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売れるネット広告社の代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏がEC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談する企画。10回目は奥田製薬株式会社の石川砂織さんの登場です。

今回の“e-女”

奥田製薬株式会社 石川砂織氏
奥田製薬株式会社 石川砂織(いしかわ さおり)さん
大阪府生まれ。広告代理店、製薬会社などで広告宣伝、販売促進、市場リサーチ設計、ブランディングなどマーケティング業務全般に携わる。製薬会社の通信販売部では新規顧客集客、会員向けプロモーションなど企画運用を責任者として担当。2016年に奥田製薬株式会社に入社。奥田製薬では製薬会社のマーケティング業務全体を担当し、また通信販売部のリーダーとしてプロモーション、商品開発、フルフィルメント全体を統括運用している。

お客さまの行動からニーズをあぶり出す

加藤公一レオ(以下、加藤):これまでのキャリアを教えてください。

石川砂織(以下、石川):最初のキャリアは広告代理店でした。オフラインの広告代理店2社を経て、製薬会社の通販事業部に企画担当者として入りました。その後、もう1社を経て奥田製薬に入社しました。

加藤:これまでは店販商品のマーケティングが中心だったんですね。店販マーケティングのテッパンのやり方というのはどんな感じですか?

石川:消費者インサイトを拾うこと、体験・実感型のマーケティングを得意としています。「お客さまの行動パターンから底に沈んでいるニーズをあぶり出す」という手法です。

例えばドラッグストアなどを見回るとき、「どんなポップを見ているのか、どんな商品をどんな順番で見ているのか、何を手に取っているのか、どんな動線をたどっているのか」など、怪しまれない程度にお客さまの行動を観察します。ネットで言うところの「かご落ち」を見るという感じです。

加藤:面白いですね。万引きGメンだと思われるんじゃないですか?(笑)

石川:警戒されないように気を付けています(笑)

オンライン出身とオフライン出身のマーケターの違い

加藤:御社の企業理念を教えてください。

石川:明確な「企業理念」というのはありませんが、「創業は人助けから」という言葉がキーワードです。創業者自身、胃腸が弱く、「なにか良い薬はないだろうか」と自ら開発し、誕生したのが創業商品の「奥田胃腸薬」でした。その「奥田胃腸薬」を胃腸が弱くて困っている近所の人にたくさん配ったそうです。それから現在に至るまで、奥田製薬では「世のため人のために良い薬を作ってお届けする」ということを社会的な使命としています。

奥田製薬のサイトより

加藤:素晴らしいですね。いろいろな商品を出されていますが、奥田胃腸薬の他にどのような医薬品を出されているのですか?

石川:胃腸薬や奥田脳神経薬のほかに、解熱鎮痛薬やアレルギー用薬、さまざまなカテゴリーの医薬品を販売しています。ほかに、大手ドラッグストアのプライベートブランド商品も多数手がけていますので、見かけられたことのある商品もあると思いますよ。

加藤:御社は120年以上の歴史があるんですよね。

石川:はい。明治30年創業で、今の社長は4代目になります。ずっと店頭販売の医薬品を中心に事業を展開してきましたが、約2年前に医薬品以外の商品を販売する通販事業を本格的にスタートしました。通販事業では化粧品の取り扱いも始めています。

加藤:通販に参入してどうですか?

石川:難しいですね。お客さまの注文もプロモーションもすべてオンライン、Webを通じての施策で、通信販売の経験があっても世の中の変化が激しすぎてお客さまの望みがどんどん変化していくので、私自身が持っている知識や情報はどうしても古く感じてしまいます。また、通販の経験者ということがあろ私が統括担当していますが、通販事業の専任というわけではないので、やりきれていないことが多く、まだまだこれからです。

加藤:御社ならではの面白い取り組みや画期的な制度などはありますか。

石川:「面白い取り組み」というのとは違いますが、当社は製薬が本業なので、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は100%守らなければなりません。製薬会社としての信用を落とすわけにはいかないので、商品の品質や広告表現はとても厳しく管理しています。

お客さまに「本当にいいものを売っている」と思ってもらえるような商品づくりはもちろん、広告表現でも過度な売り文句は使わず、本当のことをきちんとお伝えできるような表現を選んでいます。また、何か企画を考えるときには私自身がオフライン通販の出身ですので、そのときに得た経験を、言い回しや運用に生かしているということも少し変わっているのかもしれません。

加藤:これまで数多くのマーケターと会ってきましたが、実はネットのマーケティングに慣れてくるとオフライン出身のマーケターの方が優秀な場合が多いんですよね。なぜかというと、もともとネットから入ったマーケターの方はテクノロジーを過信する傾向があって、アナログ的な視点でお客さまのインサイトを探ろうという意識がないんです。

その点、オフラインのダイレクトマーケティングには膨大なノウハウの蓄積があるので、オフライン出身のマーケターは、ネット出身のマーケターとは違う視点でマーケティングができるという強みがあります。

石川:なるほど。オフライン経験者ならではのアイデアが出せるんですね。

オフラインマーケティングのノウハウは宝の山

加藤:ネット通販の面白さについて、何か感じていることはありますか?

