ECサイトを成長させるためには、経営側と社員が同じゴールを共有することが欠かせない。あの有名ECサイトの経営者は、自身の考え方といった方針を現場にどのように伝えているのか。経営側と現場との間に立つ店長は、経営者の考え方などをどのように現場スタッフに伝えるのか。あの有名ECサイトの経営者や店長がそんな裏側のホンネを語る「バックヤードカンファレンス2015」トークセッション。ECサイトの経営者から現場スタッフまで、業界に携わるすべての人に目を通してもらいたい“バックヤードの裏側”トーク最終回。

ディスカッションのメンバー

モデレーター

  • 高木 孝 氏:株式会社ピー・ビー・アイ 代表取締役

パネリスト

  • 井手 直行 氏:株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役
  • 佐々木 伸一 氏:テラオ株式会社 EC部マネージャー
  • 三宅 幸子 氏:株式会社ミン 代表取締役
  • 久保 雅也 氏:株式会社イマリ 代表取締役

経営陣の考え方を翻訳し、現場側に伝えるのが中間にいる店長の役割

高木経営者側の考え方を現場側に伝えることはとても重要です。井手さんの気持ちって現場側にどうやって伝えているんですか?

井手月に1回朝会と言って楽天さんを真似てやっています。1時間前の7時半に出勤して、東京の営業も、倉庫で働いている人間も、集めてやっています。東京はテレビ会議つないでいます。経営情報を開示するんですね。「今これだけ売り上げがあってこれだけ利益があって、重要なミッションはこういうことがあって、こんな大きい出来事があって」と、毎月1回、パートさんも含めて全員でやるんです。その時、経営情報の開示をしながら「会社のミッションは、ビジョンは」とか、「今期の会社のコンセプトは、ブランディングは」とか、「会社の大事な文化、企業理念」とかを話しています。

先月の朝会では年始なので私が30分くらい、「ベンチャー企業とは私がどう思っているのか、大きいことが会社にふりかかっているがこういう決断をして、賛否両論あるけど、あえて難しいことを選ぼう、前に進もう」っていう大きい方向性、意思決定の話をする。それを示しておくと、それに付随した細かい決まり事とかやるべきことは現場の人間が判断していく流れができる。その時の仕組み作りは、実は設計していて、色々な取り組みを月に1回だけじゃなくて色々なところで仕組化して運営しています。

高木イベントは行っていますか。

井手イベントもそうですが、朝はくだらない朝礼っていうのを30分くらいやっているんですけど、仕事の朝礼じゃないんです。「昨日飲み過ぎて二日酔い」とか、「この間の休みは山に登ってすごく良くて」とか、色々な話をチームに分かれて30分くらいやっているんです。そうすると距離感が近くなったりとか、いろんな話がしやすいベースができるとか、それは初歩的な取り組みなんですけど。難易度が高い切磋琢磨して議論が激しく戦うものなども作っていて、軽いものから大きいもの、少人数でやるもの大人数でやるものと上手く設計していてそれをぐるぐる回してやっています。

高木なるほど。佐々木さんは、前は経営側と現場側の間にいましたが、経営側からくる情報と下に伝える情報って同じに伝えていいはずがないと思います。どうやって伝えていたのですか。

高木 孝 氏:株式会社ピー・ビー・アイ 代表取締役

高木 孝氏

佐々木大体、上の人は「なんで俺が言っていることをお前らは分かってくれない。俺はこんなに会社を愛していてお前たちの生活を守るのに頑張っているのに」と。で、現場は「どうして上の人たちは私たちが毎日こんなに大変な思いをして、残業して、限界ギリギリなのに、それでもやれってどうしてあの人たちは簡単に言えるの?」って、お互いに言い合ってる。

今日、特別講演で大西さんがサッカーに例えて言っていて、すごくわかりやすくて、片方は「点とらないと勝てないんだぞ、何点失点しても相手より点とれば勝てるんだ。なのにどうしてお前たちは攻めるべきタイミングで攻め上がってこないんだ」って。反対側を見ると「どうしてあの人たちは私たちがこんなに体を張って守って大変な目にあっているのに、前線から戻ってきて助けてくれないんだろう。失点しなければサッカーは負けないのに」とお互いに言い合っているんです。一見すると対立しているように見えるんですけど、何てことはない「この試合に勝ちたいよね」って両方言っている。そこが一緒であることをきちんと翻訳するのがミッドフィルダーであり自分のポジションだと思っています。

てっとり早いのはフォワードとディフェンスを一回入れ替えればいいんですよ。じゃないとお互いの苦労って分からないですよ。擬似的にでもやるべきだと思います。

高木やっぱり翻訳って大事だよね。向かっている先はゴールなんだけど101対100で勝てばいいというチームと1対0とは違う。勝ちは勝ちだけど。じゃあ自分たちはどっちにいくの、101点も大変だし、0点も大変だよねって、それを分かった上でやらないと、というのはすごくある。

