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レストラン、企業ホームページ、お菓子の商品パッケージ……日本は新しいモノ好きなので、日々さまざまな場所でリニューアルが行われている。ネット広告のクリエイティブも例外ではないが、絶対にやってはいけないことがある。それは、単品通販(D2C)のランディングページフルリニューアルである!

ランディングページをフルリニューアルすることは、それまで培ってきたノウハウをすべて捨て去ることになる。実際に、ランディングページをフルリニューアルして失敗する単品通販(D2C)会社の悲劇は後を絶たない。本コラムではフルリニューアルよりも確実に広告の費用対効果を改善し続ける方法をお伝えする。

LPのフルリニューアルはご法度

図 ランディングページの例

単品通販(D2C)会社にとって、新規顧客との出会いの場となるランディングページは、コンバージョン率を大きく左右する。広告の費用対効果を改善し、売り上げを伸ばしたいと考える単品通販(D2C)会社がランディングページのリニューアルを考えるのはごく自然な流れかもしれない。ランディングページをリニューアルすると、新たなスタートを切った感覚でリフレッシュして気持ちが良いだろう。手間暇かけてリニューアルが完了したときは、達成感や充実感もあるはずだ。

気持ちはわかる。だが、それは単なる制作者の自己満足である! ズバリ、ランディングページのフルリニューアルは絶対にやってはいけない! 通販(D2C)のネット広告において、フルリニューアルはご法度なのである!!

それはなぜか。ランディングページをフルリニューアルすることは、すべての情報をリセットすることと同じ。ランディングページをフルリニューアルすると、それまでのノウハウをすべて捨て去ることになってしまうのだ。

そんなことをしていては10年経っても広告の費用対効果の改善などできず、一発勝負の連続にしかならない。世の中のダイレクトマーケターは、これをしっかりと理解しないとネット広告では永遠に成功できないと肝に銘じよう。

仮説ベースでリニューアルすることの危険性

世の中ではレストランの内装のリニューアルやお菓子のパッケージのリニューアルなど、さまざまなリニューアルが行われているが、多くの業界のリニューアルに共通しているのは、「仮説ベース」であることだ。

たとえばレストランの場合、「複数パターンの内装の店舗を造って事前にテストをして、最も来店客数や売上が多かった内装に改装する」というのはあまりにも非現実的である。

事前のテストや効果測定が難しいため、「こうしたらお客さまが増えるんじゃないか」「こうしたら売り上げが伸びるだろう」という仮説に基づいてリニューアルをするしかないのだ。あくまでも「仮説ベース」なので、本当にお客さまが増える保証もなければ、売り上げが伸びる保証もない

しかし、通販(D2C)のネット広告のクリエイティブはそうではない。幸運なことに、広告効果を数字という事実ベースで、かつリアルタイムで測定できるため、統計に基づいて少しずつ最適化を重ねていけば必ず結果が出るからである。せっかく事実ベースで効果測定ができる業態なのに、わざわざ仮説ベースでランディングページをフルリニューアルするのはリスクでしかないのだ。

フルモデルチェンジよりマイナーチェンジで最適化

通販(D2C)のネット広告のクリエイティブにおいては、マイナーチェンジを繰り返して最適化することが大事になる。つまり、既存のランディングページをベースとして、A/Bテストの結果に基づき、事実ベースで改善を重ねていくのである。それが最も確実に広告の費用対効果を改善し続ける方法だ。

私の経験則では、ディスプレイ広告のクリエイティブはすぐ消耗するが、ランディングページの消耗は遅い。売れるネット広告社のクライアントのなかにも、マイナーチェンジを繰り返しながら、同じランディングページを10年以上使い続けている単品通販(D2C)会社が存在する。ランディングページに関しては、フルリニューアルするよりも、長いスパンでマイナーチェンジを半永久的に繰り返していったほうが確実に広告の費用対効果は上がる!

