新経連、通販・ECの健全な商活動を阻害する消費者契約法改正に「意見書」を提出
一般社団法人新経済連盟は7月9日、消費者契約法(消契法)の見直しに関する意見書を、山口俊一消費者相や消費者庁などに提出した。現在見直しが進められている検討内容が実現すると、通販・EC業界に重体な影響を及ぼすことは必至。意見書では「専門調査会は経済界からの委員が少ない」などの指摘のほか、「事業者からのヒアリング実施」といった要望を求めた。
現在、内閣府消費者委員会消費者契約法専門委員会では、消契法の見直しが進められている。EC事業者にとって最も影響が大きいのは、「勧誘概念の拡大」という提案。
従来、不特定多数向けのものなど客観的に見て特定の消費者に働きかけ、個別の意思の形成に直接影響を与えているとは考えられない場合(広告、チラシ配布、パンフレットなど)は「勧誘」に含まれないとされていた。今回、この解釈を修正し、「広告」も「勧誘」に含めるという議論が交わされている。
たとえば、広告(通販サイトやカタログなど含む)に問題があった場合に、契約を取り消されたり、損害賠償を請求されたりするリスクが高まることになる。
しかし、専門委員会では8月上旬までに行うとされる取りまとめに際し、事業者からのヒアリングは実施していない。また、新経連は「検討会には経済界からの委員が1名しかおらず、実務実態について十分な意見聴取がされたとは言えない」と指摘している。
こうしたことを踏まえ、「これまで数か月にわたって行われてきた消費者契約法専門調査会における議論は、日本経済に対する影響の大きさが認識されているとはいえず、事業者の意見を広く聞くこともなく、実務実態の調査も行われず、明確な立法事実も示されていないものが多く、慎重に議論を重ねてきているとは言い難い状況にある」と新経連は批判。次のような懸念点も指摘した。
一部の事例ばかりに焦点を当ててしまうことで、日常的に行われている膨大な量の通常の取引には目が向けられておらず、このまま改正となれば日本経済に与える負の影響は計り知れないものになると危惧している。
新経連は、「拙速な改正が行われようとしていることへの懸念を表明するとともに、消費者・事業者双方にとって有益な、健全かつ正常な経済取引の拡大を願って提出するものである」と意見書提出の狙いを説明した。