「ChatGPT Plus」のプラグイン、ECの現場で活用することはできる? SNSや業務効率に使えそうなプラグイン5選
ChatGPTをビジネスで活用する際、大きな悩みどころの1つにあげられるのがChatGPT Plus(さまざまな機能が利用できる有料版)に課金するか否か。SNS投稿の際、ChatGPT Plusで利用できるプラグインを紹介します。
ネットショップ担当者にお勧めのSNS向けプラグイン
プラグインは、よりChatGPTを便利に利用できるようにする「拡張機能」で、2023年12月時点で1000以上存在します。今回は、SNS投稿に使ったプラグインをご紹介します。
※本記事でご紹介するプラグインは、2023年12月時点で、「Plugin store」からインストールできるものです。今後、取り扱いや名称が変更する可能性があります。
2024年2月時点では、これらの多くがGPTsで利用でき、ChatGPT Plusのユーザーであれば、メンションをつけて通常の会話のなかで呼び出せます。複数のGPTsを組み合わせて利用することがより便利になっています。
特定ページの内容を読み込む「WebPilot」
- SNS投稿時短度 ★★★★★
- ネットショップ担当者業務適合度 ★★★★★
ChatGPTは、具体例を用いると分析やアウトプットの精度が高まります。そんな時に、具体例が書いてあるWebページの内容をいちいちコピー&ペーストするのは面倒です。プラグイン「WebPilot」を使えば、指定したページの内容を読み込んでくれます。
前回の記事で掲載したSNS投稿では、エンゲージメントの高かった投稿パターンに、ニュース記事の引用リツイートがありました。ここで「WebPilot」を使うと、時短に大きく貢献できます。
私たちのXアカウントは経営コンサルタントなので「経済」や「IT」の分野で世の中が注目しているニュース対し、お客さま(中小企業のオーナーや起業家の卵)のお役に立てる引用コメントをする投稿をしていきます。そこでこんな作り方を試みました。
- Yahoo!ニュースの「ランキング」>「経済」または「IT」のページのURLをコピーする
- URL、アカウントの特徴、ツイートの目的などと共に、「X(旧Twitter)の投稿テーマ案を考えてください」と指示する
- いくつか候補が出てくるので、自社アカウントの強みと一致しそうな記事を見つける
- その記事のURLを用いて「このURLから経営に生かせるポイントを抽出してください」と指示
- 上記4のポイントから自身が共感する点を選び「XXをもとに投稿文を考えてください」と指示
投稿文を出力するまで、流れ作業で3分ほど。でき上がった記事が以下の画像です。もし経営に生かせるポイントがいまいちで、時間優先の場合は手作業で思ったことを呟きましょう。
時事ネタは、さすがネタがつきません。投稿テーマに困っているアカウントはお薦めです。
さらに、ChatGPTは、翻訳も得意ですから、英文記事に対するコメントも1分で完成できます。IT系の記事は、海外から発信されることも多く、ChatGPTがなかったらできないツイートでした。
- URLを引用して、指示をすると、
- 日本語で記事の内容を返してくれます。
ここは具体的な数字を入れた方が、記事の注目度があがります。さらに「ユーザーは何人減りましたか」と追加で確認するとURLを各確認して回答が得られました。これを投稿文に反映。この手軽な投稿も、エンゲージメント向上に貢献してくれました。
このプラグインは、メーカーの商品を仕入れて販売しているネットショップ担当者が商品説明を考える際、「メーカーのこのURLを参照して、ターゲットのお悩みに触れながら、商品説明文を考えてください」といった方法で利用できそうです。特に海外メーカーの商品を仕入れている方には、ChatGPTは多言語対応なので、強い味方になることでしょう。
なお、ChatGPTが認識するトークン数(≒文字数)の制限は、GPT-4に依存するので、長い文章のページは途中までしか内容を認識しません。認識できない部分は、通常のChatGPTと同様、内容が創作されてしまうため、ファクトチェックは必須です。
PDFの中身を読み込む「AskYourPDF」
- SNS投稿時短度★★★★☆
- ネットショップ担当者業務適合度 ★★★☆☆
WebPilotはログインが必要なサイトは読み込むことができません。そこで見つけたのが「AskYourPDF」です。
このプラグインは、Web上で公開されているPDFの他、AskYourPDFが持っているアップロードサイトに、手元のPDFをアップロードして読み込んでくれることも可能です。これを利用し、以下の手順で、自社のアカウントを改めて分析してもらいました。
- 自社アカウントのXページをPDFで保存する
- AskYourPDFのサイトにアップする
- サイトからIDが発行されるので、「このIDは、Twitterのアカウントです。XXを分析してください」と指示
すると、そのPDFの中身を確認し、指示通り分析をしてくれました。
