キヨハラサトル 2022/3/22 8:00
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EC事業において返品は避けて通れない。返品になれば事業者は返金作業が必要になる。仮に大量の返品が発生すれば、返金作業の負荷はかなりのものだ。

こうした返金に対する課題を解決するためにGMOペイメントゲートウェイが提供しているのが「GMO-PG送金サービス」だ。安価な手数料で利用できるだけでなく、現場の手間を削減することが可能になるという。返金・送金方法は3つの手段を用意しており、今後は〇〇Payといった決済サービスへの対応も進める予定。

返品が増加傾向にあるなか、「GMO-PG送金サービス」が導く解決策について紹介する。

消費者からの高まる「返品」ニーズ

返金は商品を購入した消費者が返品をする際に発生するが、そもそもECにおける返品はどの程度の頻度で発生しているのだろうか。

以下のグラフが示している通り、年商10億円以上100億円未満の企業の場合、5%以上の返品がある企業はおよそ6割。全体で見ると5割を超える企業が5%以上の返品を受け付け、返金処理を行っているということになる。

図:年商別の返品率
年商別の返品率

商品カテゴリ別に返品率を見ていくと、服や靴といったアパレル商品は返品率が56%とかなり高い。同じファッション分野でアクセサリやジュエリーなどの宝飾品も30%となっている。電化製品も42%と、アパレルに次いで返品率が高くなっている。

図:ECで返品の多い商品カテゴリ
ECで返品の多い商品カテゴリ

GMOペイメントゲートウェイでイノベーション・パートナーズ本部イノベーション戦略部製品サービスGrのグループ長を務める堀江和之氏は、こうした状況について以下のように分析する。

アパレルは、返品しやすいような売り方をして集客につなげている側面があります。特に大手のEC事業者様は、ユーザーに商品を先に選んでもらい、サイズが合わなければ返品するといったサービスを提供しており、それがだんだん多くのユーザーに定着してきました。その流れで返金のニーズが強くなってきているということもあります。(堀江氏)

GMOペイメントゲートウェイ イノベーション・パートナーズ本部 イノベーション戦略部製品サービスGrグループ長 堀江和之氏
GMOペイメントゲートウェイ
イノベーション・パートナーズ本部
イノベーション戦略部製品サービスGrグループ長
堀江和之氏

これに加えて、最近では新型コロナウイルス感染症の影響によって旅行やイベントなどが中止になり、それに伴う返金も増えてきているという。

EC事業者が抱える返品の3つの悩み

EC事業者側は、返品によって具体的にどのような悩みを抱えているのだろうか。堀江氏は返品における事業者の悩みとして、以下の3点をあげる。

  1. コスト……返金が必要な消費者(受取人)の口座情報を集めて保管しておくために人的・管理コストがかかる
  2. 手間……1件ずつ口座情報を入力する作業に手間がかかる。大量の返金が必要な場合は大変な手間になる
  3. 手数料……小口で契約している場合などは、銀行が定額で提供している価格と同程度の手数料がかかる

堀江氏によると、上記3つのなかでも最も多い悩みはコストだという。特に大量の返品が発生した際などは、受取人の情報を収集・管理するコストが大きくなるようだ。

そうしたEC事業者の返金に対する課題を解決するためにGMOペイメントゲートウェイが提供しているのが、返金・送金を代行する「GMO-PG送金サービス」だ。

3つの悩みを解決する「GMO-PG送金サービス」、豊富な返金・送金方法が強み

GMOペイメントゲートウェイが「GMO-PG送金サービス」を開始したのは2015年4月。返金だけでなく、EC事業者から消費者への送金にも利用できるサービスだ。サービス開始以来、返金・送金の方法を徐々に拡充している。2022年3月現在、「GMO-PG送金サービス」の返金・送金の方法は下記の3つがある。

  • 銀行振込
  • ATM受取(セブン銀行のATMで受け取り)
  • Amazonギフト券受取

返金・送金方法の豊富さは「GMO-PG送金サービス」の大きな強みだ。実際、EC事業者が「GMO-PG送金サービス」を選択する理由として、料金面の優位性に加え、銀行振込だけでなくATM受取とAmazonギフト券受取に対応している点を評価するケースも少なくないようだ。それぞれの仕組みを見ていこう。

