坂本 悟史[執筆], コマースデザイン株式会社[執筆] 8:00

前述のように、お客さんは検索などを通して圧倒的に多くの商品を比較しています。では、どうすれば売上を伸ばせるのでしょうか。ECの販売方法は無数にありますが、あらゆる施策は、「集客・接客・追客」というこの3つのいずれかにほぼ当てはまります。これらの分類を覚えてください。

集客・接客・追客で「選ばれる店」になろう

まず実店舗に例えて説明します。(昔ながらの)実店舗の「集客」は、駅前でのビラ配りや呼び込み、折り込みチラシの封入など。「接客」は、店員さんが対応したり、整えられた棚やPOP。「追客(ついきゃく)」はDMなどでリピート促進したり、イベントを案内するなどです。これらを組み合わせて販売を促進するわけです。

では、これらの施策は、ECの場合どうなるでしょうか。目的は同じでも、実店舗とはやり方が違います。

お客さんの視界に入る「集客」

ECの集客では、「検索経由」の来店が最も購入につながりやすく、優先度も高いです。露出し、興味を引いて、クリックしてもらうことで、お客さんが来店します。

よって、検索結果画面からの集客(検索対策)では、以下が必須です。

  • 視界に入らないと、候補にすら入りません。検索結果ページなどに商品を露出させる必要があります。
  • 露出するだけでなく表示された検索結果の中で、「コレ良さそう」と思ってもらう必要があります。

ただ、検索による集客は競争も激しいです。そこで、検索対策以外の集客施策も模索していくべきです。例えば、SNSやメルマガ、広告を出したり、ブログを書いたり、SNSを運用したり、インフルエンサーに紹介してもらったり、プレスリリースを送ってメディアで紹介してもらったり……と、ちょっと遠回りにはなりますが、多くの有効な施策があります。

ネットショップは実店舗と比べて家賃が安いですが、集客に手間やコストがかかるんです。

商品選びを手伝う「接客」

お客さんが見に来てくれると、その商品は、「購入候補」になります。他にもライバル商品がいくつかありますよね。これら「購入候補の商品ページたち」の中で、一番良さそうだと判断される、つまり優勝すると、購入されるわけです。これが商品ページ接客です。

実店舗では、店員が直接会話しながら案内できますが、商品ページ接客の場合は、お客さんと会話が始まる前にあらかじめ先回りして案内を書いておく必要があります。興味を引く情報、不安を解消する情報、写真と文章、動画など。

商品ページ以外では、関連商品や店内イベントの紹介も接客施策の一部です。ECは実店舗と違ってバーチャルな買い物で、「記憶に残りにくい」構造があるため、対策として写真やストーリーによる店舗紹介も有効です。

リピート購入を促す「追客」

購入したお客さんへのリピート集客も重要です。一度購入したお客さんに対し、メルマガやSNSで「次の購入機会」や面白い情報を提供します。「買い物を手伝うための手紙」と思って書くようにしましょう。縁が続き、さらなる売上が発生します。これを追客(ついきゃく、お客さんに追加連絡すること)と言います。他には、以下のような追客施策があります。

  • 使い方・関連商品・ストーリーなどが伝わる同封物
  • 購入後のお礼メールとフォローメール
  • メルマガでの新商品や関連商品の案内

また、ECには、ユーザーの感想コメントや評判がネット上に蓄積されていく側面もあります。購入したお客さんが、満足すると良いレビューを書いてくれたり、SNSで紹介してくれますよね。このようなクチコミ情報を、UGC(User Generated Contents)と呼びます。UGCは、他のお客さんの集客につながりますし、安心材料になりますよね。UGCは財産です。

ただ、不満な場合も影響力を持ちます。ネガティブレビューは購入率を販売編業務編組織編戦略編EC販売の構造下げてしまいます。だから、悪印象を防ぎ、好印象を残し、UGCを増やすことで、売上を伸ばします。

このように、追客施策による「リピート促進とUGC促進」にコツコツ取り組むと、徐々にお店の存在感が高まっていきます。

何からやったらいい? 着手順序について

どの施策を優先すべきかは状況によります。本書の「販売編」では、主な販売施策を一通り紹介していきますので、まず一通り読んでください。

そして「ここができてないな」という、大きなやり残しを見つけたら、そこを優先して取り組んでください。集客・接客・追客は一連の流れになっていますよね。パイプの水漏れを探すようなイメージで「最も致命的な穴を見つけて埋めていく」ことがお勧めです。

例えば、商品ページに大きな穴が空いている(案内すべきことが案内できていない)なら、見に来てくれたお客さんが購入できないので、最優先課題になります。検索結果になかなか表示されず埋もれているなら、まずはそこが優先です。

そもそも忙しくてECの販促施策に取り組む時間がないという場合は、むしろ販促ではなく「業務効率」に穴があるので、本書の「組織編」を読んで、時間を確保するのが最優先です。

UGC(User Generated Contents)

ブログ、動画共有サイトへの投稿、掲示板の投稿、レビュー、クチコミなど、ユーザーによって生み出される様々なコンテンツの総称。

この記事は『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

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