通販新聞[転載元] 4/1 7:00

ダイレクトメールや物流サービスなどを手掛けているディーエムエス(=DMS)では、物流の業務効率化に向けた最新設備を積極的に導入している。従来は人手で対応していた業務を自動化・省力化することで、「2024年問題」を背景とした物流における荷詰まり解消を実現。埼玉県内の「川島ロジスティクスセンター」を舞台に、昨年末より本格展開を開始した同社の物流効率化プロジェクトに迫る。

埼玉県の「川島ロジスティクスセンター」(画像はDMSのコーポレートサイトから編集部が追加)
埼玉県の「川島ロジスティクスセンター」(画像はDMSのコーポレートサイトから編集部が追加)

作業のスピードアップを実現するロジスティクスセンター

同センターは「川島IC」付近に位置する延床面積約23万1000平方mの物流拠点で、通販物流を軸に流通加工から保管、発送までを一貫提供している。2024年問題を背景とした経済産業省の「物流効率化先進的実証事業」の採択を受けて最新の自動化設備を導入したもので、同社が掲げる“物流DX”の最前線拠点となっている。

プロジェクションでピッキング手順を指示

ここでまず導入したのは「プロジェクションピッキングシステム®」。注文商品が収納されている棚に、上部のプロジェクターから光を照射し、作業者に手順を指示するというもの。

現在、大手食品メーカーの通販出荷業務において、棚に配置された100種類を超えるチラシの中から、1人ひとりの顧客ごとに異なるチラシを平均5~6種類抜き出して同梱する工程で活用。同梱するチラシを手順通りに光で誘導し、誤った場合にはアラートで警告するなど、ピッキングミスの防止も図れる。「正確性に加え、検品工程が省けるようになったので、作業スピードとしては以前の2倍まで向上した」(同社)とする。

自動化設備を導入している「川島ロジスティクスセンター」
最新設備を導入している「川島ロジスティクスセンター」

作業効率が最大5倍アップした自動梱包システム

厚さ2~5㎝対応の「薄型梱包機」

また、箱の製函・封函、送り状印字・貼り付け、方面別仕分けまで対応した自動梱包システムも導入薄型梱包機については、「ゆうパケット」など厚さ2~5cmのA4~A5サイズに対応しており、以前は人の手で1時間当たり150~200個の対応だった梱包作業を、5倍以上の1000個まで拡大できた。

通常宅配便対応の「ランダム梱包機」

加えて、通常宅配便(60~120サイズ)に対応したランダム梱包機も導入。こちらは1時間当たり700個を梱包でき、荷主から支給された資材も利用できるなど、自由度の高い対応が特徴となる。

さまざまなサイズに対応する梱包システムを導入
さまざまなサイズに対応する梱包システムを導入

生産性向上に貢献

同センターの場合、健康食品通販などの小型荷物の発送量が多く、アップセルやクロスセルに有効なチラシ同梱と、薄型梱包を自動化することは喫緊の課題だった。

今回の設備導入により、多様なニーズに対応できる柔軟性と、容易に対応できる拡張性を確保することができた。また、ピッキング・梱包ともに、従来は人の目や手が頼りとなっていた工程を自動化できたことで、作業者の経験や習熟度に捉われることなく工数の平準化を図ることができている。「人の手も残しながら、機械の効率性と手作業の柔軟性を融合させて、その両輪でアピールしていきたい」(同社)とした。

そのほか、生産性の向上や業務効率化は出荷処理時間の短縮にもつながっており、生産完了~トラックへの積み込み時間を早めることで、ドライバーの荷待ち時間を抑制することにも大きく貢献できている。

DMSは物流事業の強化により効率化やEC出荷の拡大を図っている。物流事業は、既存のダイレクトメール事業に次ぐ第2の柱として成長させる計画(画像はDMSのIR資料から編集部が追加)
DMSは物流事業の強化により効率化やEC出荷の拡大を図っている。物流事業は、既存のダイレクトメール事業に次ぐ第2の柱として成長させる計画(画像はDMSのIR資料から編集部が追加)

物流から販促まで一貫支援

近年は人件費や資材費など関連コストの値上がりを受けて、物流費の高騰が大きな問題となっている。その中で配送費を圧縮するためには、日々、安定した規模の出荷量を確保して、宅配事業者との間でいかに良好な関係を構築できるかが鍵になってくる。

今回の自動化推進はセンター全体の業務キャパシティー拡大にも大きくつながっており、その結果、荷主への価格提案の面でも大きな差別化が図れるようになったとした。

また、「元々、ダイレクトメールを主力事業としているため、その知見を活かした販促プロモーションや、資材の企画制作、宛名リストのデータ処理から出荷まで一連の工程をすべて自社でできることが強み」(同社)と説明。

今回の自動化と並行して、ダイレクトメールやプロモーションなど社内のさまざまなリソースを連携させることで通販物流から販促支援まで一気通貫で提供する体制を引き続き強化していく考え。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
[スポンサー]