銀行振込

指定された銀行口座への送金を代行するサービス。口座情報は受取人に自ら入力してもらうことも可能。正午までに送金指示(振込口座指定)を行った場合は最短翌営業日、平均1営業日から4営業日で受取人に送金が完了する。

一度入力した口座情報はGMOペイメントゲートウェイで保管するため、EC事業者は受取人の口座情報を保持する必要がない。また、取引条件によって異なるが、銀行での他行宛振込(窓口)よりも手数料を低減できるのも魅力だ。

図:銀行振込の流れ
銀行振込の流れ

ATM受取

受取人がセブン銀行のATMで返金・送金を受け取る方法。口座情報が不要なため、銀行口座を持っていない受取人への送金も可能で、原則24時間365日、受取人の都合の良いときに受け取れるのがメリットだ。

※ システムの不具合やメンテナンスにより遅延する可能性もあり

セブン銀行ATMでは提携先コードの他にGMOペイメントゲートウェイが発番する「お客様番号」とワンタイムパスワードである「確認番号」の入力を要求し、2段階で受取情報を認証した上で現金の払出しを実行する。受取金額の総額が1,000円以上の場合、紙幣はATMから受け取り、硬貨はセブン-イレブン店舗のレジで受け取る

※ 受取金額の総額が1,000円未満の場合は、セブン-イレブン店舗のレジで硬貨を受け取る以外にnanaco、交通系電子マネー、楽天Edyへのチャージ、セブン-イレブン記念財団への募金を選択することも可能

図:ATM受取の流れ
ATM受取の流れ

Amazonギフト券受取

受取人のAmazonアカウントのギフト券残高に直接チャージできるサービス。セキュリティーなどの観点からメールでのギフトコード送信は行わず、直接チャージする仕組みとなっている。

ATM受取と同様に、こちらも銀行口座を持っていない受取人に送金できることがメリット。

一部、Amazonギフト券を利用できないサービスがあること、「Amazon.co.jp」でアカウントを作成した日本国内の受取人だけが対象であること、送金上限が1アカウントあたり10万円/日であることなどには注意が必要だ。

図:Amazonギフト券受取の流れ
Amazonギフト券受取の流れ

口座情報の収集・管理コストが不要

上記3つの方法に共通するメリットは、EC事業者の作業負荷を軽減できるという点だ。たとえばすべて手作業で銀行口座に送金すると、EC事業者が口座情報を集めて入力し、送金を確認するまでに手間がかかり、集めた口座情報の保管にもさらに手間がかかる。

これに対して「GMO-PG送金サービス」では、銀行振込を選択した場合、ユーザー自身が口座情報を入力し、情報はGMOペイメントゲートウェイが保管することもできるため、EC事業者の負担が大きく低減する

また口座登録、送金指示・送金結果照会などについてはAPIが用意されており、送金指示・送金結果照会については管理画面からの指示やSFTPファイル連携での一括処理もできるため、新たにシステム構築をしなくても業務の効率化が実現できる。

「GMO-PG送金サービス」管理画面
「GMO-PG送金サービス」の管理画面

EC事業者に「GMO-PG送金サービス」が求められる理由

この「GMO-PG送金サービス」は、業種や企業規模に関わらず幅広い事業者に対してサービスを展開しているが、そのなかでもEC事業者は主要な提供先となる。EC事業者に選ばれる背景に、ECならではの事情も影響しているようだ。

というのも、EC事業者の人員配置の特徴として、マーケティングや商品開発に多くの人員を充てていても、金銭的な処理については少人数で対応しているケースが多い。そこに大量の返金が発生すると、少ないリソースであるがために一気にオーバーワークになってしまう。

そんな時のために「GMO-PG送金サービス」にアウトソースしておくことで、返金・送金にかかるオペレーションの効率化が期待できるというわけだ。

普段から返金にかかる業務が多く発生するアパレル系のECサイトはもちろん、それ以外ではセールやイベントなど、売り方を変更した際などにも返品が発生しやすく、そんな場合に当社のサービスを使って作業負荷を減らすEC事業者様が多いです。

