ICPコンサルティング[執筆] 3/13 9:00

ChatGPT(チャットGPT)などの生成AIについて、多くの企業が利用および活用の検討をしています。ChatGPTの活用で着手しやすいのは、機密情報が含まれない公開文章の作成。SNSの投稿にChatGPTを活用し、成果が出るか、否かを検証していきます。

ChatGPTでSNS投稿に関する業務は楽になるのか?

インターネットでモノを売る際、消費者と関係性を深めるツールとしてSNSは不可欠になりました。しかし、SNSは情報を「ストック」と「フロー」にコンテンツ分けした場合、「フロー」の部類に入ります。SNSで顧客接点を保ち続けるには、投稿を維持していくことが重要になります。

ただ、消費者とコミュニケーションをとり続けるための投稿文を作成し続けることは、精神を消耗していくと感じることがありますよね……。

「これが少しでも省力化できれば」。そんな時に使いたいのがChatGPTです。ICPコンサルティングのX(旧:Twitter)アカウントを利用して、実際にChatGPTで作った文章を投稿。どんな結果が得られるでしょうか。

ChatGPTで何ができるのかを確認

まずはChatGPTで何ができるのか、ChatGPTに聞いてみましょう。次のようなプロンプトを投げかけました。

あなたはSNSコンサルタントです。Xのフォロワーを増やすためにChatGPTに支援をしてほしいと考えています。ChatGPTはXのフォロワーを増やすために、どのような利用方法がありますか?

するとこんな回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

これが本当にChatGPTですべてできるなら、SNS投稿業務は大幅に削減できるでしょう。

そこで、時短を目的に「1. コンテンツの生成」をしてもらい、「3. 定期的な投稿スケジューリング」をして、HootSuite(注:複数のSNSを一括管理できるサービス)で予約投稿してみます。

目標設定とスケジューリング

「1.コンテンツの生成」にあたっていくつ投稿文を作るか、そして「3.定期的な投稿スケジューリング」が最初のステップで必要になるでしょう。まずは目標を設定し、スケジューリングの戦略を立ててもらいましょう。

利用するアカウントは、ICPコンサルティング(BtoBのコンサルティング会社)のアカウントのため、フォロワーを増やすことを目的としていきます。

ネットショップ担当者のみなさんであれば、フォロワー増加の他、ECサイトやランディングページの流入などを目的にしてみてはいかがでしょうか?

目標設定では、ICPコンサルティングの概要、ツイートの目的、投稿期間は10日を想定していることを伝えた上で、

現在フォロワー2名であることを考慮し、まず、定量的な目標値を試算してください。試算にあたって情報(変数)が不足している場合は、私に確認をしてください。

と問いかけました。すると、

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

なんと30から50名まで増やせるというのです!いま、2名ですよ?さすがは最新AI!と心躍ります。ここで戦略立案のために各種確認が入りました。これはタイピングが面倒。拡張機能を導入します。

「Voice In」でテキスト情報のインプットを加速

最初のプロンプト(指示文)を作成する上では「#制約事項」など各種記法にのっとるのが回答を安定させる1つの有効な手法です。

しかし、フィードバックしながら微調整をかけていくなかでは、音声入力の方が早くて便利です。スマホは音声入力が標準で備わっていますが、パソコンの場合は、Google Chromeの拡張機能Voice Inが精度高く音声を認識します。

スケジューリングと投稿テーマが示される

Voice Inで、ChatGPTの質問に答えていきます。さらに過去にリーチ数が伸びた投稿、他のユーザーとのコラボレーションの可能性、投稿するコンテンツの具体的な種類をインプットすると、以下のような戦略が提示されました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

一応、中小企業の経営コンサルタントのアカウントに相応しいテーマがそろっています。一方で、あまたあるコンサル企業の中で、独自のコンセプトを訴求するには乏しい内容です。

ここでフィードバックしてさらに調整する手もありましたが、この時点でChatGPTを完全に信じきっていた私は、自身のアカウントの可能性を広げるために、この戦略に乗ることにしました。

ChatGPTにSNS投稿文を考えてもらう

早速1日目の投稿文を考えてもらいます。「教育的な動画(補助金について)のリンクと紹介」とあるので、YouTubeの動画の名称を伝え、「Xの投稿文を作成して」と指示すると、以下のような回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

この時点では、一切調整をかけていませんが、かなりXを意識した文体です。コンサル会社の割にポップなトーンなのは、中小企業・起業検討中の方をターゲットにしているからでしょうか。絵文字や改行も適度で比較的見やすいものとなっています。

また、ChatGPTが販促系の文章作成において、特徴的かつ利用価値が高いと感じるのは、常に顧客メリットを意識した内容になっていることです。今回も、動画を見ることによる視聴者のメリットが明示されています。

ハッシュタグも効果は不明なものの違和感がありません。「パーフェクトではないが、SNS投稿のPDCAを回す1回目の投稿としては十分そのまま使える」といえるのではないでしょうか。

ここで、内容面のブラッシュアップとして、ちょうど補助金の締め切りが近づいていること、また字数が超過しているため(当社は無料アカウントのため140字が上限です)、フィードバックし、ChatGPTに作成してもらった文案そのままで、最終的に以下を投稿しました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

ここまで30分程度。今回戦略策定から最終的な投稿文の調整まで行ったので、かなり時間がかかりました。さて、この投稿結果は以下の通りです。フォロワーが2名ながら、エンゲージメントが3発生しているので、まずまずではないでしょうか。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

この調子で、3日間投稿を続けました。しかしながら、当初の期待と反し、インプレッション1ケタの状態が続いたため(上の画像の82は最終日の確認結果です)、さすがにChatGPTの戦略に不安を覚えた私は、他のフォロワーが多いツイートの傾向を分析してもらうことにしました。

