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Amazonのショッピングカートボックス獲得のための消費者レビュー対策の基本

ネガティブなレビューは販売事業者にとって大打撃。悪影響を最小限に抑えるには顧客満足度を上げることです

Digital Commerce 360

2018年8月23日 7:00

星の数が低いレビューは、Amazon(アマゾン)利用者に容易に見つかりますし、レビューが悪いと販売事業者が望む「Buy Box」(編注:日本ではショッピングカートボックスと呼ばれる)に選ばれる確率は低くなります。今回は、アマゾンでのネガティブなコメントへの対処方法と、アマゾンの顧客を喜ばせて、ネガティブなレビューを回避する方法をご紹介します。

オンライン上でのネガティブなコメントは、大打撃になります。アマゾンで販売している事業者にとってはなおさらです。

幸運にも、アマゾンには販売事業者が直接顧客と問題解決できるようなシステムがあります。販売事業者が誠意をもって対応すれば、顧客も同じように誠意を示し、ネガティブなレビューを取り下げてくれることは、珍しいことではありません。

では、どうすればアマゾンのネガティブなレビューの影響を最小限に留めることができるのでしょうか? 答えは簡単です。顧客満足を上げることに徹するのです。

ネガティブなコメントと販売事業者の評判

ネガティブなレビューが、特にアマゾンで販売している事業者にとって痛手なのはなぜでしょうか?

まず、アマゾンでのネガティブなレビューは、販売事業者のフィードバックスコアにすぐに影響を及ぼします。多くの消費者が、このスコアを参考にして買い物をしているのです。

また、すべてのフィードバック(顧客がフリーアンサーで書いたコメント含む)が、販売事業者のプロフィールページに掲載され、誰でも確認できるようになっています。不満をぶちまける顧客が1人いるだけで、それまでまったく問題のなかった販売事業者の評判に大きな傷がつきます

さらに困るのは、アマゾンが最新のレビューから表示していることです。新しいレビューがないと、悪いレビューをページ下部に移動することができません。

ネガティブなレビューは、「Buy Box」獲得に影響を及ぼします。アマゾンが出品者向けヘルプページで説明するように、すばらしいカスタマーサービスを提供すれば、「Buy Box」を勝ち取るチャンスが高まるのです。アマゾンは、すべての販売者の不良品率と健全性を監視していますが、それらはネガティブなレビューに左右されます。ネガティブなコメントが増えれば、健全性が損なわれ、「Buy Box」を獲得する可能性が低くなるのです。

要するに、チェックされないままネガティブなレビューが放置されると、オーダーも売り上げも減っていく、ということです。

ショッピングカートボックスの表示例
編注:複数のアマゾン出品者のうち、商品のトップページに表示される「Buy Box(ショッピングカートボックス)」を獲得できるのは1人だけ。一番目立つ「カートに入れる」ボタンで掲載される。

ネガティブなレビューは、ずっと残るわけではない

いいニュースもあります。アマゾンでのネガティブなレビューは、必ずしもずっと残るものではありません。実際、アマゾンは販売事業者に対して、積極的に不満を訴えている消費者に関わり、解決策を見つけるよう促しています

ネガティブなレビューが届いたら、問題の原因をすばやく見つけ、解決策に向けて動き出すように。

顧客の心配事が解決されたら、販売事業者はレビュー更新、もしくは削除の依頼をすることが許されています。アマゾンが以下のような細かいガイドラインを定めていることも注目に値するでしょう。

  • レビューの変更、削除を無理やりお願いしてはいけない。
  • インセンティブを与えてはいけない。
  • 購入者は60日以内ならレビューを更新、または削除できる(最初のレビュー投稿日から計算して)
    参考:アマゾンのコミュニティガイドライン

もちろん、ネガティブなレビューを解決するには、双方向のコミュニケーションが必要です。顧客が返信してくれなければ、状況をよくすることは不可能です。顧客が返信してくれる保証はどこにもありませんが、eComEngine社の社内データによると、数時間以内(数日以内ではなく)にフォローすることで、顧客との関係性が劇的に良くなります

初めからネガティブなレビューを回避する

理想的な対策は、ネガティブなレビューを初めから回避することです。シンプルな話に聞こえるかも知れませんが、多くの販売事業者は、アマゾンが提供する「ネガティブレビューを回避する方法」を忠実に守っています。特に、販売事業者は以下を避けるように助言されます。

  • 在庫切れ

    アマゾンの利用者は、「Buy Box」をクリックすれば、早くて便利な買い物体験につながると思っています。彼らは在庫切れになっているとは思っていません。在庫と入庫管理をきっちりすることで、在庫問題(とネガティブなレビュー)を減らすことができるのです。

編注:在庫問題は、アマゾンのレビュー対策で重要な要素の1つ(アマゾン、「購入者から高い評価を受けるには」より)。
  • 発送問題

    FBA(fulfillment by amazon)を利用すれば、販売事業者が発送する義務はなくなります。しかし、多くの事業者がさまざまな理由(プライベートブランドである、まとめ買い商品である、競合の少ない商品である、など)から、自社で配送を行っています。顧客を喜ばせるためには、期待に応えるのはもちろんのこと、FBAを上回る質のパッケージングや迅速さが求められます

  • 頭痛の種になる返品

    顧客の期待に応えられない商品もあります。誰が発送したかに関係なく、顧客は無料返品を期待しています。アマゾンが最近始めた、販売事業者が発送した商品でも返品プロセスを自動化する動きは、消費者にも販売事業者にとってもいいことです。掲載商品を正確に把握することも、不必要な返品やネガティブレビューを最小限に抑えるのに役立ちます。

  • コミュニケーションの遅れ

    アマゾンは、販売事業者に対して、顧客の問い合わせには24時間以内に対応することを求めています。返答に時間がかかれば、問題は大きくなり、悪いレビューにつながるからです。

    安定した注文管理のワークフローを持つことは、販売事業者の評判を守るうえで大切です。また、他の顧客(満足している多くの顧客たち)からフィードバックをもらう習慣をつけておけば、たまに掲載されるネガティブなレビューの影響を和らげることもできるでしょう。

ネガティブレビューに固執しない

賢い販売事業者は、顧客を喜ばせ、ネガティブなレビューを最小限にとどめています。積極的に顧客に関わり、問題となりそうなことをあらかじめ取り除き、成功しやすくしているのです。

ですから、アマゾンでネガティブなレビューがあったとき、固執しないようにしましょう。自社サービス向上のいい機会だと捉えてください。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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