「GMO-PG送金サービス」を使うことで、手間をかけずにユーザーの求める受取手段で質の高い返金サービスを提供できます。(堀江氏)

図:「GMO-PG送金サービス」の想定利用シーン
「GMO-PG送金サービス」の想定利用シーン

返金作業を効率化したダイアモンドヘッドの事例

「GMO-PG送金サービス」を導入した企業にダイアモンドヘッドがある。同社はアパレルブランドから業務を請け負い、アパレルECサイトの作成や運営支援を行っている。その際に発生する返金作業において、口座情報を手入力したり管理したりする業務の負荷が課題だったという。

ダイアモンドヘッドの公式サイト
ダイアモンドヘッド(http://diamondhead.jp/

ダイアモンドヘッドはGMOペイメントゲートウェイが提供する総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」を利用していることから、返金対応についてもGMOペイメントゲートウェイに相談。それを受けてGMOペイメントゲートウェイ側は、「GMO-PG送金サービス」を使うことで、ダイアモンドヘッド側で口座情報の入力や管理の負荷なく、現状よりも手数料を抑えて返金できることを伝えた。

ダイアモンドヘッドは、返金の手間削減や振込手数料の低減のほか、決済と返金を同じ担当者に相談できる点を評価し、「GMO-PG送金サービス」の採用に至った。また、ダイアモンドヘッドではサイト・ブランドごとに返金手順が異なっていたが、「GMO-PG送金サービス」に統一することで同じ手順で返金できるようになることもメリットだったようだ。

ダイアモンドヘッドは「GMO-PG送金サービス」を導入したことで、送金にかかる作業時間を大幅に削減できたという。

返品をCX向上の契機に

GMOペイメントゲートウェイは、「GMO-PG送金サービス」の返金・送金方法を拡大して、消費者の受取手段を増やしていく計画だ。現状の返金・送金方法は上述のとおり銀行口座への振込、セブン銀行ATMでの受取、Amazonギフト券での受取の3種類を用意している。これに加えて、今後はたとえば〇〇Payといった決済サービスなどにも対応することを計画している。

消費者の支払いは多様化し、これまでとは異なる手段でお金を使うケースも増えているので、サービス内容を拡充して受取手段を多様化させていきたいです。

EC事業者様の返金の手段が増えることで、結果的に「GMO-PG送金サービス」をユーザーのカスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させる取り組みとして位置付けてもらえるのではないかと考えています。(堀江氏)

このように、受取手段の拡大がEC事業者の新たな価値創造にもつながると指摘する。

返品は一見、ネガティブな印象があるが、見方を変えれば消費者とのエンゲージメントの機会にもなり得る。返品のプロセスを通じてロイヤルティを高めたり、追加購入につなげたりすることが可能になるからだ。いわば、新しいつながりを作りながらカスタマーエクスペリエンス向上につなげる――返品にはそんなチャンスが潜んでいるのも確かだろう。

そうした視点に立つと、返品に要するコストやリソースを削減し、返品をきっかけにより多くの販売と利益につなげることができるかが鍵となりそうだ。そうした返品対策の一環として、「GMO-PG送金サービス」によって返金対応の顧客満足度を高めるという戦略も可能になるかもしれない。

料金は問い合わせ後に個別見積もりで

アパレルなどのように普段から返品率が高い商材を扱うEC事業者はもちろん、それ以外のEC事業者も予期せぬ大量の返品などが起きた場合に、発生してから返金対応について考えるのではなく、「転ばぬ先の杖」として事前に備えておくという視点も大事になる。

そういう意味で、手数料を安価に抑えることができるだけでなく、現場の手間を削減して質の高い返金対応ができる「GMO-PG送金サービス」は注目だろう。

なお、「GMO-PG送金サービス」の料金は、サービス利用条件がEC事業者ごとに異なるため、個別の見積もりとなる。同サービスに興味あるEC事業者はGMOペイメントゲートウェイに問い合わせる形となる。

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