ChatGPTに競合と現状を分析してもらい、戦略を見直す

シンプルに、フォロワーが多い競合他社(中小企業向けのコンサルティング会社または個人のコンサルタント)の投稿を5つ抜き出し、さらに投稿テーマをブラッシュアップしたいと思います。

以下はフォロワーが多いSNSコンサルタントの投稿です。これを分析し、あなたなりに投稿における重要なポイントを3つあげてください。

というプロンプトと合わせて、投稿文5つを抽出しました。すると、以下のような回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

これは全採用。有益なノウハウを提供するコンサルティング会社のアカウントとして、利用者に価値を提供するものと判断しました。特に2の「話題性や時事性を取り入れる」はこれまでの戦略になかったので、競合のノウハウを取り入れた効果です。「具体的な例を示す」というのはChatGPTの活用ポイントの1つといえるでしょう。

さらに、今回使っているアカウントの3日間の投稿内容とリーチ数を同じように抽出して分析してもらった上で、競合分析も踏まえながら今後の投稿計画を再構築してもらいました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

今後の投稿戦略は、当初のものより、時事性を高めたものがでてきました。Xの特性を踏まえると妥当であると思えます。

投稿に加え、プロフィールも見直してもらいました。利用者が投稿を見た後、フォローを判断するにはプロフィールも重要です。同業他社でフォロワーが多い3アカウントをランダムに抽出、同様に分析してもらい、提案してもらったプロフィールに変更しました。

Before

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

After

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

動画コンテンツを配信していることを意識し、アカウントのコンセプトを踏まえたプロフィールに生まれ変わりました。さて、最終結果はどうだったでしょうか。

最終日に奇跡が……。ChatGPTはSNS投稿に使える?

この後、あまりのリーチの少なさにモチベーションが下がり、投稿期間が空いてしまうこともありましたが、最終的に20日間で計25投稿を行いました。結果は「フォロワー50%増」という結果で幕を閉じました。

とはいえ、最初の2名が3名に増えただけなのですが、最終日にポチってくださった1名の方には本当にラブレターを送りたい気持ちでいっぱいであります。では20日間を振り返り、SNS投稿にChatGPTを利用する可能性について振り返ってみます。

1. アイデア出しに利用することで投稿の幅が広がる

これまで当社のアカウントは、YouTube動画、執筆などの情報提供に留まっていました。今回、エンゲージメントを多く獲得したのは、ChatGPTをテーマとしたものでした。うち2つはニュースの引用リツイートで、このタイプのツイートは当アカウントでは初めて。これがエンゲージメントを獲得したのは大きな発見です。

うち1つは経営手法とChatGPTを掛け合わせたもので「このパターンもあるのか」と大きな発見につながりました。しかも、投稿文は手直しなしでChatGPTが作成したものです。これだけでもChatGPTを使った甲斐があるというものです。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

2. 何もないところから50点のものを作るところまでは時短できる

投稿文を作る際、1つ目の投稿文を出すところまでは、Voice Inなどでアカウントの特徴、目的、ターゲット、内容、見本にしてほしい投稿、トーンなどを一気に入力することで、1分からかかっても数分で完成します。「悪くないね」という印象の投稿文が生成されます。

一方、ここから、普段、自身で中の人として言葉の一言一句にこだわり合格点と感じられる投稿に詰めていくには、4~5回のラリーが必要な場合もありました。正直、面倒です。ここは、今後、成功パターンの投稿の特徴をChatGPTに抽出してもらい、プロンプトに追加していくことで、ラリーの回数は減る可能性があります。

また、スレッド自体が好みの文章を学習していきます。それでもChatGPTが中の人として100点の回答を常に出すには、相当なプロンプトの作り込みが必要と思います。「60から70点で見切りをつけて人間が手直しをかける。並行してプロンプトのブラッシュアップ、安定化の取り組みをする」というのが一旦の現実解と感じました。

3. 具体例を入れると分析や成果物の精度が高まる

戦略立案、分析、投稿文作成の際、精度を上げるには、Voice Inで詳細なプロンプトを入れるだけでなく、実際の投稿文やアカウントの情報を伝えることで、精度が一気に向上しました。

1回目の投稿スケジュールと2回目の投稿スケジュール。違いとしては、1回目はVoice Inで詳細な情報を音声入力した結果として出てきたものです。内容は一般的な経営ノウハウ+動画投稿で構成されています。

一方、2回目は同業他社と自社アカウントの投稿を抽出して分析した結果です。ビジネスニュースや紹介・引用を中心に構成しています。結果として、エンゲージメントを獲得しているのは後者。一部、動画の紹介投稿でリーチが伸び続けているものがありますが、総じて後者の戦略の方が、エンゲージメント獲得(≒目的のフォロワー数増)に貢献しています。

まとめ

普段、SNS投稿を業務にしていない者からすると、20日間で25投稿は相当ハードではないかと想像しましたが、振り返ると、そこまで大変ではありませんでした。大変だったのは最初の数投稿です。ChatGPTとの業務分担を探り探り、どこまでChatGPTがサクッとやってくれるのかを見切るまでが大変でした。

しかし、ChatGPTの使い所がわかってくると、ここまではChatGPT、ここからは手動で調整して投稿、と良い意味で、流れ作業で投稿数が稼げるようになります。エンゲージメントも比例して上がってきました。ツールを連携させて投稿を完全に自動化する方法もありますが、 まずは、ChatGPTをよい相棒として、業務分担を探るところから始めてみてはいかがでしょうか。

次回は、後半の投稿で時短に大活躍したChatGPTのプラグインをご紹介します。

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