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ECモールやSNSなど「プラットフォーマー型ビジネス」が台頭する中、必要なルール整備を進めている政府の検討会は11月5日、現在の課題や必要な政策などをまとめた「中間論点整理(案)」を公表した。

デジタル・プラットフォーマーと利用者(事業者および消費者)を巡る取引実態が不透明で、不公正な取引慣行の温床になる可能性があると指摘。独占禁止法を補完する形で、重要な取引条件の開示・明示をプラットフォーマー側に義務付けるなど、規律の導入を検討すべきとする意見などが盛り込まれている。

「中間論点整理(案)」に対するパブリック・コメントを募集し、事業者に対するヒヤリングなども行った上で、具体的措置の実施に向けて検討を進める。

検討会の名称は「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」。経済産業省と総務省、公正取引委員会が合同で2018年7月に立ち上げた。有識者による検討会を、これまで計7回開催している。

「中間論点整理」における7つの論点

「中間論点整理(案)」では、検討会であがった意見を7つの論点にまとめている。各論点の主な内容は次の通り。

論点1 デジタル・プラットフォーマーの意義・特性

「デジタル・プラットフォーム」には、オンラインショッピングモール、アプリマーケット、検索サービス、SNSなどが存在する。デジタル・プラットフォームが存在することで事業者が市場にアクセスしやすくなり、消費者にとって便利である反面、プラットフォーマーの独占化・寡占化が進みやすいとされている。

論点2 デジタル・プラットフォーマーに対する法的評価の視点

これまで、国内ではデジタル・プラットフォーマーは「単なる場の提供者(媒介者)」であり、積極的な責任は負わないと理解する傾向が強かった。しかし、近年は欧米ではプラットフォーマーに一定の規律を設けようという動きがある。

プラットフォーマーの以下の3つの特徴を踏まえ、環境整備のあり方を検討していく必要があるのではないか。

  • デジタル・プラットフォーマーは、社会経済に不可欠な基盤を提供している
  • 多数の消費者(データ提供者)や事業者が参加する市場そのものを、設計・運営・管理している
  • アルゴリズムによるプロファイリングなどを通じて、市場の操作性や技術的不透明性が高い

論点3 イノベーションの担い手として負うべき責任の設計(業法の在り方等)

既存の法律は、プラットフォーム・ビジネスを営む上での障害となっている可能性がある。同時に、プラットフォーム・ビジネスに対して適切にコントロールできていない可能性もある。以下の観点から、関連業法の見直しが必要ではないか。

  • 既存の業法が、守るべき社会的利益・価値の観点から、適切な規制を及ぼしているか。
  • デジタル・プラットフォーマーを一定のコントロール・ポイントとすることで、効果的な消費者保護や安全確保を図れるのではないか。
  • 既存事業者と新規事業者、国内事業者と海外事業者の間で、競争条件の同等性が確保されているか。
  • 信頼確保のため認証や監査等の手法を効果的に活用する制度設計の余地はないか。
  • 柔軟な共同規制の方法も取り入れることを検討してはどうか。

論点4 公正性確保のための透明性の実現

デジタル・プラットフォーマーと利用者(事業者および消費者)をめぐる取引実態が不透明であり、不公正な取引慣行の温床となる可能性がある。議論の出発点として大規模な調査を行い、継続性の専門組織を作ることも必要。

独禁法を補完するものとして、重要な取引条件の開示・明示をプラットフォーマーに義務付けるなど、取引慣行における規律の導入を検討する必要があるのではないか。

論点5 公正かつ自由な競争の再定義

デジタル市場における「公正かつ自由な競争」の再定義・再構築の必要性を検討すべきではないか。たとえば以下の論点にどう対応するか。

  • ネットワーク効果やデータ集積などが競争へ及ぼす影響をどのように評価するか。
  •  デジタル・プラットフォーマーが潜在的な競争相手の芽を摘むような形の企業結合について、どのように考えるか。
  •  経済的価値を有していると考えられるデータを提供し続けている消費者との関係で、優越的地位の濫用規制を適用することを考える必要もあるのではないか。
  • 違反行為の抑止のための適切なエンフォースメントについて、たとえば課徴金などの制度の在り方を検討していくことも必要ではないか。

論点6 データの移転・開放ルールの検討

データポータビリティやAPI開放といったデータの移転・開放に関するルールの要否や、その内容を検討していくべきではないか。欧米では個人が一定のパーソナル・データにアクセスできる仕組みある。

論点7 国際の観点

デジタル・プラットフォーマーの規律の在り方について国際的な協力が必要ではないか。 海外事業者に対して法令の実効性を持たせるなど、執行の仕組みについて検討を進める必要があるのではないか。

「未来投資戦略2018」の閣議決定受け検討会発足

デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」は、政府が2018年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」おいて、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備を進める方針が定められたことを受けて今年7月に設置された。

検討会の委員は、大学教授や弁護士など15人。事業者は含まれていない。

経済産業省は、デジタル・プラットフォーマーをめぐるビジネスの実態把握などを目的に、オンラインプラットフォームを利用している事業者(個人を含む)に対するアンケートを実施。11月5日に結果を公表している。

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