佐々木あとはやっぱり「ディフェンダーは1点失点すると」ってあったが、ノルマと責務だけをバックヤードに負わせちゃいけないですよ。逆にそこの部分まで含めて僕はバックヤードの人たちがもっと前に出てヒーローになるべきだと思います。俺が会社の主役だって。じゃないと、結局どんどん売れれば売れるほど、ノルマと責任だけが増えてしまってやらされてる感がでてしまう。

高木バランスの悪い職種になってしまう。

佐々木フロントは「うちもこういうやり方できるかな」って、しょっちゅう交流をやってるんだけど、バックヤードの人たちは社内で完結してしまうから、自分たちのやり方が限界だと思ってるし、現状でのベストだって思い込んでいる。実はそうではないので、そこの交流をやらせてあげるのって良いのかなと思います。今回のような催しってすごく良いと思います。

佐々木 伸一 氏:テラオ株式会社 EC部マネージャー

佐々木 伸一 氏

シンプルなことを毎日言い続けることで、やっと伝わる

高木三宅さんのところのマリリンイズムはどうやって現場に落とし込むのですか?

三宅マリリンイズムは背中を見せていることろ、やはりこちらが真剣だから分かってもらえるというのがひとつと、もうひとつは毎週朝礼で同じことを繰り返していて、「私たちはお客様にハッピーを届けるために仕事してますよ」、「お客様からいただくありがとうが私たちの報酬です」を言い続けます。すごくシンプル。

高木基本的にはシンプルなことを毎日毎日伝えているんですね。

三宅それだけを外注さんを含め、一番重要なこととして伝え続ける。

高木伝え続ければ伝わりますか?

三宅変わらないことを言い続けるので、また始まったなって感じですけど耳にタコができるので覚えてもらえる。単純なことだからこそ覚えてもらって、二言目にはスタッフも頭にでてくると思います。

三宅 幸子 氏 :株式会社ミン 代表取締役

三宅 幸子 氏

高木久保さんはどうですか。どう伝えてますか。昨日までアロマやっていたのに帽子やりますみたいなこととか。

久保僕ら全体だと30人くらいで、ネット通販は楽天だと4店舗、他にも化粧品やバッテリー関係、電子タバコ、飲食店とかいろんな業種業態があって。営業部隊、ネット通販、リアルショップもあったり。全員が集まるのは年に2回くらいしかないので、それぞれの頭を作ってその頭のやり方でやってもらって、大枠の価値観は僕が話し合うというやり方でやっています。

去年、ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)とらせてもらった時も現場にあまり入っていなくて。僕は去年海外に留学していて、その間にスタッフがSOYとってて、帰ってきたらレッドカーペット歩いてくださいって感じで。スタッフが頑張ってくれているというのが強くて。僕は元々アロマ屋さんをスタートさせた4、5人でやっていたころが一番楽しくて、苦労を苦とも思わなくて、とにかく楽しい。それがだんだん10人、15人と増えてきた時に「あれ、これ何の為にやっているんだっけ?」と、変な感じになっていくのを自分自身感じた時に、「少人数のチームを複数作って、その頭に責任感を持ってもらってやるのがいいな」と思いました。

勘違いをして欲しくないのは、人に任せればそうなるわけではなくて、任せる人間を見誤ると大怪我する。あとは経営者とか上司ってチェックは得意なんですよね、できてないところを見つけるのは。チェックした後のフォローが大事で、その後どうなったかの報告まで追うのを大事にしてて。各部門のトップにはチェックした後のフォローはしてあげてねと伝えて、その上で責任判断は委ねています。

もっとバックヤードの人が情報交流できる機会を

高木最後に一言ずつ、自分たちのECをやっているからこそのビジョン、夢、バックヤードへのメッセージを今日の締めの言葉としてお願いします。

井手僕らのミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」なんですけど、ビールを通して色々な人を幸せにしたい、世界を幸せにしたいと考えています。人からなんと言われようとその道を信じてやっていきたいと思います。今日はとても良い会だと思うので、もっともっと広げていって3会場くらいぶちぬいて、情報交流をもっとやっていってほしい。来年以降も盛大にお願いします。

井手 直行 氏 :株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役

井手 直行氏

佐々木バックヤードを担当している方ってそこまで自分に自信を持っていない方が多い気がします。なんとなく。「私は裏方、縁の下の力持ち」ではなくて「自分が主役の一人だ」、「フロントで売っている人と変わらない重要度だ」という自覚をしてもらいたい。

