朝比美帆 7/11 8:00

BtoB-ECサイトにより注文を受けるためには、当然のことながらシステムを構築しBtoB-ECサイトを開設しなければならない。自社の情報システム部門等で開発できればよいがそうでない場合はカート・受発注システム事業者のサービスを利用したり、開発を依頼したりする必要がある。

ここではこれからBtoB-ECに取り組む事業者のために、主要なカート・受発注システム事業者について、7回に渡って各社の概要や特徴をまとめる。

 第1回 Bカート(今回)
 第2回 EC-CUBE
 第3回 ebisumart
 第4回 アラジンEC
 第5回 ecbeing BtoB / ecWorks
 第6回 SI Web Shopping
 第7回 まとめ

『BtoB-EC市場の現状と将来展望 2022』についての詳細はこちらへ

「Bカート」の概要

会社名:株式会社Dai
URL :https://bcart.jp/
所在地:京都市中京区 西方寺町160-2 船越メディカルビル(京都ヘッドオフィス)
設立:1994年9月
資本金:1000万円
代表者:木脇和政
事業内容:BtoBソリューション事業、メディア事業
社員数:30人

BtoBの受発注業務を、低コストかつスピーディーにEC化するクラウドサービスの「Bカート」。中小企業を中心に1,000社以上が導入しており、35万社以上が「Bカート」を通じた受発注業務を行っている。カスタマイズ対応をせずに、BtoB取引に必要な機能をすべて提供。クラウド型ならではの、毎月無料で実施されるアップデートも支持されている。月額費用9,800円~、最短即日で利用開始できるため、スモールスタートのニーズに応えるサービスである。

「Bカート」のサービス・ソリューション

Daiは創業以来、30年以上にわたって流通業界を中心とした仕入れ情報誌の出版を手掛けてきた。BtoBの顧客基盤を生かし、企業のホームページ制作事業を開始。その後、クライアントからの要望を受け、2005年よりBtoB取引に特化したカートシステムの開発を始めた。BtoB-ECをカスタマイズ対応せずに、クラウド型で提供するサービスである。

初期費用は8万円、月額費用は9,800円~で、コスト面における導入の障壁を払拭。中小企業のほか、大手企業の中でも事業部や商材、取引先を絞った形で行われる受発注や、予算を抑えてスタートさせたい新規事業などで多く活用されている。

BtoB取引に必須の機能は「標準機能」としてあらかじめ実装されている上、事業推進に欠かせない機能や要望の多い機能が随時アップデートされるため、導入企業は常に最新バージョンを利用できる。また、基幹システム、販売管理システム、決済サービス、WMSなど数多くの外部サービスとの連携が可能。小規模ビジネスでニーズの高いクレジットカード決済にも対応している。

ここ数年で「Bカート」の導入数は急増しているが、特にコロナ禍以降は一刻も早いBtoB-ECの開始が求められるようになったため、申し込みから開始までにかかる時間を以前の最短3日から即日まで短縮するなど、企業の迅速なDX推進に寄与する体制を整備している。

「Bカート」のポジショニング

「Bカート」のポジショニング(https://bcart.jp/feature/ よりキャプチャ)

料金体系や大まかな費用感

  • 初期費用 :8万円
  • 月額費用 :9,800〜7万9800円(※登録商品数、会員数に応じて異なる)
「Bカート」の料金プラン
「Bカート」の料金プラン(https://bcart.jp/plan/よりキャプリャ)

外部サービス・事業者の提携

ERP、在庫管理、決済、WMS、売上アップツールなど、46もの関連する業務領域のサービスと標準連携している。業務体制に合ったサービスを組み合わせて利用する仕組みのため、システムのカスタマイズが不要。開発コストが削減される上、業務の変化にも最小限のリスクで柔軟に対応できる。

また、全国のパートナー企業数は400社以上にのぼり、導入企業の事業を幅広くサポートしている。中でも「Bカート認定パートナー」は、サイト構築やロジスティクス、「Bカート」のAPIを利用した社内システムとのインテグレーションなど、BtoB-ECの要となる領域を支援する。

「Bカート」の連携サービス
「Bカート」の連携サービス一覧(https://bcart.jp/cooperation/よりキャプリャ)

