2025年4月の値上げは4225品目、大規模な値上げラッシュが発生する見通し【食品主要195社の価格改定動向調査】
帝国データバンク3月31日、2025年4月以降の食品主要195社における食品の値上げ動向と展望・見通しについての分析結果を発表した。これによると4月の値上げは4225品目で、1年6カ月ぶりに4000品目を超える。
2025年の年間累計の値上げは9月までの公表分で1万1707品目となり、すでに前年実績の9割を超え、通年で2万品目前後に到達すると見られている。
平均値上げ率は月平均16%に
家庭用を中心とした主要な食品メーカー195社における4月の飲食料品値上げは4225品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均16%。単月の値上げ品目数としては、1月以降4か月連続で前年を上回った(+1328品目・+45.8%)。また、値上げのピークを迎えた2023年10月以来、1年6か月ぶりに値上げ品目が単月で4000品目を超える。
値上げ品目数は「調味料」が最多。次いで「酒類・飲料」
4月の値上げを食品分野別に集計すると、調理用みそ製品を中心とした「調味料」(2034品目)が全食品分野で最多。「酒類・飲料」(1222品目)は缶ビール・缶チューハイなどの酒類で一斉に価格が引き上げられる。そのほかコーヒー飲料で値上げとなり、2024年10月以来6か月ぶりに単月で1000品目を超えた。
「加工食品」(659品目)は、ハム・ソーセージ製品や冷凍食品などが多い。食用油など「原材料」(33品目)を含め、嗜好品や利用頻度の高い飲食料品が主な値上げ対象となった。
2025年通年の値上げについて、9月までの公表分は累計1万1707品目に上る。前年実績(1万2520品目)の9割超の水準に到達し、前年に比べて値上げペースが早い。一方で1回あたりの平均値上げ率は15%と、前年(17%)に比べ低下傾向で推移。食品分野別では冷凍食品やパックごはんを中心とした「加工食品」が最も多い3499品目で、「調味料」(3294品目)、「酒類・飲料」(2089品目)が続いた。飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて大幅に強まっている。
値上げ要因は原材料費に加え人件費・物流費由来が拡大
値上げ要因は、原材料などモノ由来の値上げが多くを占める。一方で、人件費や物流費などサービス価格上昇の影響を受けた値上げ要因が拡大した。
2025年における要因のうち、最も大きいのは「原材料高」(97.8%)となり、要因別の集計を開始した2023年以降で最も高い水準。トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは81.8%を占め、前月調査時(80.9%)から割合がより拡大した。「人件費」由来の値上げも45.1%を占め、前月調査時(43.5%)から拡大。最低賃金の引き上げのほか、人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増から、価格改定に踏み切るケースが増え始めたという。
2025年の値上げトレンドは、人件費や物流費などサービス由来のコスト増を要因とした値上げで拡大傾向が顕著となっている。世界的な供給難や円安による原材料・エネルギー価格が中心だった2024年前半に比べ、トレンド変化が鮮明となった。前年に見られた急激な為替の変動による値上げは一服した傾向にあるものの、天候不順による生育不良、過去の円安による肥料価格の上昇、燃油などのエネルギー、輸送費用といった間接コストが重なり、コメや野菜類をはじめとした国産食材の調達コスト増加が続いている。
東京帝国データバンクは「飲食料品の価格はプラ容器など包装資材を含め、『モノ由来』と『サービス由来』双方の値上げに影響されている。2025年の値上げ動向は全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、少なくとも今夏にかけて断続的な値上げラッシュの発生が見込まれる」とコメントしている。