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リサイクルショップ「ベクトル」や、ブランド古着通販サイト「ベクトルパーク」などを運営している株式会社ベクトルの村川です。今回は社内の組織作り、人事、人間関係について。社員からの反感・反発、頼れるナンバー2の不在……そんな失敗談を赤裸々にお話しします。 イラスト◎なとみ みわ

開店時刻になっても店長が出社しない!?

みんな〜〜聞いてる? シラー……

趣味のスニーカー集めが高じて、リサイクルショップを始めてまだ数店舗くらいの規模だったときの話です。ある日、とある店舗へ行ってみると、すでに開店時間を過ぎているにも関わらず、なぜかお店が開いてないことがありました。

原因は店長の遅刻でした。実は、開店時間にお店が開いていないことが当たり前になっていて、店舗内で不正まで起きていました。しかも、その店舗だけでなく、他の店舗でも同じようなことが起きていたのです

当時、「このままではいけない」と思った私は、信頼していた社員とともに各店舗責任者へ厳しく指導を行いました。

ベクトル第1号店
ベクトル創業時

社員の心が離れる理由はシンプル

しかし、それ以上にショックな事実が発覚しました。信用していたその社員までもが不正を行っていたのです! このことは創業以来、最も残念な出来事でした。

また、このとき初めて気付いたことがありました。自分の趣味であるスニーカー集めをするために従業員に働いてもらっていましたが、全員がスニーカーを好きなわけではないので、「ベクトルで働く理由がない」ということです。

そこで初めて「経営理念」を作りました。すると、「経営理念」に賛同するメンバーが集まり、以前は実現できなかったことが、実現できるようになりました。そして、以前から開発したいと思っていたマルチチャネル出品システム「ベクトルプレミアムシステム」がやっと完成しました。

このシステムがあれば全国展開できる」と確信を持てたので、自社で運営していた店舗だけでなく、フランチャイズ展開にも乗り出し、事業拡大の路線へ大きく舵を切りました。

ナンバー2人材を外部に求め続けた結果……

会社の規模が少しずつ大きくなると、店舗や従業員も増え、仕事の種類も量も増えていきました。そこで役割分担をすべく、当時の私にはなかった素質やスキルを持っている人材を外部に探し、「新しいナンバー2」として仕事を一任しました。

しかし、すべて任せっきりにしてしまったために、報・連・相が減り、次第にナンバー2との見えない溝が生まれてしまいました。

気が付けば社内は孤立したメンバーの集まりとなり、いくつかの派閥のようなものまでできてしまっていました。経営者としての私の声もどんどん響かなくなっていき、私自身もそれを実感するようになりました。

この状況に危機感を感じた私は、さらに新しいナンバー2候補を社内へ招き入れ、仕事を任せることで解決しようとしました

しかし、私が「本当のナンバー2は誰なのか」ということを明確にしなかったために、社内で反発が生じ、進行していたプロジェクトが止まってしまう事態に陥りました。

「社長は頭がおかしいんじゃないの?」

リユース業界は成長市場でしたが次第に競合が増え、レッドオーシャン化してきました。そのため常に変化をし続け、他社との差別化を図らなければなりません。「ゴミバコのないセカイへ」というカンパニービジョンの達成へ向けて、既存事業の拡大のみならずイノベーションを起こしたいと当時から考えていました。

しかし、当時は社内がこのような状況だったため、私が新しいアイデアを提案しても、

「また社長がなにか言い出した」

「そんなアイデア、実現できるわけがない」

という声が社内であがり、私の熱意や想いが社員へ伝わらなくなっていきました

「俺たちはこんなに頑張っているのに、社長は頭がおかしいのではないか?」

こんな声さえ耳にするようになりました。

失敗の原因

原因① 会社に経営理念がなかった

創業当時、スニーカー集めばかりの店舗を運営していたときは、多くの従業員がベクトルを去って行きました。「経営理念を社員に浸透させなければならない」……そう教えてくれたのは、現在のナンバー2でした。

原因② 役職のヒエラルキーを私自身が明確にしていなかった

私が役職のヒエラルキーを明確にしていなかったために、従業員数名が「ナンバー2は俺かもしれない」と意識してしまいました。その結果、新しい人材を社内へ招き入れ続け、ナンバー2の役割を一任しようとしても、社内の組織がうまく機能しませんでした。

私がこの経験から学んだこと

①「他責思考」からの卒業

最初に社内で不正が発覚した時、私自身が未熟であったため「裏切られた」と感じました。しかし、社員の心が離れていく原因をたどっていくと、人に任せっきりで、問題を放置したまま、解決策を考えて対処しなかった私自身に責任があることに気付きました

以来、自分の責任を放棄し他人のせいにする他責思考から卒業し、自責思考で物事を考えるようになりました。今は社内で不正などが起きないよう、内部牽制等の経営管理を整えています。

②「ビジョン」や「想い」のシェアを徹底する

失敗を繰り返してしまった私ですが、原因はなによりも社内でのコミュニケーション不足だったと痛感しています。

会社全体として仕事はできていたとしても、社内に「想い」が伝わっていないこともあります。ビジョンが必要だと思って作っても、私自身が「言ったつもり」「伝わったつもり」になり、本当の意味での共有がしっかり行えていない状況でした。

忙しさを言い訳にせず、しっかり社員とコミュニケーションを図り、「ビジョン」や「想い」のシェアを徹底しなければならない。失敗から学び、今では「どう言ったか」よりも「どう伝わったか」を大切にするようにしています。

今ではビジョンに共感してくれる社員が集まっています。

③レポートラインを明確にする

組織の中の各役職について、「権限はどこまでか」「誰に指示を出せるのか」といった役割の線引きを明確にすることが重要です。「誰が誰の指示に従うべきなのか」を明確にしておかなければ、指示命令系統が崩れ、予想外の結末になってしまいます。

ナンバー2というポジションも、社長や副社長といった組織における1つの役割に過ぎません。役割の線引きについて、全従業員で誤解がないよう、認知を徹底しなければなりません。

④ナンバー2は企業が成長するための重要なカギを持っている

例えば、あの有名なホンダも、創業者・本田宗一郎氏の技術屋としての才能と、ナンバー2である藤沢武夫氏の経営手腕が、互いに補い合って世界のホンダを創りあげたと言われ、「藤沢氏はホンダのもう一人の創業者」とも言われています。

ナンバー2は会社や組織運営には間違いなく必要な役割で、場合によってはトップよりも重要とも言えます。伸びている会社ほどナンバー2の存在は大きく、重要な役割を担っています。

村川 智博 氏
◇◇◇

企業経営のカギを握るナンバー2について理解を深め、ナンバー2とベクトルを合わせるために参考にした本があります。それは西田文郎氏の『No.2理論 最も大切な成功法則』(現代書林 刊)という書籍です。

大きな組織のナンバー2だけでなく、ナンバー1を目指す人や、部署・プロジェクトチームのナンバー2にも応用できる話も書かれているので、組織運営に悩んでいるすべてのリーダーにオススメの1冊です。

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