石川:面白さは、「ネットの画面を見ただけで、人って商品を買うんだな」というのを実感していることです。ありとあらゆる商品がネットで買えるようになって、ネット上で比較検討を完結させているお客さまも多いです。

加藤:ネット通販は24時間365日、リアルタイムで結果が数字で目に見えるという面白さもありますよね。

石川:オフラインの場合は、コールセンターに張り付いて反響を見たり、トークスクリプトを作成して引き上げや離脱防止をしたりしますよね。ネットマーティングにも採り入れるべきことはありますが、やり方が全然違います。ただ、コールセンターでの引き留め施策など、ネットに転用できるオフラインのノウハウはたくさんありそうですね。

加藤:オフラインのノウハウは宝の山なので、石川さんや御社がお持ちのオフラインのマーケティングの本質的なノウハウをデジタルに持っていけば、すごいことになると思いますよ。

売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏

お客さまのつぶやきが広告のヒントに

加藤:ドラッグストアに行ってお客さまを観察するという取り組みは素晴らしいと思いますが、ネットでも類似の取り組みはできそうですか。

石川:他社商品も含めて、Twitterの口コミやAmazonのレビューはすごく見ています

加藤:なるほど、それは良いですね。自社商品の良い口コミを仕込む通販会社はありますが、純粋にお客さまの口コミやレビューをしっかり見ている通販会社はなかなかないと思います。

石川:口コミは純粋に気になります。「人を見てインサイトをさぐる」という手法が染みついているので、お客さまの言葉や行動から何を読み取るのかが大事だと考えています。

加藤:当社もA/Bテストの会社ですが、デジタルのマーケティングはプロセスや文脈を見るというよりは、A/Bテストをやって結論を出すという手法が主流です。ただ、そんな中でもなんとなく適当にやるのではなく、インサイトを読んで仮説を立てたうえでやるとA/Bテストの精度が上がります

石川:そうですね。他社商品も含め、お客さまのつぶやきから広告表現のヒントを得ることもあります。

加藤:逆にネット通販の難しさについて、何か感じていることはありますか。

石川:当社の商品は品質にこだわった良い商品なのですが、薬機法の縛りが多く、言いたくても言えないことがあまりにも多いです。目に見える形になっているランディングページの場合、電話での会話以上に表現に対して神経を遣わなければなりません。薬機法に触れないよう真っ白な状態でやっていても、競合の中には薬機法ギリギリのグレーなところを攻めてくる通販会社もあります。商品が類似している場合、より強い言葉で訴求している他社よりも不利になってしまうのが悩ましいところです。

加藤:そうですよね。だからこそ商品の良さを過剰に盛って伝える必要のないツーステップマーケティングをやって、お客さまに商品の良さを知ってもらうと良いでしょう。御社は現在、ワンステップマーケティングをされていますが、将来的にはツーステップマーケティングにチャレンジすることをおすすめします。というのも、ワンステップマーケティングというのは、合コンで出会っていきなり結婚を申し込むような手法で、ツーステップマーケティングはまずはデートに誘い、お互いを知ってから結婚を申込むという手法だからです。

御社は絶対にそんなことはないと思いますが、いきなり本商品の定期コースをオファーするワンステップマーケティングをやっている通販会社は、商品を良く見せるために、薬機法すれすれまで過剰に商品の良さを盛って伝える傾向があります。恋愛と同じで、まずはデートに誘ってお互いを知った後で結婚を申込む(まずはモニター商品を試してもらってから本商品の定期コースをオファーする)方が自然だし本質的ですよね。ネット通販のマーケティングもそのように変わっていくべきだと考えています。

奥田製薬株式会社 石川砂織氏

石川:ツーステップマーケティングの方が継続率も高くなるんですよね。

加藤:そうですね。当社でも何度もA/Bテストをしていますが、ワンステップマーケティングに比べ、ツーステップマーケティングの方が、LTVが平均で1.5倍、最大で2.0倍高くなることがわかっています。ツーステップマーケティングは、ロイヤルカスタマー化に有効な施策です。

石川:いろいろな取り組みをした結果、「ツーステップマーケティングの方が良いのではないか」という結論が出て、ようやく立ち位置というか方向性が見えてきました。今後ツーステップマーケティングをやるべく準備を進めているところです。

