伊藤 秀樹 2014/12/17 10:00

多くのECサイトではビジネスの拡大に伴い、受注業務の自動化や効率化といったシステム基盤の改善が課題として挙げられている。山善が運営するネットショッピングモール「くらしのeショップ」は、テクマトリックスの支援のもと、バックオフィスシステムを改善。業務の大幅な効率化と、さらなる売上増に不可欠な「ファン育成」を可能とするシステム基盤を構築した。 写真◎Lab

テクマトリックス株式会社 カスタマーソリューション営業部 特命課長 岩崎 徹志 氏
テクマトリックス株式会社
カスタムメイドソリューション事業部
カスタマーソリューション営業部
コマースソリューションチーム
特命課長
岩崎 徹志 氏
株式会社山善 家庭機器事業部eビジネス部部長代理 尾崎 友章 氏
株式会社山善
家庭機器事業部 eビジネス部
部長代理
尾崎 友章 氏

楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを7年連続で受賞

山善は工作機器や家庭機器を扱う専門商社だが、2006年に「くらしのeショップ」を楽天市場に出店。オリジナル商品を中心に家具、家電、アウトドア用品などを販売している。現在は楽天に2店舗とYahoo!ショッピング、Amazonの合計4店舗の運営を行っている。売上は8期連続増収を達成。楽天ではショップ・オブ・ザ・イヤーを7年間連続受賞するなど、大きな成功を遂げている。

このセッションでは、「楽天SOY7年連続受賞!YAMAZENくらしのeショップが考えるEC成長戦略とは?」と題し、山善の尾崎友章氏と、テクマトリックス株式会社の岩崎徹志氏が対談。日々大量に寄せられる注文に効率的かつ丁寧に対応し、さらなるビジネスの拡大を目指すためのEC戦略と、それを支えるバックオフィスシステムの改善策について語られた。

売上増とともに業務の負荷も急増。システムのリプレースが急務に

「くらしのeショップ」では、2008年に受注システム、2009年には在庫管理システムを導入するなど、バックオフィス業務のシステム化も継続して進めてきた。しかし、そうした中で下記のような課題が浮上していたという。

  1. 社内の基幹システムとの連携が複雑で、人為的なミスなどが発生していた。
  2. 受注担当は「社内システム」「受注システム」「各モールのシステム」の3つを習得しなければならず、育成までに時間がかかり、人件費増加につながっていた。
  3. 各店舗に受注担当を決めて運営していたが、病欠などがあると処理の遅れが発生していた。
  4. 在庫についても店舗間の連動システムは導入したものの、基幹システムとは連動はしておらず、適切な処理がなされないことがあった。
  5. スーバーセールなどイベント明けは、夜の21時までかかっても受注処理が追いつかないことがしばしばだった。
くらしのeショップ旧システムの概要
「くらしのeショップ」旧システムの概要

尾崎氏はほかにも、「この業界では大手ネット通販会社のスピード感が当たり前になりつつあり、このスピードに追いつけない限りは衰退してしまうという危機感が強かった」と振り返る。

そうしたことから、さらなる顧客満足度を向上させていくためにも、受注処理後のサンクスメールや出荷案内をタイムリーに送信できること、当日出荷が必須であること、そして、フォローメールなどでファンを育成することが急務と感じていた。

要件は「ヒューマンエラー撲滅」「スピードアップ」「人件費抑制」

これらの課題を解決し、将来的な目標である売上100億円を達成するためにシステムのリプレースを決断。「ヒューマンエラーの撲滅」「メール案内、発送までのスピードアップ」「売上アップに伴う人件費の抑制」をテーマに掲げ、具体的なシステム化の要件として下記を定めた。

  1. 業務効率化
  2. 顧客満足度の向上
  3. 売上強化
  4. 物流戦略

複数のベンダーを比較検討し、最終的に選ばれたのが、パッケージをベースとした自動化・効率化のためのソリューションを有し、楽天のRMSパートナーで楽天に造詣の深いテクマトリックスだった。

尾崎氏は、「実際に私たちの受注業務をすぐ隣で見てもらい、細かなところまで確認してもらえたほか、受注業務処理に関するアドバイスや自動化に向けたコンサルティング的な対応もしてくれた。これらの作業を二人三脚で行えたことで、プロジェクトを着実に進めることができた」と評価する。

また、テクマトリックスの岩崎氏も「山善独自の業務要件に対応するために、ヒアリングを徹底した。また、提案段階からイメージが理解できるようデモ画面を作成したことも、現場のスタッフの方から評価していただけた」と振り返る。

その後の設計フェーズについても、要件定義をしっかりと固めたことが奏功し、スムーズに進められたという。後のテストフェーズで不具合が発生したものの、テクマトリックスの迅速な対応により、無事、新システムのカットオーバーを迎えることができた。

受注処理の90%を自動化。売上100億円を目指す

システムリプレース前は、3,000件の受注を5名のスタッフが8時間かけて対応していた。しかし、新システムではそれまで手作業で行っていたデータの入力や取り込みなど、業務のおよそ90%の処理を自動化したことでヒューマンエラーはゼロになり、5,000件の受注を1名で対応できるようになった。大幅な簡素化が実現されたのだ。

テクマトリックスが提案した新システムの概要
テクマトリックスが提案した新システム「e楽DA!」の概要

一番の効果はモチベーションの向上

山善はテクマトリックスの協力により、大幅な業務の効率化を実現できたわけだが、尾崎氏は、「一番のメリットは、社員がルーティンワークから解放され、売上につながる施策を考える時間ができ、モチベーションが向上したことだ」と強調する。

システムで行うべきことはシステムが行い、人が考えるべきところは、人が考える。これこそがビジネスを拡大させていくためのベストな方策であり、今回、そのための基盤を実現することができた」(尾崎氏)

商品レビューに基づいた新製品開発などで、すでに効果が上がってきていると言う。

「例えば、組立式の折り畳み式ベッドについて、お年寄りの方には組み立てが大変だという声をいただいていた。そうした声に応えて、組立済みの完成品をラインナップに揃えたところ、初月から300セットを超える大ヒット商品になった。今後もお客様からの声に耳を傾け、ご要望に応える商品企画を行うことで、さらなるファンの育成を進めていきたい」と尾崎氏は語る。

先に述べた売上100億円という目標だが、尾崎氏は、「毎年130%の伸びを実現することで、3年以内に達成できる」と意欲を見せる。

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