森野 誠之[執筆] 2023/8/29 8:00

「ふるさと納税」の成功は自治体の戦略次第です。都城市は市長のリーダーシップ、白糠町は高品質返礼品と多面的コミュニケーションでリピート率アップ、紋別市はポータルサイトの特性を最大限活用しています。

自治体の特徴を活かした運営を

【「ふるさと納税」特集】寄付額上位に聞く成功の秘訣!自治体アンケートでは8割が「5割ルール厳しい」 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/9544/1/1/1

寄付額上位の自治体や、寄付額が増加している自治体の取り組みを聞いた。ふるさと納税の支援実績が豊富な支援事業者のサービスの魅力も取材している。

紹介する記事ではアンケート結果も掲載されていますが、各自治体の取り組みにヒントが多いので、今回はここを中心に記事を見ていきます。

◇宮崎県都城市
「ふるさと納税は寄付を集めるのが目的ではなく、都城市を知ってもらうのが狙い。そのため、ふるさと納税を始めるに当たり『肉と焼酎がつかみだ』と伝えると、まず役所で抵抗があった。他の商品の生産者から何を言われるか分からないと考えたのだと思う。そこは市長が言っているからという形で進めてもらった」(池田市長)

都城市では市長が方針を決めて責任を負うことで、人気の肉などを扱うようにしたようです。自治体の取り組みとなると平等にしないといけないので、それが難しいときにトップが動いてくれるのは助かりますね。

「協議会を作るのにも若干の抵抗があった。この協議会に市はお金を入れていない。すべて返礼品事業者の売り上げから資金を拠出している。それは当事者意識を持ってもらいたいから。行政と民間が同じ方向を向き、チームとして取り組むことで結果が出る」

こちらは民間企業と同じ動きにしているということです。お金をもらって運営するのではなく、事業収入でやりくりするようにしているので、危機感が出ますね。寄付が集まらないと継続できませんから。

◇北海道白糠町
「返礼品の質が非常に高いことが、多くの寄付を集める要因となっている。リピート率が高いことも、その質の高さを裏付けていると思う」(企画総務部企画財政課 ふるさと納税推進係 神田貴史係長)

使い道の報告なども折々、メールだけではなく郵便も使ってお伝えしている。デジタルだけではなくアナログな関係性も築いている

「返礼品が良い」という前提でCRM的な活動もしています。「ふるさと納税」に限らず通販事業ではリピートが重要なので、接点を維持することが大切です。特に年末に偏りがちですから、その間に何をするのかがポイント。「自分が何をしてもらえたら、もう1回寄付してみようと思うのか?」ここを考えましょう。

◇北海道紋別市
「楽天」は、大型のセールイベントの時期に申し込みが多くなる傾向があります。ユーザーの買い回りを意識した戦略を立てています。

「さとふる」は、通年で安定して寄付の申し込みがありますから、年末以外の旬の返礼品の魅力をうまく伝えられています。その結果、リピート率も高まり、「さとふる」のランキングの常連になり、さらに寄付が増える結果につながっています。

ポータルサイトの特性を活かした販売戦略を立てているのが北海道紋別市。普通の通販と同じく「楽天市場」はスーパーセールなどお得なイベントの時に「ふるさと納税」も伸びます。実際に「ふるさと納税」をするとわかると思いますが、金額がそこそこかかるのでポイント還元も多いですから、ユーザーも狙います。

「さとふる」では継続的にランキング上位に出ることで、ユーザーの目につくことが増えてリピートも増えるとのこと。なんとなくポータルサイトを使っていても寄付額は増えませんので、しっかり研究したいですね。

今週の要チェック記事

「配送品質向上制度」「AI活用の検索」「クーポンシステム無料提供終了」など楽天が2023年下期に取り組むこと【戦略まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11267

「店舗ページ編集機能拡大」。じわっと機能が変わっていきます。作り込んでいると大変ですが対応しましょう。

Shopify構築日記 #156 Editions Simmer'23 IMAGINE | 北山浩|Shopify構築日記書いている人
https://note.com/ec_zoe/n/n4c2ea8647a3b

カスタマイズできるのがメリットの「Shopify」。どんどん進化するのでカスタマイズは最小限に。

80社超の食品・飲料品ECが使う「試食屋」とは? リアル店舗で購入+2回目以降はECや小売店に誘導するビジネスモデル | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11283

「食べてもらえれば伝わる」と思っているところはチャレンジしてみては?

越境EC年間流通総額 No.1のBEENOSに訊く、海外販売成功の秘訣 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/39550

越境ECは「自社商品の強み弱み」「現地含む競合商品の把握」「お客さま」を理解することから。

越境EC支援のジグザグ、2023年上半期の海外ユーザーデータを公開。カルチャー関連の人気は継続、日本限定アイテムやストア特典に注目 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/40139

アニメや漫画・アート作品とのコラボ商品、日本限定発売の商品や特典付録が売れているようです。

アマゾンの検索結果で上位表示を狙うには? 「Amazon SEO」の基礎から実践ノウハウを解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11284

Amazonは売れるものが上位に出ます。テクニックよりも売ることを考えましょう。

ECサイトのリニューアルで“失敗しない条件”とは?沖縄ファッション「マンゴハウス」の成功例に学ぶ3つのポイント | E-Commerce Magazine by futureshop
https://magazine.future-shop.jp/interview-mangohouse

明確な課題があってから検討するとうまくいきますよね。

EC立ち上げ時にやっとけリスト。 | 「ひとりEC」著者:三浦卓也
https://note.com/shopify_miura/n/n80bbd56f93d5

「注文完了メールを整える」。これをやっていないショップは多いです。

今週の名言

マンガ家・藤田和日郎が“つらい”作品づくりを続ける理由 | ミーツキャリア
https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20230818-fujita

「仕事を楽しむな」と言いたいわけじゃなくて、目標もないまま聞こえの良い言葉に身を任せても、どこにもたどり着けないよという話です。

耳あたりの良いことだけを実行してもうまくいきません。しんどくても続けられるものがあればうまくいくはず。

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