コロナ禍で消費者の行動やニーズはどう変わった? グローバル8000人の意識調査
PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」によると、消費行動のデジタル化が大幅に加速している。
調査票を16の言語に翻訳し、22の国と地域(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インドネシア、日本、マレーシア、中東、メキシコ、オランダ、フィリピン、ロシア、シンガポール、南アフリカ、韓国、スペイン、タイ、米国、ベトナム)を対象とした8681人の消費者から回答を得た。回答者の条件は、18歳以上で前年に1回以上オンラインで買い物をした人。
世界の消費者の半数以上がデジタルへの依存を高めており、モバイルショッピングの消費が増加。実店舗での買い物がわずかな回復にとどまった一方、携帯電話を利用した買い物は急上昇している。
一方、オンラインの買い物頻度も前回調査(2021年3月)より高くなっており、「毎日オンラインで買い物をしている」と回答した人の割合が、アラブ首長国連邦、フランス、米国、エジプトといった国・地域で大きく増加している。
オンラインの買い物で重視する項目は、「配送のスピード・信頼性」「欲しい商品の在庫がある」が引き続き1位と2位を占めた。3位は、前回の「ウェブサイトを迅速かつ便利に見て回れること」から今回は「良い返品ポリシー」に入れ替わっている。
サステナビリティに配慮した買い物については、44%が「分からない」「同意しない」と回答。サステナブルな商品を購入しない理由としては、「価格が高すぎる」「商品の種類が少ない」「品質にバラツキがある」が上位となっている。
調査では、環境保護への取り組みが商品・サービスの顧客ロイヤルティに影響していることもわかった。「顧客ロイヤルティ」について重要なものは、「信頼性」「商品の入手しやすさ」「顧客サービスの質」がベスト3だが、「エシカルな取り組み」「サステナブルな取り組み」も上位となっている。
調査結果を詳しく分析すると、マチュア・ミレニアム世代(33~36歳)の「生産元が追跡可能で明確な製品を選ぶ」と、コア・ミレニアム世代(27~32歳)の「環境保護を意識し、支援する会社から購入する」が、ほぼ同じ割合。一部例外はあるが、ミレニアム世代を中心に若者世代の環境意識は高まりつつある。
オンラインで買い物をする理由を聞いたところ、多くの商品カテゴリーにおいて1位は「価格」で、他の項目を大きく上回った。
消費者が今後支出を増やす予定と回答した商品カテゴリーでは、「食料品」「食品のテイクアウト」「自宅でのエンターテインメント」がそれぞれ30%を超えた。このほか、6つ以上の商品カテゴリーで支出を増やす予定と回答した消費者の割合は23%だった。
日本市場における考察としては、オンラインチャネルにおいて利用頻度が増加しており、PCは10%から19%、モバイルは13%から22%へと、どちらも10ポイントほどアップ。ECシフトはコロナ禍で加速しているが、最も利用頻度が高いのは実店舗という事実は変わらない。消費者は「実店舗だけ」「ECだけ」はなく、「実店舗とEC」で買い物をするようになっている。