導入・開発期間

 最短即日から利用可能。

「Bカート」の実績

(1)主な顧客層

●業種・業態

様々な業種・業態の企業で実績がある。コロナ禍以降、生産財のメーカーや衛生用品を取り扱う企業などが特に増加傾向にある。

●年商規模、商品特性

  • 企業規模:主に中小企業。年商1億~50億円程度がボリュームゾーンとなっている。大手企業では一つの事業部・子会社による利用や、商材・取引先を絞った形での利用が多い。
  • 商品特性:特に偏りや制限はない。

●顧客事例① 株式会社IHI物流産業システム

総合重工業メーカーの株式会社IHIのグループ会社である株式会社IHI物流産業システムは、物流機器・FA機器並びに産業機器などを手掛けてきた。

同社では、2021年7月に「環境ソリューションBU」の事業が加わった。併せて、コロナ禍をきっかけに、学校やオフィス・飲食店などからの「公衆衛生」のニーズの高まりを受け、医療機関へ提供してきたオゾン空気清浄機などの感染対策機器の販路を広げることを目的に、販売代理店向けのBtoB-ECサイト「IHI Market」を立ち上げた。

受発注の仕組みだけではなく、高出力なオゾンくん蒸機能を持つ感染対策機器について、エンドユーザーが安全・安心に利用できるように、販売代理店向けの教育用動画や説明資料をサイト上に掲載し、エンドユーザーへの情報発信と販売代理店への十分な教育が行えるBtoB-ECサイトを運用している。

株式会社IHI物流産業システム
IHI Market 販売代理店向けオンラインショップ https://iat.i9.bcart.jp/

●顧客事例② シュアラスター株式会社

1947年から続くカーワックスを始めとする老舗の洗車用品メーカー。カー用品店やホームセンターなどのリアル店や、Amazonを筆頭にオンラインで消費者に製品の提供をしている。

昨今のカー用品市場は、若者のクルマ離れなどの影響もあって、倒産や事業縮小する中間業者が増えている。大規模な小売店は代替の中間業者と取引できるが、個人経営など小規模なカー用品店などでは、これまで仕入れていた中間業者がいなくなり、商品の仕入れができなくなるという問題が発生している。「Bカート」を活用しBtoB-ECに取り組んだことで、そういった小売店の受け皿となり販路の維持や開拓につながっている。

また、1店舗あたりの受注量が少ない小規模の小売店に営業担当をつけることは難しいが、BtoB-ECサイトでは、どれだけ取引店数が増えたとしても、担当者の普段の業務量にはさほど影響はない。以前は小売店ごとに販売アイテムを絞り込むなどして営業効率を高めていたが、BtoB-ECであればフルラインアップの製品すべてが販売可能であることも売上拡大にも大きく貢献している。

また、繁忙期には社員の残業が常態化していたが、「Bカート」を導入してからはほぼ残業なしで対応できている。受注件数が増加してもそれほど人的な業務負荷が増えることはないという。そのほか、コロナ禍を背景にテレワークを推進しているが、会社以外の場所からでもほぼすべての業務の遂行が可能で業務に支障はないとのことだ。

シュアラスター株式会社
シュアラスター株式会社 https://biz.surluster.jp

(2)売上傾向

導入件数は右肩上がりで増加。2021年2月には導入実績1,000社を突破し、35万社以上が「Bカート」を通じて受発注業務を行っている 。

参考

「Bカート」の強みや他社との差別化ポイント

「Bカート」は、BtoB-ECに必要なすべての機能が「標準機能」として実装されているためカスタマイズを必要とせず、最短即日かつ低コストで開始できる。すべての導入社は最初に無料トライアルから始める仕組み。このため、実際の運用をしながら最大30日間をかけてシステムの使いやすさや自社の業務に必要な機能を確認した上で申し込みに至る点が安心材料になっている。

クラウド型で提供しているため、市場の変化や導入社のニーズに合わせたアップデートが毎月自動的に行われており、導入社は改修費用をかけずに常に最新の機能が利用できる点も支持されているという。月額費用は、商品数と会員数に応じて6つのプランを用意。最安9,800円~という低価格を実現しており、「スモールスタートから徐々に規模を拡大させたい」といったニーズにも応えている。

連携する外部サービスも随時追加しており、現在は46サービスにのぼる。BtoBの商品は画像だけで見分けることが難しいものも多く、発注者は品番で覚えているケースも多々あることから、BtoB-EC特有の検索しやすいサービスとも連携するなど、売上拡大につながるシステムもラインアップしている。また、BtoB-ECでは珍しい「レビュー」の要望にも対応するなど、導入社の細かなニーズにも傾聴しながらサポートの幅を広げている。

