藤田遥 4/15 6:00

電通デジタルは、AIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」の大型アップデートを実施したと発表した。「∞AI」の各ソリューションの本格運用を社内で開始し、企業のデジタルマーケティング活動支援の高度化、効率化、利便性向上の実現をめざすという。

4つのソリューションを開発

大型アップデートでは、デジタルマーケティングにおけるデータ分析のエージェント型ソリューション「∞AI Marketing Hub(ムゲンエーアイ マーケティング ハブ)」で4つのソリューションを開発。また、広告表現にAIを活用するソリューション「∞AI Ads(ムゲンエーアイ アズ)」で、画像・動画生成、効果予測の精度向上、フローの対話化といったアップデートを実施した。

電通デジタル ∞AIブランドの全体図
「∞AI」ブランドの全体図

これまで「∞AI」では、「∞AI Ads」、顧客接点の対話化・リッチ化を図る「∞AI Chat」「∞AI Contents」、各AIソリューションを支える基盤である「∞AI Marketing Hub」を展開してきた。「∞AI Marketing Hub」における4つのソリューション開発で、データ分析・利活用、その後のデジタルマーケティング施策立案に貢献していくという。開発したソリューションの特長などは次の通り。

① ∞AI Customer Data Hub(ムゲンエーアイ カスタマー データ ハブ)

企業が保有するファーストパーティデータ、AIチャットで取得した対話、各種調査から得られるデータに加えて、電通デジタルの各種マーケティングデータなどを、マーケター、AIにとって使いやすい形に自動的に統合・構造化し、顧客1人ひとりのカルテをリアルタイムで生成する。

電通デジタル ∞AI 「∞AI Customer Data Hub」について
「∞AI Customer Data Hub」について

② ∞AI Customer Twin(ムゲンエーアイ カスタマー ツイン)

「∞AI Customer Data Hub」に蓄積・統合したデータを基に、顧客1人ひとりの心理・行動特性を忠実に再現した仮想顧客AI(カスタマーツイン)を生成する。担当者がAIエージェントを通じて、仮想顧客との対話型インタビューや調査を実施できる。

電通デジタル ∞AI 「∞AI Customer Twin」について
「∞AI Customer Twin」について

③ ∞AI MC Planning(ムゲンエーアイ マーケティングコミュニケーション プランニング)

広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測などのマーケティングコミュニケーション(MC)施策における一連のプロセスを、AIエージェントとの対話形式により一気通貫で行える。「∞AI Customer Data Hub」「∞AI Customer Twin」と連携することで、顧客1人ひとりの特性を踏まえパーソナライズしたメディアコミュニケーションプランをリアルタイムに提示する。

④ ∞AI CX Planning(ムゲンエーアイ カスタマーエクスペリエンス プランニング)

顧客体験(CX)の改善を目的とした、カスタマージャーニー設計や対話型AIチャットを活用した新規事業・サービスのアイデア創出、既存事業の高度化などのアイデア創出のプロセスをAIエージェントとの対話形式で実現するソリューション。

電通デジタル ∞AI 「∞AI MC Planning」「∞AI CX Planning」で行えること
「∞AI MC Planning」「∞AI CX Planning」で行えること

画像、動画生成、効果予測機能をアップデートした「∞AI Ads」

AI活用でデジタル広告の制作プロセスを効率化する「∞AI Ads」について、電通デジタルの山本覚氏(CAIO(Cheif AI Officer)、最高AI責任者 兼 執行役員)は「2022年のサービス開始以来、2024年までに127社に導入され、導入企業における平均広告効果改善率は154%になる」と説明。「∞AI Ads」では、画像、動画生成、効果予測においてAIエージェント技術を融合したアップデートを実施した。

① マルチモーダル生成AIの搭載

従来まで活用してきた機械学習に加えて、マルチモーダル生成AI(テキスト、音声、画像、動画など2つ以上の異なる種類のデータから情報を収集し、統合して処理する生成AI)を搭載。効果の予測・改善サジェストの精度の大幅な向上につながるという。

一般常識やマーケティング手法などを学習しているマルチモーダル生成AIを活用することで、企業が保有しているデータを加えるだけで対話形式の高精度な予測を出力できるという。

② 対話形式でのプランニング・施策実施

「∞AI MC Planning」で出力した広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測の施策案を基に、実際に配信するクリエイティブの生成、その効果予測・改善などのPDCAサイクルを対話形式で実現する。

電通デジタル ∞AI 「∞AI Ads」で作成した広告例
「∞AI Ads」で作成した広告例(画像は電通デジタルのサイトからキャプチャ)

テキストで指示した内容で広告を生成する。作成したバナーの広告効果を測定し、改善サジェストもテキスト形式で出力するなど対話形式で広告生成を行える。AI自身が生成したモノを学習していくので、説明文も詳細になっていく。学習する内容は企業間を跨がないようになっている。(山本氏)

電通デジタル CAIO(Cheif AI Officer):最高AI責任者 兼 執行役員の山本覚氏
電通デジタル CAIO(Cheif AI Officer)、最高AI責任者 兼 執行役員の山本覚氏

今回の大型アップデートを通じて、山本氏は「今後は電通グループ企業のAIと連携しながら稼働していくだろう。他のエージェントとコラボする未来もくると思っている」と話す。

その先のマーケティングは、データと人の間にAIが入ってくれることで、人が直接データに触れる機会が減るようになり、調査、戦略、コミュニケーション施策、営業・顧客サポートなどさまざまな領域で、人はAIとだけ会話をするようになるのではないか。人がすべきことは、論点を設定する、意思決定などがメインになると考えている。マーケターは今まで以上に人間の心に向き合っていく、「人はどうしたら喜んでくれるのか」「どんな場面で感動するか」などを考えることが重要になるのではないか。(山本氏)

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