加藤:御社の創業者は、ツーステップマーケティングじゃないですけど「1度試してみませんか」と胃腸薬のモニター商品提供のようなことをされていたんでしょうか。

石川:はい。お試しとはちょっと違いますが、胃病で困っている方に「良い薬だから使ってみて」と差し上げていたそうです。無料で差し上げていたらそれが評判になり、求めに応じる形で販売を開始したのが創業のきっかけだったそうです。

加藤:なるほど。そのストーリーはランディングページでも使えそうですね。創業の歴史や理念を盛り込んだうえで、「私たちのことを知ってほしいから、いきなり本商品の定期コースではなく7日分のモニターを試してみませんか」という訴求ができそうです。

石川:なるほど。検討します。

製薬会社としての信用を生かしてサプリメントに挑戦したい

加藤:今後チャレンジしたいことはありますか。

石川:サプリメントや雑貨を出したいと考えています。製薬出身ですが、医薬品以外のお客さまの生活に役立つ良いものを提供していきたいです。特に体の中に入れるサプリメントは、製薬会社としての信用が生きてくると思います。

加藤:確かに、サプリメントや健康食品に関しては、製薬会社や大手企業などバックボーンがしっかりしている会社の方がお客さまも信用します。味を楽しむものではないですし、薬と違って即効性があるわけではないので、サプリメントを飲むならお客さまは信用のある企業の商品を選びます。逆に、化粧品は肌につけた瞬間に違いがわかるので、化粧品は比較的中小のベンチャー企業でも勝てる分野です。

石川:そうですね。当社の場合、業種的にサプリメントとの相性は良いので、「いかに良いものを作っていくか」という視点で成分などを研究しているところです。

奥田製薬のサイトより

「二重人格戦法」でブランド価値を高める

石川:以前から疑問に思っていたのですが、おしゃれなブランドイメージを伝える美しいランディングページとチラシ風のランディングページでは、やはりチラシ風のランディングページの方がレスポンスが良いんですか。

加藤:はい。何度もA/Bテストをしていますが、チラシっぽいコテコテのランディングページの方がコンバージョン率が高いです。ただ、ランディングページはコテコテのものを使いながらも高いブランドイメージを維持している通販会社もあります。

まずは商品を試してもらうことが大事なので、新規顧客に対しては下品にならない程度にコテコテにしたランディングページでガツンと商品の良さを訴求します。一方で、ブランドの世界観を伝えるには、実は同梱ツールがすごく役立ちます。ランディングページはコテコテでも、パンフレットはものすごくキレイなデザインにするんです。

石川:商品が送られてきたときのセットがキレイだったらブランド価値が上がるんですね。

加藤:そうです。「二重人格戦法」と呼んでいるのですが、お客さまが「この商品、良いな」と思って初めてブランド体験ができるので、商品お届け時に世界観を伝えるパンフレットや手紙などの同梱ツールを入れます。読むだけで会社や商品のファンになるような中身の充実した同梱ツールを入れて、ブランド価値を高めることが重要です。

石川:ツーステップマーケティングを開始するタイミングで同梱ツールのブラッシュアップも検討したいと思います。

加藤:化粧品の単品通販の場合、モニター商品を入口としたツーステップマーケティングで、ちゃんとした同梱ツールを入れれば、平均継続回数は5回以上になります。

石川:勉強になります。

加藤:ぜひいろいろと実行してください。単品通販というのは、一度成功事例を作ると、どんどん横展開していけるモデルです。

石川:来年にかけて全力で頑張ります。

対談を終えて

売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏と奥田製薬株式会社 石川砂織氏

会社の歴史は120年以上と長いものの、通販事業は2年ほど前に始めたばかりの奥田製薬様。ECの世界ではある意味挑戦者の立場ですが、長い歴史と製薬会社の品質に裏打ちされた商品への誇りとこだわりがうかがえました。その商品力と石川さんのマーケティングの知見を掛け合わせ、新たな施策に取り組んでいくことで、さまざまなシナジーが生まれる予感がします。

何よりも、「人助け」から始まった創業者の想いが今も受け継がれているのが素敵ですね。商品力はもちろんですが、創業の精神や商品開発への想いをお客さまにしっかりと伝えていくことがロイヤルカスタマー化につながるのではないかと感じました。

※「売れるネット広告つくーる」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5921847号


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加藤 公一 レオ

株式会社 売れるネット広告社 代表取締役社長CEO

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。

西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社ADKホールディングスにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアントのネット広告を大成功させる。

その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。

「やずやベストパートナー賞」受賞。「Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞」受賞。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン九州地区」受賞。

広告・マーケティング業界のオリンピック「アドテック」で3年連続人気スピーカー1位。
「全日本DM大賞最終審査員」や「米国 International ECHO Awards審査員」、「九州インターネット広告協会の初代会長」も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ 売れるネットショップ繁盛記』(impress Digital Books)。

単品通販(D2C)のネット広告の費用対効果を最大化するクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』を監修。

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