アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
アダストリアは2030年2月期にECモール「and ST」の流通総額を1000億円に拡大させる。4月4日に公表した「中期経営計画2030」で明らかにした。また、アダストリアは2025年9月からホールディングス体制へ移行する。
4つの収益モデルで「and ST」を拡大
中経では2030年に連結売上高4000億円、連結営業利益率8%、「and ST」の流通総額1000億円を目標に掲げた。「and ST」を擁するプラットフォーム事業は「グループ価値革新のエンジン」と位置付け、売上高は340億円(連結消去後200億円)、営業利益率31%(連結消去後22%)の達成をめざす。「and ST」をモール+メディアとして成長させ、カテゴリー拡張やポイント連携などを通じ、IDを基盤とするLTV拡大の成長戦略を進める。
「and ST」は多様なサービス(収益モデル)の展開で、「IDの拡大」と「LTVの最大化」を実現し好循環の創出をめざす。アクティブ会員数の増加と購買頻度の向上により、リアルも含めた豊かな顧客体験と持続可能な収益構造を実現するプラットフォームへと進化させる。収益モデルとしては、①モール&メディア②プロデュース③ソリューション④ユーザーサービス――を展開していく。
モール&メディア
モール「and ST」の出店者から得る販売手数料収入。カテゴリー拡大で流通総額(GMV)を拡大させながら「メディア」を新設、広告収入も拡充していく。
プロデュース
卸やブランドプロデュース。ユニフォーム、空間などのクリエイティブやプロモーションなどの無形商材プロデュースを提供していく。
ソリューション
すでに展開しているアダストリアのスタッフによるコンテンツ「STAFF BOARD」や「STAFF VOICE」などのサービスを活用したシステムソリューションを外販。システム拡張を通した継続的な収益化をめざす。
ユーザーサービス
「and ST」が発行するポイント関連サービスを提供。ポイントの価値向上・LTV拡大を目的に、他社とのIDやポイント連携を推進し、連携範囲拡大での利便性を向上させる。
外販比率を自社97:他社3→自社60:他社40へ
「and ST」成長戦略のKPIも細かく設定した。2025年2月期に403億円だった流通総額を2030年2月期に1000億円へと拡大させる。外販比率は現在の「自社97:他社3」から「自社60:他社40」とした。重要指標として、アクティブ会員数は現在の750万人から1100万人へ、総会員数は1970万人から2600万人へ拡大させる。ユーザー1人当たりの年間平均購入回数は現在の3.0回から4.5回へと増やす。
海外戦略では東南アジア向け「and ST」構想も
そのほか中経では海外戦略、既存ブランド強化などにも触れている。海外展開は中国・香港・台湾市場と東南アジアに注力。東南アジア市場では「and ST」を開設し、東南アジアと日本を相互につなぐEC先行進出モデルを推進していく。既存ブランドでは注力ブランドへの集中投資や出店戦略のアップデートを通じて収益性を高めていくとしている。
2025年9月よりHD体制へ移行
2025年9月1日からホールディングス体制への移行を予定している。「アンドエスティHD」とし、アンドエスティやアダストリアなどを傘下に置き、さまざまな個性を持つグループ会社を管理する。
HD体制とすることで、グループにない特色を持つ企業のM&Aを加速させ、マルチカンパニーを実現させるとしている。