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「Facebookで紹介した商品が売れた」「インスタグラムに掲載した商品が即日完売した」というように、SNSを活用して売上を伸ばしたネットショップの事例をよく耳にします。そうした事例が増えるにつれ、SNSを販促ツールとして活用する企業が増えていきます。

しかし現状、SNSで売上を伸ばしている企業はまだまだ少数。SNSで情報を発信しているのにも関わらず、フォロワー数は増えず、「いいね!」ボタンも数えるほどしか押されないという企業は、決して少なくありません。なぜ、企業のSNSの運用はうまくいかないのでしょうか?

なぜ企業のSNSの運用はうまくいかないのか。その理由は3つあります。

理由1:「継続して見たいSNS」にならない

極論を言えば、芸能人のSNSも企業のSNSも同じです。芸能人のSNSがフォローされるのは、「この芸能人のことをもっと知りたい」という、情報に対する欲求が生まれるからです。

同じように企業のSNSも「継続して見たい」と思ってもらうとを目的にして情報を発信していかなければ、フォロワー数も「いいね!」の数も増えません。

SNSの投稿内容は、面白い情報や生活に役立つ情報など、お客さんに「このSNSを継続して見たい」と思わせるコンテンツである必要があります。商品情報をFacebookで垂れ流すだけだったり、セールやイベントの情報をTwitterで発信するだけだったり、単発的な情報を不定期に発信しているようでは、ファンがつきにくいため、売上に貢献するSNSにはなりにくいのです。

理由2:SNSは利益になるまでに時間がかかる

SNSが売上に貢献しない2つ目の理由は「SNSは利益に結びつくまでに長い時間がかかる」という点です。

まず認知。消費者が会社名や商品名を知らなければ、SNSを見ることもなければ、フォローすることもできません。ようやくフォローしてくれても、「いいね!」を押してくれたり、コメントをしてくれたりするのには、それ以上の時間がかかり、商品に興味を持ってもらい、購入してもらうまでには、さらに長い時間がかかることになります。

つまり、SNSは、認知してから商品を購入してもらうまでに、一般的な広告以上に時間と手間とお金がかかる販促ツールなのです。

ここで理解してもらいたいことは、SNSはある程度、利益率の良い商品やサービスでなければ成立させることが難しい一面があるということです。

先述した通り、SNSは「継続して見たい」と思ってもらえるコンテンツ作りが大切です。そのようなコンテンツを作るためには、当然、片手間では困難です。

コンテンツ作りのアイデアはもちろん、そのアイデアを生み出すためのお金と時間が必要になります。そうした投資に見合うだけの高い利益率の良い商品でなければ、SNSの運営は難しいということなのです。

SNSの成功事例にデザイナー系のアパレルや家具、ジュエリー、インテリア商品が多いのは、付加価値の高い商品を売って、高い利益率を確保していることが要因と言えるでしょう。もちろん、写真の見栄えが良い商品という強みもありますが、読み続けてもらうためのコンテンツ作りに投資できる高い利益率を確保できるビジネスモデルであることは大きいと言えます。

理由3:お客さんに伝えたいことがない

「お客さんに伝えたいことがない」というのは根本的な問題ですが、理解してもらいたいことが「ない」、ファン客を作りたいという思いが「ない」という会社は、そもそもSNSの運用には向いていません

例えばネジを販売しているネットショップがSNSを始めたとしても、ネジを題材にしてコンテンツを作ることは大変だし、拡散されるような見栄えの良い写真を撮り続けるのも難しいでしょう。また、「ネジの話を読み続けたい」というファン客を作ることはさらに大変ですし、そもそも、「そんなファン客を作ることがネジを販売するショップに必要なのか?」といえば、微妙でしょう。

その会社の商品やサービスにとって、SNSが特に必要ではないにも関わらず、SNSに力を入れるということが、非効率なSNSの運用につながるのです。

SNS運営に必要なものがそろっている企業は多くない

これら3つ理由を考察すると、企業のSNSの運用には、コンテンツ作る「人」と、それを作るための「金」と、結果が出るまでの「時間」が必要なことが分かります。これに加えて、そのコンテンツ作りに見合った「商品力」が求められることを考えれば、この4つのをすべて満たす企業はそう多くないということがわかると思います。

SNSに限らず、すべてのビジネスにあてはまることですが、片手間でお金儲けができるほど、Eコマース業界は甘くありません。「SNSで儲かった」という話は、いかにも最先端の販促ツールで簡単に儲かったように受け止められがちですが、実は、高い商品力に加えて、質の高いコンテンツを制作する能力が必要で、そこに予算や時間をかけて成功まで導いているのです。

そう考えれば、SNSの成功事例に大企業が多いのにも納得ができると思います。また、商品を自分達の手で生産しているメーカーのほうが、SNSの運用が上手なのも、商品に対する思い入れがあるからだと思います。モノ作りが好きなスタッフが多いので、コンテンツを作ることも苦にならず、多くの人に商品の良さを伝えたくてSNSを活用しているということが、メーカーがSNSの運用を得意としている一因だと思います。

反面、商品を問屋から仕入れて、価格競争に巻き込まれながら売っているようなネットショップが、いくらSNSを活用して売上を伸ばそうと思っても、商品にもコンテンツ作りにも思い入れがないので、なかなかSNSの運用がうまくいかないというのも、背景としてはあるのではないかと思います。

◇◇◇

こうした状況をすべて把握した上で、「うちの会社はSNSをもっと活用できる」「いや、SNSにお金と時間はかけない」と、自社のSNSの販促の“現実的な落としどころ”を見つけることが、求められるのかもしれません

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竹内 謙礼

有限会社いろは 代表取締役

竹内 謙礼(たけうち・けんれい)

1970年生まれ。大学卒業後、出版社に勤めた後に観光牧場に転職。企画広報担当を経て2004年に経営コンサルタントとして独立。楽天市場、ビッダーズ等で多くのネットビジネスの受賞履歴あり。また、千葉文学賞等の小説、エッセイでも数々の受賞暦を持つ。

大企業、中小企業のコンサルティングはもちろん、サイドビジネスや起業に対しての販促、営業、人材教育のアドバイスを行い、特に実店舗のキャッチコピー制作とネットビジネスへのコンサルティングには定評がある。また、低価格の会員制コンサルティング「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、180社近いコンサルティング指導を日々行っている。

販促、企画、会計、投資の書籍執筆の他、新聞や雑誌等でも連載を持っており、ラジオのパーソナリティとしても活躍。商工会議所や企業での講演、企業での人材教育等、経営コンサルタントとして精力的に活動している。NPO法人ドロップシッピング・コモンズ理事長。著書多数(詳しくはこちら

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