オフライン用クリエイティブをA/Bテストする新手法「売れる TVCM クリエイティブテスター」などを売れるネット広告社がリリース
オフライン用のクリエイティブ(テレビCMや新聞広告、チラシなど)をA/Bテストするサービス「売れる TVCM クリエイティブテスター」と「売れる 新聞・チラシ クリエイティブテスター」を、売れるネット広告社が6月2日に提供開始した。
同サービスは、売れるネット広告社のもつオンライン向けのA/Bテストの知見をもとにしたサービス。
「オンラインでA/Bテストして成績の良かったクリエイティブは、オフラインでも同様に成績が良い」という仮説をもとに、同社では4年にわたって実際のキャンペーンのなかで1億円以上の広告予算をつかいその検証を進めていたが、仮説どおりになる傾向が確認されたことから、本格的なサービスを開始するに至ったという。
キャンペーンの本格実施前に、予算の一部を使ってA/Bテストを行い、実際に成績の良かったクリエイティブを本番で採用するという動きは、ネット広告やランディングページといったオンライン広告やダイレクトマーケティングなどでは進んでいた。
「A/Bテスト」とは、複数のクリエイティブに対して同じ条件で訪問者を振り分け、他の変動要因を排除したうえでクリエイティブに対する反応を評価する手法。
しかし、テレビCMや雑誌・新聞広告などでは、そうした自動テストの仕組みを実現するのが難しいため、これまでは積極的にA/Bテストによるクリエイティブ評価は行われてこなかった。というのも、たとえばテレビCMでは、複数のクリエイティブを曜日替わりなどで流しても、番組自体の内容や視聴率の影響などの影響を受け、統計的に正しく評価するのが難しいからだ。
そのため、多くの場合、会議室で主観によってクリエイティブを選定し、それをそのまま予算のかかるキャンペーンで使うのが通常だった。
今回、同社がリリースした「売れる TVCM クリエイティブテスター」と「売れる 新聞・チラシ クリエイティブテスター」は、そうした問題を解決するためのもの。オフライン用のクリエイティブを事前にオンラインのランディングページ形式でA/Bテストし、統計的に評価するクラウド型のサービスとして作られている。
サービスにはページ作成の仕組みも含まれているため、素材を用意してアップロードすれば10分ほどでテスト用の環境が整い、広告入稿用のURL(1つ)が発行される。
あとは、広告などをつかってそのURLに集客すれば、自動的に複数クリエイティブへの振り分けが行われ、実際に訪問者が申し込みなどの行動を起こす率が高かったクリエイティブがどれかをデータで判断できる(。
クリエイティブの表示後にアクションボタンを表示したりフォームなどの申し込みを行う仕組みを表示したりする機能も備えているため、テストのための申し込み対応をコールセンターなどでもつ必要はなく、オンラインで評価を完結させられる(オンラインテストのコンバージョンを電話申し込みなどにする場合は、別途その対応を行う必要がある)。
振り分けや分析の機能も含まれるため、別途アクセス解析や効果測定のシステムを利用する必要はない。
そうして、事前にテストして成績の最も高かったクリエイティブを、テレビ局や新聞社に入稿する。
同社では、同様の仕組みで事前テストした結果、予算やGRPが同等だった既存のクリエイティブに比べて、テレビインフォマーシャルでレスポンス数が4~5倍になったり、ブランドCMで製品出荷量が数十%アップしたりといった効果を確認しているという。
また、ブランディング目的のクリエイティブの場合でも、製品サイトなどへのボタンを設置しておくことで、閲覧後の行動が起こりやすかったクリエイティブを効果的なクリエイティブだと判断できるとしている。
今回のサービスは「テレビCM」「雑誌・チラシ」のテストツールとして提供されているが、同社では、次のような、さまざまなオフラインのクリエイティブをテストできるとしており、実際に商品名やパッケージデザインなどのテストを行った実績があるという。
- デジタルサイネージ
- ポスター
- POP
- パンフレット
- 看板
- 商品名
- 商品パッケージ
- 製品やサービスの価格設定
- キャンペーンのオファー内容
こうしたテストを事前に行いたい企業であれば、テレビCMは使っていない規模の企業でも、このサービスを利用して効果を出せるとしている。
利用料は初期費用なし、月額利用料4万9,800円(税別)から。
基本の月額利用料には、次のものが含まれる(申し込みフォーム機能は別途オプション)。
- サーバー費用
- ページ作成機能
- クリエイティブ管理機能
- テスト(振り分け)機能
- 分析機能
キャンペーン数の制限はなく、1キャンペーンでの振り分けクリエイティブ数の上限は、現時点では9バリエーションに制限されている。
「オフラインでA/Bテストができないのならば、オンラインでA/Bテストすればいいじゃないか」という発想から、その仮説を検証し、できたサービス。
まだ「A/Bテスト」という考え方になじみのない人も多いのではないかと思うが、広告でも何でも、「自分が良いと思う」「クリエイターが良いと言った」ではなく、実際に成果が出るクリエイティブは何かというのをデータで検証して定量的に判断しながら進める文化が浸透していくと、世の中がもっと良くなっていくのではないだろうか。