マイナーチェンジの重要性は、単品通販(D2C)のランディングページに限った話ではない。自動車業界を見ると、マイナーチェンジはだいたい2年間隔だが、フルモデルチェンジは約6年間隔で行われている。カメラにしても、今までなかったまったく新しい機種が出ることは少なく、「〇〇-Ⅱ」「〇〇-Ⅲ」のように、同一機をベースにして、2年ごとぐらいにマイナーチェンジが施されることが多い。

これらの業界でマイナーチェンジが頻繁に行われることが多いのは、フルモデルチェンジよりもマイナーチェンジのほうが安上がりでリスクが低いからである。マイナーチェンジをする際は、既存の製品に対するお客さまの評価や不満、要望を踏まえ、よりお客さまに喜ばれる製品になるよう、改善していく。そうすれば確実に性能やお客さまからの評価は上がるし、売り上げが極端に落ちることもないからだ。

単品通販(D2C)のランディングページのマイナーチェンジも考え方は基本的に同じで、既存のランディングページを分析した上で、広告の費用対効果を改善するための仮説を立て、A/Bテストによってその仮説を検証する。

その結果、広告の費用対効果が上がれば、仮説をノウハウとして蓄積していけば、余計なコストや無駄なリスクを排除しながら広告の費用対効果を改善し続けることができるのである!

広告の費用対効果を改善し続けるためのA/Bテスト

ここからは、実際にA/Bテストによってランディングページの費用対効果を半永久的に改善し続けるための考え方とコツをお伝えしよう。A/Bテストとは、同じ条件で複数のクリエイティブを露出し、それに対する反応から最も効果の高いクリエイティブを測定するテストのことである。

言ってみれば、オリンピックの国内選考のようなものだ。見た目の印象や好みで適当に選んだ選手をオリンピックに派遣する国は1つもないだろう。それと同じで、いきなり本番キャンペーンを行う前に、小規模なA/Bテストを実施し、その結果を本番キャンペーンに反映するべきである。

ダイレクトマーケティングに携わっている人なら、必ず一度はA/Bテストという言葉を聞いたことがあるはずだ。A/Bテストはもともと、DMの効果測定のために使われてきた手法であり、オフラインの時代から存在するマーケティング手法である。だからといって、あなどってはいけない。A/Bテストは今でも短期的かつ低コストで、誰にでも結果を出せる最強の方法である!

やり方は簡単だ。まずは、A案とB案の2つを用意しよう。これらを同じ条件下で露出して、その効果を比べてみるだけだ。もしA案のほうが効果があったら、B案は捨て、新たにC案を作ってさらに比較してみるのである。

A/Bテストを行うにあたって、1つ大事なことがある。それは、比較したい要素だけを変えることである! たとえばキャッチコピーテストを行う場合は、キャッチコピー部分しか変えてはいけない。同時に写真や構成(デザイン)まで変えてしまったら、キャッチコピーが良かったのか、写真が良かったのかがわからなくなってしまうからだ。

キャッチコピーのみを変更したA/Bテストの例

A/Bテストの対象となる要素は、「写真」「キャッチコピー」「構成(デザイン)」だけではない。「アイコン」「本文」「オファー」「フォーム」などなど、単品通販(D2C)のランディングページにはあらゆる要素がある。クリエイティブの要素を分解し、毎回テーマを決めてA/Bテストを積み重ねていこう。

図 LPの要素

A/Bテストで重要な「仮説」の立て方

A/Bテストで広告の費用対効果を改善するためには、現状を把握したうえで、結果を改善するための仮説を立てることが重要だ。

この商品を購入している主要顧客層は40代~50代の女性なのに、今のランディングページでは20代後半に見える女性モデルを使っている。40代ぐらいの女性モデルを使った方が、親近感が湧くし自分事として捉えられるので、コンバージョン率が上がるのではないか?

というように、あくまでも仮説で構わないので、広告の費用対効果を改善するためのアイデアを出し合おう。データから得た情報があるなら、それも仮説を立てる材料になる。

次に、比較したい要素だけを変えて小規模なA/Bテストを実施し、選ばれた仮説が正しいかどうか判断するのである。そして、そのA/Bテスト結果を検証し、さらなる仮説を立てる。そうすることで、勝ち残った仮説はノウハウとして蓄積され、これを半永久的に繰り返すことで広告の費用対効果が上がり続けるのである!

