【EC向けChatGPT活用】手間をかけずに高品質な「プレスリリース」「お知らせ欄への投稿」を生成AIに作ってもらう方法は?
EC担当者の強力な味方になると考えられる文章生成AI。この記事では新商品発売開始を想定し、あらゆる文章作成を試みながら、生成AIの「ChatGPT」活用方法を探ります。実際の業務活用の場面にフォーカスし、「ChatGPT」の活用方法を解説します。
商品ページに呼び込むにはコミュニケーションが必須
EC担当者の悩みと言えば、ECサイトへの集客、そして、リソース不足です。
たとえば、新商品の取扱開始。本来であれば、見込み顧客、潜在顧客とコミュニケーションを図る絶好のチャンスです。しかし、忙しくて、商品を追加し、トップバナーの変更やお知らせ欄への追加で精一杯……という現場担当者は少なくないでしょう。「本当はいろいろやりたいのに……」。こんな悩みを解決するのが、文章生成系AI、つまり「ChatGPT」です。
「今日は1時間、会議がリスケになって時間が空いた!」。そんな状況を想定し、1時間もあれば「ChatGPT」で解決できることを見ていきます。
「ChatGPT」に入力する指示(以下「プロンプト」)を見ながら、順を追って説明していきます。プロンプトはどのEC担当者でも使えるモノを提示しますので、アレンジしながら「ChatGPT」を触りながら記事を読み進めてみてください。今回は、プレスリリースとお知らせ欄の文章を作成していきます。
1. プレスリリースを作成する
コツは、できるだけ具体的に詳しく情報を入力することです。
◆プロンプトの例
あなたは広報担当者です。{新商品}の発売に伴い、メディアの注目を集めるプレスリリースを作成してください。以下の必須項目と推奨項目に基づいて、プレスリリースタイトルと本文を作成してください。ニュースバリューを考えて、タイトルに反映させるようにしてください。
◆必須項目
- 会社名/事業者名
- 商品名と特徴
- ターゲット市場や顧客のニーズ
- その商品が解決する問題や提供する利益
- 企業や製品の強み
- リリース日や販売開始日
- 連絡先情報や問い合わせ先
◆推奨項目
- 著名な人物の参加や監修
- 独自の技術や特許
- 社会的・環境的な貢献
- 地域初・日本初・世界初の要素
以上の情報に基づいて、効果的なタイトルと本文を作成し、必要に応じて添付画像の提案も行ってください。問い合わせ先は文末に記載してください。
最初は、商品情報満載の少し長めのプロンプトを作りましょう。GPTは文脈から判断して文章を生成しますので、商品やその背景についての情報量が多い方が精度の高い回答が返ってくる可能性が高まります。
この記事で、プレスリリースを最初に扱ったのはAmazonを参考にしたからです。彼らは商品開発の段階で、仮想プレスリリースを執筆。顧客視点で必要な情報を固めてから、商品開発に移ります。つまり、プレスリリースには、顧客視点でその商品に必要な情報が詰まっているのです。そのため、まずはプレスリリースから着手してみましょう。
もし、入力が大変だな……と思ったら、
- Google Chrome拡張の「Voice in」などの音声認識アプリで入力する
- スマホの音声入力を使う
- 企画書を引用する(プロンプト例:あなたはプロモーションコンサルタントです。以下の企画書をもとに、メディアの注目を集めるプレスリリースを作成してください)
などの方法があります。多少の時間はかかりますが、ここでしっかり情報を「ChatGPT」に伝えておきましょう。
スポーツ用品専門ショップで新しいプロテイン製品を扱うことを想定
チュアブル錠のプロテインは実際に存在しますが、ここでは「日本初」という想定で進めます。
「ChatGPT」からはこんな回答が返ってきます。
EC担当者の皆さんから見れば、100点満点ではなくとも、60点の答えが返ってくれば、後は手直しをするだけ。なお、この後の文章作成も含め、生成された文章は著作権の観点から、少しでも手直しをした上で利用することを推奨します。たまたま生成された文章が、他の著作物と同一・類似してしまった場合、著作権侵害に当たる可能性があるからです。
また、プレスリリースのノウハウがあるようでしたら、自身が使っているワードや用語などをプロンプトに反映しましょう。動線を重視するのであれば、最初のプロンプトに「本文の1段落目にURL(https://xxx.xxx.xx)への動線をいれてください」と含めることもお薦めです。
回答が返ってきた後で、「フィードバックします。A4で1枚程度に簡潔にまとめられていいですね。一方、次のアクションへの導線がないので、本文の1段落目にURL(https://xxx.xxx.xx)への動線をいれてください」などと2回目のプロンプトを入力しましょう。
応用:思った通りの内容が返ってこない時は、会話を重ねる
人間と「ChatGPT」の関係は、上司と部下の関係に似ています。たたき台をベースに成果物のイメージをすり合わせていくのは、仕事の進め方の定石と言えるでしょう。ポイントは、良い点もフィードバックすること。そうすると、「ChatGPT」は次回の回答の際、良い点を残しながら改善案を提示します。