これでログインが必要なSNSも分析できるようになりました。なお、SNSの管理ツールを導入していて、CSVなどの形式でテキストデータが取得できる場合は、ChatGPT Plusでファイルを読み込むと標準機能であるCode Interpreterが起動し、より詳細な分析を加えることができます。
このプラグインは、ネットショップ担当者が商品説明ページやFAQページに使い方や安全上の注意喚起を追記する際、メーカーが提供しているPDFの取説説明書から文章を作るシーンなどで利用できそうです。
AskYourPDFは、
- 1日2件までしかアップロードができない
- WebPilot同様、ページ数が多い場合、ChatGPTのトークン数(≒文字数)の上限
までしか読み込めずに、内容不十分なまま回答してしまうなどの制約事項がありますので留意して利用しましょう。
なお、2024年2月現在は、ChatGPT Plusの標準機能としてファイルアップロード機能が提供されており、PDF文書を読み込むことが可能です。「AskYourPDF」は、GPTsから「AskYourPDF Research Assistant」としても利用できるようになりました。リサーチの際に便利に使える機能を提供しており、たとえば、ネットショップ担当者が商品説明に、より詳細な解説を追加したい場合などに、参考文献などを参照した回答を生成してくれます。
ショート動画をサクッと作る「Visla」
- SNS投稿時短度★★☆☆☆
- ネットショップ担当者業務適合度 ★☆☆☆☆
SNSの投稿テーマをChatGPTと壁打ちしている際、何度も「動画や画像が有効だ」と出てくるので、動画を投稿することにしました。Vislaは、簡単な指示文でさくっと1分程度の動画を作るプラグインです。
フリーの動画素材をつなぎ、ナレーションと音楽が入った1分弱の動画が、すぐに完成しました。mp4形式でダウンロードも可能です。
ネタとして投稿したところ、確かにリーチ数は107と3ケタ台に伸びました。当時フォロワー数は2人だったにもかかわらず、です。さすが動画とSNSの相性はいいですね。
動画・画像を生成するAIの多くは英語のプロンプトのみに対応していますが、日本語で成果物ができるのはChatGPTのプラグインならでは、といったところでしょうか。
ネットショップ担当者の業務においては、英語のナレーションにしか対応していない無料版だとウォーターマークが入り素材が限られるなど、実際の販促で使える場面は少ないかもしれませんが、動画生成AIとはこういうものだと触る分にはいいかもしれません。
トレンドを把握してくれる「Now」
- SNS投稿時短度★★★★☆
- ネットショップ担当者業務適合度 ★★☆☆☆
GoogleトレンドとXのトレンドキーワードやハッシュタグを把握できるのがNowです。
このツールは直近数時間のトレンドしか示されないため、サイトの更新サイクルに適さないと思いますが、「今日のトレンドで商品企画を考えてみて」など、時々遊んでみるとアイデアのヒントをを見つけることができるかもしれません。
図解でアイデアを表示「Show Me Diagrams」
- SNS投稿時短度 ★★★☆☆
- ネットショップ担当者業務適合度 ★★★★☆
SNS投稿は動画や画像に注目が集まります。そんな時にサクッと図解を作ってくれるのが、このプラグインです。
「あなたはSNSコンサルタントです。以下の会社がTwitterを用いて、顧客を最大化するためのカスタマージャーニーを描いてください。1つは定石、1つはチャレンジングな案とし、合計2つアウトプットしてください。」とプロンプトを投げてみました。すると、
このように図解されて返ってきます。
投稿文を考えるときは、Webpilotとの合わせ技で、「このURLの引用リツイートを考えて。わかりやすく図解して」と、いっぺんに画像も作って投稿するという手もあります。サクッとこんな投稿ができました。
ネットショップ担当者がShow me diagrams利用できる図解をChatGPTに尋ねてみると、こんな回答が返ってきました。主に企画書や社内資料をさっと作る時に利用できそうです。
「ではこの販促施策を、担当者2名で、1ヶ月で完了させるスケジュールを考えて、ガントチャートで出力して」などと指示すると、以下のようにさっとガントチャートが出てくるので、企画書作成には大いに時短になります。
文字が重なっている場所など、内容や見栄えは別途画面で調整し、画像として別途ダウンロードできるので、すぐに社内資料の素材として利用が可能です。
まとめ
「ChatGPTは、自然言語で指示し、文章を生成するもの」という概念を破るブラグインの数々。自然言語で各種ツールが操れることで、ChatGPTの活用の幅が一気に広がります。
今回はSNS投稿をケースとしてみましたが、ECサイト業務で利用できるプラグインはまだまだあるはず。ここ数か月、ChatGPTがエンジンとして各種ツールに組み込まれる流れがある一方、ChatGPTをインターフェイスとしてツールを利用するという使い方も増えています。