最強のクリエイティブは強い要素の組み合わせ

今までの広告業界では、1つのクリエイティブプランを「1つの完成された作品」と見なしてきた。「クリエイティブとはハイレベルなアイデアとセンスで総合的にプランニングすることだ」という考え方がある。1つのクリエイティブプランの費用対効果が悪いと「その作品全体が悪い」ということになり、まったく新しいクリエイティブプランを制作してきたのである(その結果、また失敗することも多かった……)。

しかし、この考え方には大きな間違いがある。ダイレクトマーケティングのクリエイティブ、とりわけネット広告のクリエイティブにおいては、「強いキャッチコピー」「強い写真」「強い構成(デザイン)」など、要素の単純な組み合わせが費用対効果を左右していると考えるべきである。

クリエイティブ同士の相性なんか関係ない。1つのクリエイティブプランの要素を分解し、「どのキャッチコピー、写真、構成(デザイン)などの要素を組み合わせたら最強の組み合わせになるか」を統計学的に導き出すことが、費用対効果を確実にアップさせる方法なのである。

費用対効果が高い最強のクリエイティブを作る方法は実にシンプルだ。ズバリ、「No.1のキャッチコピー」「No.1の写真」「No.1の構成(デザイン)」など、あらゆるNo.1の要素を単純に組み合わせれば良いのである!

図 A/Bテストで最強の組み合わせを選び出す

「キャッチコピー」「写真」「構成(デザイン)」など、それぞれの要素に分解して行ったA/Bテストの結果、最も広告の費用対効果が高かったNo.1の要素をガッチャンコするだけで、広告の費用対効果は劇的に改善される。この理論を「クリエイティブ最適化」と呼ぶ。

クリエイティブを「最適化」し続ければ広告の費用対効果は上がり続けるのだ。芸術家志向の広告代理店のクリエイターがこの理論を聞いたら怒るかもしれないが、ネット広告の費用対効果を上げ続けたいなら、必ずこの考えに基づいてクリエイティブを作るべきである。

クリエイティブの最適化でCVが6倍になった事例も

「クリエイティブ最適化」によってどのくらい広告の費用対効果が上がるのか、過去に某クライアントで検証した結果をご紹介したい。

キャッチコピーテストを行った結果、「キャッチコピーA」に比べて「キャッチコピーD」で約2倍コンバージョン率が上がった。写真テストを行った結果、「写真A」に比べて「写真B」で約2倍コンバージョン率が上がった。構成(デザイン)テストを行った結果、「構成(デザイン)A」に比べて「構成(デザイン)C」で約1.5倍コンバージョン率が上がった。

一番強かった「キャッチコピーD」と「写真B」と「構成(デザイン)C」を組み合わせたところ、元のクリエイティブに比べてコンバージョン率がなんと約6.0倍も上がったのである! 要素の組み合わせの改善こそが、ネット広告の費用対効果を上げ続ける一番確実、かつ堅実な方法なのだ。クリエイティブのコンバージョン率は統計学なのである。

繰り返しになるが、ネット広告の費用対効果を最大化したいなら、これまでのノウハウをすべて捨て去るようなランディングページのフルリニューアルはやってはいけない。決め打ちでまったく新しいクリエイティブを作るのではなく、A/Bテストの結果に基づいて「クリエイティブ最適化」を繰り返していこう。

テクノロジーが進化しても「考え・実践し・検証する」のはマーケターの仕事

A/Bテストを繰り返すことにより、マーケターは「こういう状況下では〇〇のほうが効果的だ」「あのときは、〇〇だったから、それを踏まえて××にしよう」といった考え方ができるようになる。A/Bテストをやることで、結果に基づいた事実ベースのノウハウが蓄積されるだけでなく、マーケターが「考え・実践し・検証する」力も磨かれるのだ。

マーケターが日々の業務の中で自然にA/Bテストが実践できるようなスキルやノウハウが築き上げられれば、売上アップの体制が整ったも同然。効果が出るまで検証を繰り返せばいいのだから、必ず成果が出る。結局、いくらビッグデータやマーケティング自動化ツールといったテクノロジーが進化したとしても、売るための企画を徹底的に考え、実践し、検証するのは人間の仕事である。

最終的には、人間の経験に勝る売上アップの手法はない! マーケターの皆さんには、A/Bテストを繰り返すことで、お客さまのインサイトを読み解いていってほしい。

※「クリエイティブ最適化」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5456446号

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加藤 公一 レオ

株式会社 売れるネット広告社 代表取締役社長CEO

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。

西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社ADKホールディングスにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアントのネット広告を大成功させる。

その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。「やずやベストパートナー賞」受賞。「Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞」受賞。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン九州地区」受賞。広告・マーケティング業界のオリンピック「アドテック」で3年連続人気スピーカー1位。

「全日本DM大賞最終審査員」や「米国 International ECHO Awards審査員」、「九州インターネット広告協会の初代会長」も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ 売れるネットショップ繁盛記』(impress Digital Books)。

単品通販(D2C)のネット広告の費用対効果を最大化するクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』を監修。

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