なお、無償でも利用できるGPT3.5で、先ほどのプレスリリースを作成するプロンプトを入力すると、以下の回答が返ってきました。タイトルに、記者が注目しやすい「日本初」の要素が入っていません。
このような時は、部下に考えさせるように、段階的に「ChatGPT」に考えてもらうのも1つの方法です。たとえば、「ありがとうございます。ではこのプレスリリースのニュースバリューを3点抽出してください」というプロンプトを入力。ニュースバリューを抽出してもらった後、「ありがとうございます。ではこの3点をタイトルに盛り込んで再度作成してもらえますか?」などとすると、改善案が出てきます。
GPT-3.5は日本語の学習が、GPT-4に比べて十分ではないので校正は必要です。しかし、骨子や要素を組み立ててもらうだけでも時短になるはずです。
2. お知らせ欄(ブログ)
コツは、過去の投稿例を踏襲したいときは、ポイントも明示することです。
新商品を追加した際、多くのECサイトではお知らせ欄で既存顧客に通知を出すことでしょう。プレスリリースと同じく、スレッド(「ChatGPT」の会話ごとにURLを発行し、内容を公開・共有できる機能)でお知らせ欄の文章を生成すれば、「ChatGPT」は商品の情報を記憶することが可能。プロンプトを入力する情報は少なくて済みます。
◆プロンプトの例
では、この商品・サービスの発売を、ホームページのお知らせ欄に掲載しましょう。注目を引くタイトルを考えてください。また、本文は300字程度で、改行を入れながら読みやすく作成し、商品ページ{https://XXXXX}のリンクを貼ってください。
GPT-4の回答は以下の通りです。まずは一般的な内容であれば、たたきとして問題なさそうです。
応用:いつもの書き方と合わせたい
しかしながら、「いつもの書き振りとあまりに違う!」というEC事業者もいるかもしれません。その時は、過去の投稿例の特徴を参考にしたプロンプトを、再度入力してみましょう。なお、「◆過去の投稿例」以下は改行などを考慮せず、コピペしたのみです。
◆プロンプトの例
ありがとうございます。お知らせ欄を以下の「過去の投稿」と同じ体裁にしてください。具体的には、商品名をタイトルにし、本文は見出しと説明の3部構成にして、冒頭のあいさつは省いてください。内容は過去の投稿「マッスルパワー100」ではなく「プロテインリカバー」に変えてください。
◆過去の投稿
プロテイン マッスルパワー100
理想のアミノ酸「ホエイプロテイン」を主原料として厳選使用した、
とにかく溶けやすく飲みやすいプロテイン。
カラダづくりに役立つ必須アミノ酸コリンに着目。たんぱく原料として、理想のアミノ酸組成を追求した「ホエイプロテイン」を主原料として厳選して使用しています。
すっきりとした風味でおいしく、溶けやすい
すっきりとした風味が特徴の「アシッドホエイプロテイン」と、当社独自の配合・造粒技術により、おいしく溶けやすい、飲みやすい品質を実現しました。溶けやすいのでシェイカーだけでなく、グラスやコップでも簡単に溶かせて、おやつがわりにもおいしくお飲みいただけます。
「イノシトール+ビタミンC+ビタミンB」配合
カラダづくりに欠かせない「ビタミンC、B」、体調維持に欠かせない「イノシトール」を配合しています。
「プロテイン マッスルパワー100」は、マッスルエナジーが実施した市民アスリートの食事調査結果に基づき、アスリートのカラダづくりと心身の必要とされるビタミンを独自に設計して配合しています。
すっきりとして飲みやすいレモン味
水で溶かしてもおいしい、すっきりとして飲みやすいレモン味。アンチ・ドーピング認証「インフォームドチョイス」を取得しています。
次の画像は、GTP-3.5で生成した例です。不要な要素もあり「もう一歩!」という感じですが、骨子としては十分です。
また、Markdows方式で出力することも可能です。お知らせ欄をWordpressなどのブログサイトを利用している場合は、最初からMarkdown形式にすると作業の一手間が省けます。以下はGPT-3.5を利用したので、Markdownでの具体的に留意してほしいポイントを含めたプロンプトを入力しています。
◆プロンプトの例
いいですね!ではタイトル、大見出し、中見出し、本文を考慮し、Markdown形式で出力してください。
まとめ
実際の「ChatGPT」利用で起こりがちな「入力が面倒」「思った通りの回答が返ってこない」場合の対応やプロンプトの例を紹介しました。
多少の手直しをする前提であれば骨子やたたきとしては十分なものがすぐに作成できます。まずは触ってみて、どんな出力になるのか見てみましょう。そして、プロンプトにはぜひご自身の販促ノウハウを盛り込み錬成してみてください。手直しの少ない文章が生成できるようになるはずです。
次回はTwitter(SNS)の投稿文を考える業務を実践します。