【雇用調整助成金】休業手当の助成率を最大94%まで拡充。休業要請など対応の事業者は100%補助[上限1人あたり1日8330円]
厚生労働省は4月25日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業主が労働者を1人も解雇しなかった場合に、中小企業で90%、大企業で75%を助成するといった「雇用調整助成金」の緊急対応策をさらに拡充し、事業主への助成率を最大94%まで拡充するといった特例措置を発表した。
特例的と位置付ける拡充策は2つ。
- 休業手当の支払い率支払率60%超の部分の助成率を特例的に10/10とする
- 一定要件を満たす場合、休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする
特例措置の詳細は5月上旬をメドに改めて発表する。
雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成する制度。
現在、雇用調整助成金に関して4月1日~6月30日までを「緊急対応策」の期間とし、政府は全国規模で雇用維持の調整を急いでいる。「緊急対応策」の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者(全業種)。
特例措置1 休業手当の支払率60%超の部分の助成率を特例的に10/10とする
労働基準法26条では、業績悪化などによる従業員への休業要請など「使用者の責めに帰すべき事由」で従業員を休業させる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支給しなければならないと規定されている。
特例措置では、賃金の60%を超えた休業手当を支給する場合、60%を超える部分に係る助成率を特例的に10/10とする。教育訓練を行わせた場合も同様。
現行の新型コロナウイルス感染症特例措置では、助成率は中小企業で約67%(2/3)、大企業で50%だが、「緊急対応策」でそれらを中小企業は80%、大企業は約67%(2/3)に引き上た。また、1人も解雇しなかった場合は中小企業で90%、大企業で75%としている。
たとえば、1人も解雇しなかった中小企業のケースで、事業主が従業員に休業手当で平均賃金の100%を支給した場合、法定上の6割分までを最大9割支給。残り4割分を「特例措置」で助成する。このケースでは会社の負担は休業手当全体の6%となる。
適用日は4月8日以降の休業などに遡及(4月8日以降の期間を含む支給単位期間に適用)できる。なお、上限は対象労働者1人1日あたり8330円。
特例措置2 一定要件を満たす場合、休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする
政府や地方自治体の休業要請などに応じた中小企業が従業員の雇用を維持している場合で、以下の要件を満たしていると、休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする。
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請で、休業また営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主で、これに協力して休業などを行っていること
- 次のいずれかに該当する手当を支払っていること
- 労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること
- 上限額(8330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率60%以上である場合に限る)
適用日は4月8日以降の休業などに遡及(4月8日以降の期間を含む支給単位期間に適用)できる。なお、上限は対象労働者1人1日あたり8330円。
申請書類の記載事項を約5割減らしている
厚労省は、事業主の申請手続きの負担軽減策を実施している。計画届は6月30日までの事後提出が可能。
- 記載事項を約5割削減(73事項→38事項に削減)
- 残業相殺制度を当面停止(残業時間の記載不要に)
- 自動計算機能付き様式の導入で記載事項を大幅に削減
- 記載事項の大幅な簡略化
- 日ごとの休業などの実績は記載不要(合計日数のみで可)
- 添付書類の削減
- 資本額の確認の「履歴事項全部証明書」などを廃止
- 休業協定書の労働者個人ごとの「委任状」を廃止
- 賃金総額の確認のための「確定保険料申告書」を廃止(システムで確認)
- 添付書類は既存書類で可に
- 生産指標→「売上」が分かる既存の書類で可
- 出勤簿や給与台帳でなく、手書きのシフト表や給与明細でも可
- 雇用調整助成金の特例措置について(PDFが開きます)
- 雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)(令和2年4月13日現在)(PDFが開きます)
- 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充(PDFが開きます)
- 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う 雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A(PDFが開きます)
- 雇用調整助成金について