このほか、APIを公開していることにより、個社ごとの業務システムとのデータ連携や、サブシステムの開発もできるようになっている。

「Bカート」が見る市場の現状と展望

コロナ禍以降、BtoB、BtoCともにEC需要が一気に拡大した。ただ、徐々にリアル店舗にも人が戻っていくと考えられるBtoCと違い、BtoBは業務自体をECに載せ替えるため、一度EC化したBtoB取引は不可逆的な流れで今後も進んでいくと予測できる。

コロナ禍以前はボトムアップでBtoB-ECを進めるケースが多く、社内提案からEC開始までに時間を要しがちだったが、非対面営業やリモートワークが急遽求められるようになり、業務フローのDX推進の一環としてトップダウンでBtoB-ECを早急に始めようとする企業が増えたとも実感している。

EC化に対する取引先企業からの理解がようやく得やすい状況となり、BtoB取引をECで行うことがより当たり前な状態になっていけば、産業全体の生産性はますます向上していくと期待される。

また、今後数年間を見通しても、BtoB-ECの導入を加速させる出来事は連続して訪れることはすでに周知の事実である。2023年10月に導入されるインボイス制度により、請求業務のデジタル化が進展していくだろう。これに伴い、請求業務と関連の深い受発注業務もデジタル化が進むと考えられる。

2024年1月にはISDN回線が終了し、これまでISDN回線を利用していたEDIは別のシステムへの切り替えを余儀なくされる。このタイミングでBtoB-ECの導入が進み、EDIでは難しかったプロモーションやマーケティングにより力を入れ始める事例は増加すると推測する。

長期的な視野においても、国内の労働人口は減少の一途をたどっており、採用や長時間労働で業務負荷をカバーする体制では経営が困難になっている。BtoB-ECの活用をはじめ、業務の自動化は国内全体の課題として引き続き活発に取り組まれていくと考えられる。

このほか、昨今は通販等で自社商品をBtoCで販売していた事業者が、販路拡大のために店舗向けの卸業者などにBtoB取引を開始する事例も増えているという。店舗向けにはBtoB取引をせざるを得ないため、こういったシーンでもBtoB-ECの利用は進むと見込んでいる。

「Bカート」の今後の戦略と課題

各社とも、これまでに積み重ねてきた業務の常識から変化することに恐れを抱くことは当然であり、そこがBtoB-ECの導入をはじめとするDX化の一番の妨げになっている。しかし、1社がBtoB-ECを導入すると、その周辺の競合他社にも一気に導入が進み、特定の分野ではBtoB-ECが一般化するという傾向がある。このため、まずは成功事例を地道に作り続けていくことが重要だ。

「Bカート」を利用している企業にいた人が、「Bカート」を導入していないアナログ業務の企業に転職した際に「Bカート」の導入を進めるケースもあれば、システム会社に転職して「Bカート」とのシステム連携を進めるケースもあるという。こうした動きが広がっているのも、「Bカート」の利便性を知る人が増えている証拠と言える。今後も利用普及に尽力し、あらゆるBtoB事業者からのニーズをシステムに反映していきたい考えだ。

また、業務フローのデジタル化が進む中で、同社は受発注以外の領域でもサービス展開を目指していくという。BtoB向けにも今後様々なクラウド型のプロダクトが登場し、それらを利用する企業が増えていけば、システム間のデータ連携がより一層重要となる。このために、「Bカート」でアプリストアを用意し、カートシステムだけでは解決できないような導入社の課題を、包括的に解消できる状態を作り上げたいとしている。

『BtoB-EC市場の現状と将来展望 2022』についての詳細はこちらへ
BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引き2020[今後デジタル化が進むBtoBとECがもたらす変革]

『BtoB-EC市場の現状と将来展望2022』

  • 監修:鵜飼 智史
  • 著者:鵜飼 智史/森田 秀一/朝比 美帆/インプレス総合研究所
  • 発行所:株式会社インプレス
  • 発売日 :2022年1月25日(火)
  • 価格 :CD(PDF)+冊子版 110,000円(本体100,000円+税10%)
    CD(PDF)版・電子版 99,000円(本体 90,000円+税10%)
  • 判型 :A4判 カラー
  • ページ数 :250ページ
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