鳥栖 剛[執筆] 5/21 8:00

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む。

化粧品事業

化粧品事業では、「基礎スキンケアユーザーの拡大」「クレンジング・洗顔のシェア拡大」「基礎スキンケアユーザーへのクロスセル」「新領域へのチャレンジ」――4方針で展開、強いブランド進化に取り組んでいく。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
ファンケルは4つの方針で化粧品事業を強化していく

「基礎スキンケアユーザーの拡大」は、2027年3月期に基礎スキンケア売り上げを現在比で20%増やす。年代別の製品ラインアップを拡充し実現につなげる。

シニア向けには独立ブランドの既存製品である「ビューティブーケ」を、ファンケルのシニア向け主力シリーズとして再編する。2024年4月には医薬部外品である30歳前後の肌不調に着目した新無添加スキンケアシリーズ「トイロ」をリリース。2026年3月期中には40~50代向けの新基礎化粧品を用意する。来期から新商品郡を中心としたマーケ投資を実施していく。

「クレンジング・洗顔のシェア拡大」は新製品投入とリニューアルを実施。2027年3月期に現在比で10%増をめざす。洗顔についてはチャネル特性に合わせた製品の発売を通し、現在比で20%増につなげる。

「基礎スキンケアユーザーへのクロスセル」では、積極的な新製品発売やリニューアルでクロスセルを強化。具体的には今期中にスペシャルケア分野では主力製品のリニューアルと新製品投入を行う。メイク部門ではCCクリークの定番品化などを手がけていく。

「新領域へのチャレンジ」では、30代男性ターゲットの製品を今期中に投入する予定。キッズ向けも手がける。今期中に神奈川県の小学生と共同開発したスキンケアを発売する。

健康食品事業

「プレシニア層」(55~64歳)を開拓する。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
健康食品事業の戦略(IR資料から編集部がキャプチャ)

製品戦略として主要製品を「マイナスをゼロに(個別の悩みの解消)」「ゼロをキープ(日常の健康対策)」「プラスオン(より美しく、若々しく)」にポートフォリオを整理し、それぞれの領域ごとに顧客とのつながりを強化、新製品の投入も行い売上拡大を図る。

 

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
健康食品分野絵は製品ポートフォリオを整理し拡充を行っていく(IR資料から編集部がキャプチャ)

顧客との関係性強化

CRMを変革し、LTVの向上につなげる。

従来のKPIは新規顧客・既存顧客の売り上げだったが、「売り上げの中身は分解できるが、アクションにつながりにくい」「多様な顧客が存在するものの、具体的な姿をつかめない、想像できない」といった課題があった。

今後は、過去の顧客購買データに加え、顧客ごとの行動や特徴を多面的にデータで捉えてエンゲージメント向上を図る。分析指標として、新たにエンゲージメント向上につながる主要KPIを約15項目に再整理した。

通販・店舗の併用率、つながり率、内外併買率、店舗での接客内容など、オンラインとオフラインの両チャネルの行動を総合的に把握・分析。顧客の解像動をあげて最適なアプローチを探る。

つながり強化として、SNS やアプリ、メルマガに加え、イベントによる体験価値の最大化も測っていく。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
KPIを再整理しCRMの変革に取り組んでいく(IR資料から編集部がキャプチャ)

モール展開など外部通販強化

外部通販の売り上げ構成は通販売り上げの2割を占めるまでに成長。購入者数としては直営店舗に匹敵しているという。主要なモール内でのマーケティング強化とクロスセルで、新規顧客との接点拡大および売上拡大を図る。

モール分野ではモールごとの特性に合わせてアプローチし、外部通販専用製品の開発も検討する。クロスセル強化については、製品ページの情報拡充やセット製品の展開、クーポン販促の強化も行い購入単価アップをめざす。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
売り場ごとの特性に合わせた戦略を強化する(IR資料から編集部がキャプチャ)

海外展開強化

「中国」「ASEAN」を重点エリアに設定。中国市場は、ファンケルサプリメントとアテニア、高機能プレステージブランド「BRANCHIC(ブランシック)」を中心に強化する。ASEAN市場は、現地パートナー(代理店)と協業し、ベトナムから段階的に進出していく。

海外展開の化粧品分野ではアテニアで中国越境ECに加え、一般貿易販売を開始。ASEANはベトナムからタイ、マレーシアに広げていく。

「BRANCHIC」は中国を重点市場と位置付け、越境ECを強化。自社によるライブコマースの強化や、プラット フォームの自営店舗、美容エステサロンに展開し、売上拡大と事業の安定化につなげる。

健康食品の海外展開は、中国向けは中長期的な視点で「ブランディング」や「商品育成」に取り組む。30~40代の女性とプレシニア層を主要ターゲットに展開。一般貿易販売は、保健食品の届出を進め、将来的に高級スーパーや薬局などへの展開をめざす。ASEANはベトナムを皮切りに、新ブランドを立ち上げを検討する。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
海外事業に関する健康食品マーケットについて(IR資料から編集部がキャプチャ)

業績

ファンケルの2024年3月期の売上高は前期比7.0%増の1108億8100万円。営業利益は同60.3%増の125億7000万円、経常利益は同51.2%増の129億4000万円、当期純利益は同77.7%増の88億3300万円となった。売り上げの内訳としては、化粧品は同6.5%増の612億600万円。栄養補助食品は同9.7%増の437億22300万円だった。

2025年3月期は、売上高は前期比6.9%増の1185億円、営業利益は同15.3%増の145億円、経常利益は同12.0%増の145億円、当期純利益は同13.2%増の100億円を計画している。売り上げの内訳としては、化粧品が同5.6%増の646億6000万円、栄養補助食品は同8.6%増の474億8000万円とした。なお、直営店舗のインバウンド売り上げについては41億円(前期は24億3000万円)の計画としている。

ファンケルが策定した第4期中期経営計画(2024~2026年度)は「再興2026」と銘打ち、化粧品・健康食品それぞれ新たな層の開拓やCRM変革、中国・ASEANなど海外展開の強化などに取り組む
2024年3月期業績と今後の目標(IR資料から編集部がキャプチャ)
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