楽天グループ、総務省の「ふるさと納税へのポイント付与禁止」に改めて反対表明【楽天の主張まとめ】

総務省がふるさと納税のポイント付与禁止の動きを見せている。試行は2025年10月から。ポイント付与禁止の撤廃を掲げる楽天はメディア向けの会見を開き、今後の動きを発表した

高野 真維

2024年8月7日 8:30

楽天グループは、総務省による「ふるさと納税」へのポイント付与禁止に関する意見表明会見を実施、ふるさと納税制度への楽天のグループの見解と、今後の動きについて説明した。

楽天グループが実施した「ふるさと納税へのポイント付与禁止」に反対するネット署名は185万件を超えた(8月1日時点)。今後、さらに多くの署名が集まった時点で、署名と合わせて改めて総務省に告示の撤回を求める方針。また、告示の撤回を求めるために、総務省と継続的に対話を進めていく。

楽天会員IDを使ってネットで署名できる、ポイント付与禁止に対する反対署名
楽天会員IDを使ってネットで署名できる、ポイント付与禁止に対する反対署名

総務省は6月28日、「ふるさと納税」に関する基準の見直しを告示。「制度本来の趣旨に沿った運用がより適切に行われるため」(総務省資料より)というのが理由で、主な改正は次の2点。

  1. 募集適正基準の改正:寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること。<2025年10月1日から適用>
  2. 地場産品基準の改正:「区域内での工程が製造等ではなく製品の企画立案等であるもの」や「区域内で提供される宿泊等の役務」について、当該地方団体で生じた付加価値や、地域との関連性をより重視した形で、基準を見直すこと

告知ではこの他、2024年10月からは返礼品を強調した宣伝広告の禁止、返礼品の内容と自治体との関連性についての規定などを厳しくする旨も盛り込んでいる。

総務省は、ポータルサイトによる「ふるさと納税」のポイント付与について「ふるさと納税は“寄付”であってECではない。ポータルサイト側からの手数料徴収などの観点から、自治体の自由を妨げる」という見解。楽天グループ側の反対理由は次の通り。

ポイント付与の禁止は、地方自治体と民間企業の協力・連携体制を否定するものであり、地方自治体の自立的努力を無力化するもの。地方活性化という政府の方針にも大きく矛盾している。楽天のように地方自治体にポイント付与の負担を求めていない(※)場合には、ポイント付与を禁止しても手数料が下がることはない。

※楽天グループは、ふるさと納税のポイントの原資は自治体に請求しておらず、楽天負担としている。

楽天グループ 執行役員 渉外室長 関 聡司氏
楽天グループ 執行役員 渉外室長 関 聡司氏
楽天ふるさと納税におけるポイント原資負担の仕組み
楽天ふるさと納税におけるポイント原資負担の仕組み

ふるさと納税制度への楽天グループの見解は次の通り。

  • 地域振興や地域の自立的成長を支援することを目的に「ふるさと納税」の寄付募集をポータルサイトで行っている
  • 自治体に負担を求めないポイント付与でのプロモーションなどでふるさと納税を応援してきた。ポータルサイトにおけるふるさと納税の寄付額は年々大きくなっている
  • ふるさと納税は多くの多くの自治体にとって重要な財源となっている。また、返礼品として寄付者に贈られる地産品は地元企業の振興にも貢献している
楽天ふるさと納税におけるお金の流れ
楽天ふるさと納税におけるお金の流れ

改正の発出前、総務省からは「ふるさと納税ポータルサイトによるポイント付与に何らかの制限をかけたい」という話は聞かされていたが、制限の具体的な内容は明示されていなかった。6月の総務大臣会見で突然、ポイント付与を禁止する旨の発表がなされ、大変驚いた。

楽天グループ 取締役副社長執行役員 武田和徳氏
楽天グループ 取締役副社長執行役員 武田和徳氏

楽天グループが「楽天ふるさと納税」に参画している169の自治体に、ポイント規制の是非についてヒアリングを実施したところ、最も多いのは「中立」(82.2%)だった。

楽天ふるさと納税に参加している自治体の声
楽天ふるさと納税に参加している自治体の声

総務省との対話について、「現在、総務省と楽天グループ側の主張は両者が平行線のようだが、あくまで建設的な議論をしたい。最終的な落としどころは、現在は考えていない」(武田氏)

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