企業のEC利用率は3割、そのうち海外向け販売経験は5割超、今後はASEAN市場に期待
日本貿易振興機構(ジェトロ)は3月7日、海外ビジネスに関心が高い日本企業約1万社を対象とした、海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を公表した。
EC利用割合は3割
国内外における販売において、ECを「利用したことがある」と回答した企業の割合は30.4%。2016年度の前回調査と比べて6.0ポイント高い。業種別では「医療品・化粧品」(57.9%)と「小売」が5割を超えている。
ECを「利用したことがある」と回答した企業のうち、「日本国内から海外への販売(越境EC)」を行ったことがある企業の割合は40.3%。前回調査と比べて9.4%ポイント上昇した。
「海外拠点での販売」の経験がある企業は22.8%で、前回調査と同じ割合だった。
「越境EC」と「海外拠点」のいずれか(または両方)を行ったことがある企業は、ECを行ったことがある企業の52.8%(前回調査比5.6ポイント増)を占めている。
海外ECの「利益・メリットあり」6割
海外向けの販売でECを利用したことがある企業で、何らかの利益・メリットがあると回答した企業は59.7%を占めた。業種別では「医療品・化粧品」が75.9%と他の業種より高い。
「メリットはない」は2.4%、「わからない」は25.1%、「その他」は4.4%、「無回答」が8.3%。
利益・メリットがあると答えた企業の利益は、 「現状、黒字である」が28.7%、「今後黒字転換する見通し」は14.4%、「赤字だが自社ビジネス全体にメリット」は16.6%だった。
「現状黒字である」と答えた企業を事業規模別に見ると、大企業は40.2%、中小企業は26.1%。
海外販売先は中国がトップ
海外販売における販売先の国・地域は、中国がトップ。2位以下は米国、台湾、香港、韓国、シンガポールと続いた。
今後3年程度で計画している販売先は、1位から順に中国、台湾、米国、香港、タイ、シンガポールとなっている。
現在の販売先と、今後予定している販売先の回答率を比較すると、新たに進出する販売先としてASEAN各国が目立った。
調査概要
- 調査時期:2018年11月~2019年1月
- 調査対象:ジェトロのサービス利用企業(=海外ビジネスに関心の高い日本企業)1万4社にアンケートを実施し、3385社から回答を得た(有効回答率33.8%)