AR+AI搭載のディスプレイで仮想メイク、化粧品ECの課題を解決する中国の技術とは?
中国大手ECサイト「京東商城(JD.com)」を運営する京東集団は、AR(拡張現実)を活用してユーザー自身の顔で仮想メイクを施すことができるタッチパネル式のディスプレイ「AR化粧鏡」を日本の小売市場に投入する。
「AR化粧鏡」は化粧品などを自分の顔で試し、商品の使用イメージを購入前に確認できるのが最大の特徴。ディスプレイ上で何パターンもの仮想メイクを施すことができる。試した化粧品はディスプレイからECサイトを通じて商品を購入できる仕組みになっている。
「AR化粧鏡」は、限られた店舗スペースでの商品陳列、試供できる商品数、顧客のデータ化といった店舗運営における課題を解決するツール。気軽に商品試用の機会を提供することで商品購買の機会拡大に役立つとしている。
「AR化粧鏡」は売り場のカウンター、空港、地下鉄、結婚式場など、さまざまな場所で使用できるという。
「AR化粧鏡」には京東集団が開発したAR技術とAI(人工知能)を搭載。AIを載せたディスプレイがユーザーの顔の特徴を識別し、ディスプレイ上で仮想メイクを施す仕組み。ユーザーの顔の動きに合わせて、メイクも動く。
仮想メイクを施せるジャンルは、口紅、チーク、カラーコンタクトレンズ、アイシャドウ、アイライナー、ファンデーション、マスカラなど。
美顔整形機能もある。美顔、アイメイク、フェイスリフト、露出調整などの整形機能を搭載しているという。仮想メイクを施した画像をスキャンし、ソーシャル上で共有できる機能も搭載している。
中国では京東が運営する実店舗で導入しており、来日した京東の越境ECを担当する「京東Worldwide」総監の李漢青(リーハンチン)氏は、「『AR化粧鏡』は簡単に化粧品を試すことができるツールとして、商品購入に役立っている。日本でもソリューションを販売していきたいが、ローカライズなどでいろいろと工夫しないといけない」とコメントした。
「AR化粧鏡」はスマホアプリ向けの技術を応用
「AR化粧鏡」は、ARを使って商品をユーザー自身の顔で試すことができるメイクアップ機能「AR Styling Station」をタッチパネル式のディスプレイに応用したもの。「AR Styling Station」は京東集団が運営するスマホアプリで提供している。
京東集団が「AR Styling Station」を開発したのは、「メイクアップ製品のネットショッピングは、商品の写真だけで購入を決めなければならず、実際に試して自分に似合うかどうか確認できないことが課題となっていた」(京東集団)ため。
「AR Styling Station」には、商品を試した顔写真をSNS上で友だちとシェアできる機能がある。この機能を活用することで、化粧品ブランドはECサイトへの流入を促し、コンバージョン率をアップできるメリットがある。
メイクアップ業界の専門家の協力のもと開発したこの機能は、ネットショッピングの利便性と、化粧品のお試しという実体験を同時に叶えることができる。(京東集団)