ネットショッピングも市民権を得て、生活に欠かせない「インフラ」になってきました。

私が14年前、「保険会社を辞めて楽天市場というところで働く」と両親に話したところ、「どこの市場? 築地? どこ? やめておけ!」と言われたあの当時からすると、隔世の感があります。ちなみに、父ミツオ(69歳)は、いまや楽天市場で普通に買い物を楽しみ、楽天トラベルで旅行予約をし、楽天イーグルスの勝ち負けに一喜一憂するようになりました(笑)

1997年に創設された楽天市場は、そもそもの始まりが「地域の中小企業がネットショップという武器を手にすることで、商売を拡大していただき、元気になってもらう」ことを応援するために立ち上がったインターネットショッピングモールです。この理念に共感して私は14年前に入社しましたし、多くの社員が同じだと思います。

楽天の地域活性課という部署の存在意義は、「地方を元気に! 地方から日本を元気に!」という理念を具現化するために、地方自治体の皆さん、店舗さんたちと三位一体で地域を盛り上げていく! これに尽きます。

地域を活性化するためにまずは「人と会う」

私が所属する地域活性課は総勢13名で、楽天組織ではかなりこじんまりした所帯です。主に「地域活性のための提案・営業するチーム」と「実際に自治体と一緒になって事業を企画・運営するチーム」に分かれており、日々、各担当者が全国を飛び回っています。率先垂範(のつもり)で、私も全国各地を駆け巡っていますが、実際にどのような活動をしているのでしょうか。

Facebookなどで自分の出張の様子を投稿しているので、店舗さんに会うと「いつも出張ばかりで何をやってるの?」と聞かれることがありますので、その一端を少しだけ紹介いたします。

  1. 電話やメールじゃなくて、まずは面と向かって直接お話を聞く(現場第一主義!)
  2. 地域の課題をひたすらお聞きする(できたら、首長さんから直接がベター)
  3. 課題を解決するために、70ある楽天のサービスのなかから〇〇と▲▲を組み合わせて、一緒に課題解決をしていきましょう、と提案する

文章にしてみると、至って当たり前でシンプル。ですが、この地道で泥臭い活動が地域活性化には大事なのだと思います。

最近では有難いことに全国各地の楽天出店店舗さんから、「うちの市長(町長・村長)を紹介するから地域を盛り上げるための話をしてほしい」というお声をいただけるようになりました。そのたびに、鉄砲玉のように飛んでいき、お互いの想いをマシンガンのように意見交換し合う日々なのです。

北海道の礼文島で廃棄同然だったウニが人気商品に!

楽天では、「地域活性課」だけが地域活性の責務を担っているわけではありません。全国17の支社にいるECコンサルタントと呼ばれる担当者が、出店店舗さんの売上アップのサポートをしています。実は私もこのECコンサルタントを9年ほど経験。その時の経験が今の活動に生きているのですが、私のECコンサルタント時代のお話を記載させてください。

東京を朝9時に出発し、飛行機と船を乗り継いで到着するのが夕方の5時。東京から約1500km、日本最北端の有人島である北海道の礼文島でお店を構えていた「島の人 礼文島の四季」というお店を担当していた時のこと。

島の人 礼文島の四季

「島の人 礼文島の四季」

礼文島の人口は約3000人。人手不足が地域の1つの課題でした。漁でウニが大量に獲れても、加工する働き手がそんなに多くないため、商品化することができなかったウニは廃棄同然の価格で業者さんに安く買い叩かれていた――なんてことが10数年前はあったようです。

一度食べたことがある人はご存知だと思いますが、最高級と言われる利尻昆布を餌にした礼文島のウニの味は格別の甘さと美味しさ。東京のお寿司屋さんでは高級品として提供される一方、地元礼文島では加工しきれない……。

「そんなギャップを埋めるのが自分のミッションだ」と考えたのが社長の鹿内さん。2002年、楽天市場に出店を決意、加工場を拡大し、加工できる地元の人たちを雇用。現在ではウニの販売形態としては当たり前となっている、塩水パックをいち早く導入して新鮮で美味しいウニの販売を開始しました

東京では高級食材として流通しているウニを、適正な価格で直接消費者に販売する。一見、簡単に見える理論ですが、離島の店舗さんが自力で対応するにはかなりの労力が必要です。そこを、ネットショップだからこそ実現できる、地方と大都市とのギャップを埋める力が発揮されました。

インターネットを使った「エリアエンパワーメント」ですね。ネットを通じて物を売るというのは、人が大勢集まる銀座のど真ん中にお店を出して、全国のお客さまに対して商売ができる、ということなのです。

このように、地域で埋もれている逸品を発掘して、世の中に発信していく――楽天の地域活性化担当として、店舗さんたちとタッグを組んでやりたいことの1つなのであります。

店長が町長に? ECの力で町が変わろうとしている

「ECが地方を変えていく」なんて声高に叫んだところで、どうでしょう? 現実の社会で私たちが実感できる機会はあまりないのかも知れません。その状況に小さな風穴を開けるような出来事が今年、起きました。それは、長野県の飯島町という人口約9500人の町にある楽天店舗の店長のお話です。

飯島町は農業も盛んで、馬刺しといった地場の産業もある町。他県の人からすれば名前すらきいたことがないと思います。日本には、そんな飯島町のような市区町村が数多くあり、それぞれの問題を抱えています。

そんな飯島町で「若丸」という馬刺しを販売する店舗を運営していた下平洋一さん。私はECコンサルタントとして2005年、「若丸」さんを担当していました。6年連続でグルメ大賞を受賞(馬刺しは熊本県が有名ですが、長野県の馬刺しも格別です!)したお店の店長・下平さんが、なんと2016年の2月、飯島町の町長になってしまったのです。

飯島町の町長になった下平洋一さん

町長になった下平元店長と固い握手(2016年4月)

きっかけは飯島町が“消滅可能性都市”として名前があがったこと。地元の意識が変わり、何かをしなければという危機感を持って町の再生を考えていた下平さんに白羽の矢が立ち、ナント! 店長が町長になってしまったのです。楽天で地場産品を販売し、地方の魅力を発信していた店長が町長になったということは、地方創生の考え方に一石を投じる動きになるのではないかと思っています。

町長になった店長・下平さんが就任早々に町に新設したのが “営業部”。町の魅力を都市部に伝えるミッションを担う営業部の本部長に自ら就き、地方創生に動き始めたお話は、次回詳しく紹介させていただきます。

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塩沢 友孝

楽天株式会社 ECカンパニー 地域活性課 シニアマネージャー

楽天には2003年8月入社、社員番号は555番、今年で14年目。無類の野球好き(とくに高校野球)、2児の父(NHKの『おとうさんスイッチ』に5年前に出ました)。普段は全国の地方自治体への事業提案などで弾丸出張の機会が多く、今回の連載では、「どうやったら地元を元気にできるか?」と常日頃からお考えの自治体職員の皆さまに特にお読みいただきたく、何か少しでもヒントになれば幸いです。

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