石居 岳[執筆] 2022/11/18 9:00

パイオニアは、「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について、実務に対応している税理士111人にアンケート調査を実施した。

税理士のクライアント先は個人事業主、小規模事業者など従業員数100人以下の企業が最も多く、全体の半数以上となる67%。

税理士が担当しているクライアント先で、「電子帳簿保存法の改正にほぼ完全に対応できている」と答えた企業の割合は2.7%。70%以上の企業が5割以下の対応にとどまっている。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について 「電子帳簿保存法の改正」に対応できている企業の割合
「電子帳簿保存法の改正」に対応できている企業の割合

「電子帳簿保存法の改正」に関する問い合わせで多いもは、「対応した会計・精算システムについて」が59.1%。「各制度に応じた具体的な対応方法」が50.9%、「電子取引の電子データの保存方法について」が42.7%と続いた。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について 「電子帳簿保存法の改正」に関する問い合わせ内容
「電子帳簿保存法の改正」に関する問い合わせ内容

「電子帳簿保存法の改正」は残り1年余りで完全義務化。システムや対応方法など、より具体的な内容に関する問い合わせが多い。保存の手段が書類から電子データに変わることから、保存方法に関する問い合わせ42.7%に達している。

電子帳簿のデータの保存先として採用しているのは、「USBメモリー」が26.9%で最多。次いで「SSD」が18.3%、「HDD」が17.3%。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について 電子データの保存先
電子データの保存先

保存先メディアで、課題やリスクだと考えている点を3つまで聞いた結果、最も多かったのが「データを誤って削除・上書きするなどのリスク」の51.0%。「機器の故障などによるデータ消失」(48.1%)、「長期保存性(経年劣化、買い替え、データ移行が必要など)」(39.4%)と続いた。

操作や機器の故障を問わず、データを失ってしまうリスクは極力避けたいとの判断があるようだ。また、法律上7年間のデータ保管が義務付けられているため、長期保存ができることを重要視している企業も多い。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について データ保存の課題やリスク
データ保存の課題やリスク

電子帳簿のデータ保存で重要だと思うことを3つまで聞いたところ、「セキュリティ(パスワードの設定など)」が50.0%で最多。「データ消失リスクが少ないこと」が45.5%、「長期保存できる耐久性」が32.7%で続いた。

企業の重要データを取り扱うことから、セキュリティが最重要視されていることが明らかとなった。データ消失のリスク回避や、長期保存を見据えた保存先を選定することも重要だと考えられる。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について データ保存で重要なこと
データ保存で重要なこと

電子帳簿のデータ保存で困っていることや不便だと感じることに関しては、以下の点があがった。

  • 経理用の保存先を準備するためのコストがかかること
  • すぐに容量がたまりそう
  • セキュリティ面が不安
  • データを移行する手間がかかる
  • 最適な保存方法がわからない
  • 保存したデータから必要なデータをすぐに探せるか不安
  • データを保存した媒体の紛失が不安

 データ保存に関して困っていることや不便だと感じることについては、「セキュリティ」「コスト」「保存容量」「保存方法」「データの取り出し」などがあがっている。特に多かったのが「セキュリティ」「コスト」「保存方法」に関する悩み。

「電子帳簿保存法の改正」に対する企業の対応状況について データ保存方法リスク比較
データ保存方法リスク比較
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