消費者庁のステマ規制、「PR明記ルール」の認知は7割、規制強化を評価は6割
アジャイルメディア・ネットワークは、2023年10月施行予定の改正景品表示法に関し、ソーシャルメディアにおける「#PR」といったプロモーション明示の意識調査を実施した。
景品表示法の改正について
業界で問題となっていたのが、消費者に広告・宣伝であることを意図的に隠した上で商品やサービスの口コミを行う「ステルスマーケティング(ステマ)」。その対策として消費者庁は3月28日、景品表示法の規制に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を追加すると告示、周知期間を経て10月1日から施行する。
10月1日以降、金銭や物品・サービスの提供を受けた第三者(個人)のソーシャルメディアなどへの「クレジット表記」がない投稿、企業関係者の無関係な第三者を装った投稿などが規制の対象となる。違反をすれば、措置命令などの行政処分を受ける。
「PR」「プロモーション」表記の推奨状況の認知
金銭や物品・サービスの提供を受けた場合、ソーシャルメディア上で投稿する際に「PR」「プロモーション」などのハッシュタグやテキストを記載することが推奨されるが、その認知状況は「知っていた」が31%、「ある程度知っていた」が26%、「聞いたことはあった」が17%で、ルール認知は74%だった。
年代別で見ると、10~20代での認知が高く、特に20代では9割が把握している。年齢が高い層では、若年層に比べて認知が低い。
ステマ規制について
ステマ規制に対する評価について、「とても評価できる」が22%、「評価できる」が46%で、規制を評価する意見が65%にのぼった。年代別で見ると、20代での評価が一番高い。
ステマ規制を評価する理由は、「より正確な情報がほしいから」が51%、「安心してソーシャルメディアを利用したいから」が45%、「企業から信頼されて発信する情報と、その人が自ら発信した情報は分けて考えたいから」が45%。
「とても評価できる」「評価できる」と回答したユーザーにその理由を聞くと、「より正確な情報がほしい」が最多、その他の理由もほぼ4割前後だった。「過去にステルスマーケティング(ステマ)で残念な思いをしたことがあったから」は14%程度。
SNS上の投稿に関する興味
どのような投稿に興味があるか聞いたところ、全体では「(インフルエンサーなど)本人の言葉で語られている」が39%、「実際の体験に基づいた内容になっている」が26%。
上記に関連して、
「#PR」などのハッシュタグが付いていた場合の投稿への興味についても同様で、「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」の重要度が高いという回答の割合が高かった。
今回の調査結果を見ると、ユーザーは「#PR」などの表示自体を特別に気にしているわけではなく、「#PR」投稿が必ずしもマイナスに受け止められてはいないとのこと。「#PR」などの表示の有無に限らず、インフルエンサー本人の言葉で語られていたり、実際の体験がベースになっている投稿であれば興味を示す割合が高いことがわかった。
企業のマーケティングでは、景品表示法を理解し順守することが消費者の評価につながる一方、自社の商品・サービスの価値や魅力が伝わる体験の提供や、継続的なコミュニケーションを通じて、インフルエンサー・個人ともに良質な口コミを醸成することが重要になっていくと考えられる。
調査概要
- 調査対象期間:023年3月20日~2023年3月24日
- 調査元:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
- 調査手法:インターネットリサーチ
- 調査対象者:Twitter・Instagram・TikTokのいずれかを日常的に利用(閲覧または投稿)しているユーザー※割付条件:性別(男性・女性)×年代(10代、20代、30代、40代、50代、60歳以上)で均等に割付
- 有効回答者数:671サンプル