通販新聞 2019/1/24 8:00

メディプラスの2018年8月期は売上高が前年比横ばいの約80億円だった。ただ、国内売上高は、主力として展開するオールインワン化粧品市場の競争激化を受け苦戦している。こうした中、創薬ベンチャーの買収を通じ、“成分マーケティング”を軸に持続的な成長を目指す。恒吉社長に今後の成長戦略を聞いた。

従来の通販だけでは商品やブランド価値を伝えることに限界

――前期実績の状況は。

「買収した創薬ベンチャーのブイエムシー(現・メディプラス製薬)などを含むグループ売上高は前年比0.1%増。メディプラス単体の国内売上高は、同約3%減の72億円(海外子会社などとのグループ間取引を含む)。海外売上高(台湾)は同66%増の約10億円だった」

――オールインワン化粧品市場の動向は。

「ドラッグストアを中心とする流通市場において資本力のある大手、新興企業の参入などプレーヤーは増えており、拡大基調は続いている

――その中で横ばい推移の要因は。

「広告クリエイティブの疲弊はあるものの、これまで主力の『メディプラスゲル』に商品力があり、全員で(通販やメディプラスゲルを軸にした成長など)同じ事業に取り組み、良くも悪くもこれを守り育てることで成長してきた。一方、“オールインワン”で成長したからこそ、機能別のシリーズ拡張や、化粧水、美容液などオールインワンと機能が重複するカテゴリのラインアップ拡充でブランドを毀損するのではないかという抵抗があった。これが足かせとなり、市場に投入する商品企画のフレームを作ってくることができなかった」

「また、通販企業の良い面でもあり、悪い面でもあると思うが、過去の知見からKPIの握れる領域の中で次の戦略を模索し、投資対効果の見えにくい分野に手を出してこなかった。当然、ターゲットや訴求ポイント、キャンペーンで視点を変えることはあっても微調整の繰り返しで大きくトライできない社内環境もあった。本来、チャレンジしなければ見えない部分もある

メディプラスの恒吉明美社長
恒吉明美社長

――いかに組織、戦略を変えていくのか。

「限られたリソースの中で何に投資を行い最大の効果を得るか。今期は、『成長領域』や『既存領域(通販事業)』の各分野で人員配置、予算配分を行いつつ、投資すべき分野を見極めていく。投資領域においても撤退のラインや評価基準を定め、リソース配分の最適化を図るためのフレームを構築していく」

――具体的に何を行っていくのか。

「一次領域は、悩みが顕在化している層を対象に化粧品を軸に定期顧客基盤を構築する従来の通販事業。既存製品と異なる新規獲得商材の開発などにトライする。二次領域は、販売モデルの多層化にトライする。従来の通販だけでは商品やブランド価値を伝えることに限界がある実店舗の展開を強化しタッチポイントを増やしていく

「三次領域は、成長領域として新規事業の確立を目指す分野。スペックや価格競争に陥りがちな獲得広告に依存しない取り組みとして『メディカルホームケア』のコンセプトに共感してもらえる層を増やしていく。グループのメディプラス研究所を通じ、『ストレスオフ市場』の創出を図る一般社団法人の立ち上げも一つ(通販新聞1680号既報)。『ストレス性乾燥肌』『ストレス性疲労』といった拡散性のあるキーワードを生み出し発信しつつ、その解消につなげるソリューションを企画していくことで『ストレスオフ市場』の創出を図っていく」

――成長領域の取り組みとして、とくに製品面を聞きたい。「メディプラスゲル」はどう変わるのか。

「これまでは『コストパフォーマンス』『時短』『低刺激(無添加)』といった訴求から総じて“それなりの価格でまあまあの実感”という評価に落ち着いていた。ただ、その分野はレッドオーシャンで流通市場に真っ向勝負を挑んでも対抗できない。今後は、より効果感を高めた製品にしていく。医療現場で採用実績のある効果的な処方と、低刺激で続けやすい使用感を両立させた商品を『メディカルホームケアプロダクト』と名づけ、スキンケアを超えた価値を創造していく」

――機能訴求のラインアップなどすでに取り組んでいる企業もある。

「その中でいかにメディプラスらしさを表現するか。そのために特許技術を持つ成分『オゾン化グリセリン(オゾンジェル)』を持つ創薬ベンチャーの買収もある。これまでは“企画会社”だったが、買収を通じ、成分開発から直接かかわり効果実感のある素材を開発していく。『成分マーケティング戦略』と呼んでいるが、これをいかに伝え、販売につなげるか。製品も化粧品に限らず、医薬品や雑貨といった可能性もあるかもしれない。一方で、製品は『ストレスオフ』をエビデンスを持ってしっかり語れるものでなければならない。戦略にそぐわないものはかえってブランド価値がぼやけるため改廃も進めていく」

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