしたでしょうか? 次回は「カテゴリページ」「商品ページ」について解説します。お楽しみに!