あと、バックヤードの人たちってやって当たり前だと思われちゃうじゃないですか。でもフロントの仕事って加点がされるじゃないですか。「SOYとりました!」「スピーチしました!」って。残念ながらバックヤードの人たちって、減点されることはあっても加点されることはすごく少ないんですよ。

よくビジネスの寓話でレンガを運ぶ話ありますよね。「あなたは何をしているんですか?」と聞かれると「レンガを運んでます」と。いつまでにどのぐらいの量を運ばなければいけないんだと。量が増えて納期が短くなったらそりゃ辛くなりますよ。逆に経営者が「あなたがレンガを運ぶことによって、こんなすてきな教会が建って、みんなが幸せに心安らかにすごせるんですよ」って実感させてあげること。自分自身もまだまだできてないんですけど、経営者の方々はそれをバックヤードの方々にきちんとフィードバックしてほしいなと思います。

三宅私はアナログ人間なので、セールの時は一緒の時間に起きていて、1つずつ受注を開いてありがとうございますって言います。それをやってキャメロンワンピースっていうのが大ヒットした時に、キャメロンワンピース買ってる人ってみんなレギンスも買ってるなって分かり、それを共同購入にもっていって次のヒットを作ったことがありました。

だからこそバックヤードの人って次に何がヒットするかっていうのを一番知ってるところなんですよね。皆さん受注を見ているわけですから。だからそれをフィードバックして皆さんがヒット商品を作る一番身近なところにいる。皆さんの声でそれができる源になる。企画の方はあまりそこまで分かっていない状況になっていると思うので、ぜひそこを提案していただきたい。

自分たちがヒット商品を作って、自分たちが次の会社を担っていくという風に意識を持って発言をしてもらえればいいなと思っています。

久保バックヤードの仕事って自分たちで取りにいくものではないですが、楽天大学の学長が言ってる「魂のごちそう(たまごち)」というのがあって、一番ありがとうをもらえるポジションでもあると思うんですね。実は経営者って、「たまごち」って言われるお客様のありがとうとかって、直接もらえる接点が少なくなっていくんですね。経営者として自分たちが作ったサービスで世の中が変わっていく、誰かからありがとうって言ってもらえるビジネスをしながら、自分たちがご飯を食べられる、生活ができるって経営者冥利につきる。この会社やって良かったなって感じる。なので、ぜひぜひ経営者の方々やフロントの部分と、自分は関係ないからじゃなくて、お客さんからこんな意見来てますよ、ってどんどんシェアしてもらうと、会社は良くなっていくと思います。

経営者ってなかなか原点を見れない時もあるので、もう1回立ち返って現場のたまごちを見てみたいなって思いますし、そういう話が出た時に現場の意見を聞いていける会社であれば良いのかなと思います。

久保 雅也 氏:株式会社イマリ 代表取締役

井手 直行氏

高木楽天カンファ全6会場7パートのトークセッションのモデレーターもやっているんですけど、こうやって経営者の方をよんで、結局みんな言うのは「フロントは大事だけどバックヤードがなくなったらだめだよね」。

会社って絶対そうで、いくら注文受けてもきちんと届けないとダメだし、代金回収できなきゃ商売ってやっていけないし。売るのも大事だけど、売った後どれくらい良い印象を持ってもらうかが、次のリピートにもつながるし。バックヤードが大事だと経営者の方も分かっている。すごく皆さんの存在に支えられている業界です。経営者として日々感謝しているものの、なかなか言う機会がない。今日来ている人たちは日々バックヤードの業務に勤しんでいて、機会がないとなかなか前に出て来られない人もいるかも知れない。だから、こういう会ってすごく有意義で、ここを活性化したら実は流通ってもっと上がっていくんじゃないかって思っていて。今日の会を開催してくれたアイルの皆さんに、また次回開催してもらいたいなという気持ちをこめて今回の締めの言葉とさせていただきたいと思います。皆様ありがとうございました。

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【アイルからのお知らせ】

「バックヤードフェス2016」を4月23日に開催

昨年実施した「バックヤードカンファレンス」をさらに拡大。今回は有力ECショップの対談だけでなく、壁紙の貼り方や着物の着方などのワークショップ、物流倉庫体験ができるゾーンを設けたほか、ECショップで販売している人気商品をその場で購入できるようにするなど、まさにお祭りのような雰囲気で実施する。

昨年実施した、バックヤードの優れたショップを表彰するバックヤードアワードも合わせて開催する。参加はECサイトにかかわる人のみならず、一般の参加も可能となっている。

  • 日時:4月23日(土)開場:11:00~閉場:21:00
  • 会場:COMMUNE246(コミューン ニーヨンロク)
    • 東京都港区南青山3-13​
    • 地下鉄「表参道」駅「A4」出口から国道246号を外苑方面に徒歩2分
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