『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』ダイジェスト

ユーザーの回遊性をUPする!「カテゴリの設計&引き込み導線」作り方のポイント

『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』(坂本悟史/コマースデザイン 著 インプレス 刊)ダイジェスト(第12回)

坂本 悟史[執筆], コマースデザイン株式会社[執筆]

11月10日 8:00

「お客さんが色々な商品を見て回りやすいか」の度合いを「回遊性」と呼びます。ここでは、効果的なナビゲーション設計やカテゴリの最適化、魅力的な引き込み導線の構築など、具体的な対策を通じて回遊性と滞在時間を高め、転換率を上げる方法を解説します。

サイト設計の考え方

回遊性とは、ユーザーがサイト内で複数のページを閲覧し、長く滞在する度合いを指します。この回遊性を高めることは、ECサイトの売上向上に直結する重要な要素です。

ECは実店舗と比べ、お客さんが出ていってしまう「離脱」が発生しやすいですよね。離脱する時は、検索を経由して自店舗に訪れて、そのまま検索結果画面に戻ってしまうという動き方が多いです。ECの最大の競合は、実は「ECモールやGoogleの検索結果画面」かもしれません。

でも、せっかく来てくれたのだから、自分のお店の中をあちこち見てほしいですよね。検索結果への離脱を防ぎ、お店の中を回遊し続けてもらうにはどうしたらよいでしょうか。「検索結果に戻るよりも探しやすいお店」なら、離脱はもっと防げるはずです。そのためには、検索しなくても先回りして色々提案してくれるお店、気が利いてるお店になる必要があります。
図12-1をご覧ください。

図12-1

カテゴリ整備で商品を探しやすくする

まず商品カテゴリの整備を行います。ある程度売れている本店(独自ドメイン店)であれば、SEOに直結するのでカテゴリは整備されているはずですが、ECモールの場合は、カテゴリを作り込んでいなくても商品検索経由でお客さんが来てくれるため、どうしても整備が後回しになりがちです。なんとなく感覚で増築を繰り返したカテゴリが、意味不明な状態になっていることが珍しくありません。

実店舗ならお客さんが混乱するので、すぐに店員が気づくはずです。しかしECでは気づかれないまま放置されがちです。

カテゴリの設計方法

対策としては、アクセス解析(Googleのサーチコンソールや楽天のR-Datatool)を見て、どんな検索キーワードで来店されているかを確認します。「初心者」というキーワードが多ければ、そこから想像を膨らませて、細かく刻んだ「初心者向け」「入門セット」といったカテゴリやナビゲーションを作ります。「掛け布団」であれば、タオルケット、肌掛け布団、羽毛布団、毛布などと細かく種類や用途で分けたサブカテゴリがあると、探しやすいですよね。

また、カテゴリの切り口は様々あるので、図12-2を参考にしてください。

図12-2

※簡易的にカテゴリを追加するには、「店舗内検索結果にリンクする」という方法があります。商品説明文の中に「初心者向け」「女性向け」など何でもキーワードを仕込んでおいて、検索結果に直接リンクすればいいだけです。

ナビゲーションと引き込み導線

お店のサイトは、トップページから順に見てもらえると思われがちですが、特にECモールでは、ネットショップへの入り口はトップページではありません。たいてい、検索やメルマガや広告を経由して、いきなり商品ページに入ってくる。そして、離脱します。

商品ページで離脱する理由の多くは「思っていた商品と違った」なので、検索結果画面に戻ることなく「もっとピッタリの商品」を提案できるとよいわけです。その一例が「商品比較」です(図12-3)。類似商品それぞれの違いを一覧化して各商品にリンクします。これを見れば、自分が選ぶべきなのはどの商品なのかが分かりやすくなります。

その他の店内回遊促進として、以下のような方法が挙げられます。

関連商品の提案

現在見ている商品と関連性の高い商品を適切に提案します。例えば、アパレルで、コーディネート写真から着用している他の商品に案内をするなど。追加購入の可能性を高めます。

カテゴリ間の移動を容易に

現在のカテゴリに関連する他のカテゴリへのリンクを分かりやすく配置します。例えば、メンズシャツを見ているお客さんに、ネクタイやスーツのカテゴリへのリンクを提供します。あるいは「夏のファッション特集」へのリンクを設置します。

特集ページ・セールページ

店側から「今なら、こういった商品はどうですか?」と提案するのが「特集ページ」です。実店舗で言えば、デパートやスーパーマーケットで行われる「北海道グルメフェア」のようなイベントですね。

特集ページには、「お客さんを引き寄せる効果」があります。お客さんは通常、検索結果画面を見て「この中で一番良い商品を選ぼう」と考えていますが、自サイトを見て「検索するよりもこの特集ページの中で探すほうが楽だし、良いものがありそう」と思ってもらえれば、そのお客さんはお店の中で商品を選んでくれます。

デパートのバレンタイン特設会場がまさにそれ。チョコレートや菓子店、各種ギフトを1カ所に集めることで、お客さんは断然プレゼントを探しやすくなり、「歩き回ると疲れるし、この中で選ぼう」となるわけです。

他にも、特集ページ内をお客さんが回遊してくれるので「普段は目立たない商品が売れる」、数多くの商品が並ぶので「どれかは気に入ってもらえて売れる=購入率が上がる」などの利点もあります。

特集ページのテーマは、売れ筋商品を集めた「今当店で人気の商品が勢揃い」、用途に合わせた商品選定で「ハロウィンで絶対目立つコスプレ特集」、客層に応じた「30代から始めるエイジングケア特集」あるいは「セールページ」など、様々な企画が考えられます。特にセール特集ページでは、お客さんは掘り出し物を探そうと巡回するので、「あまり値引きしていない商品」も勢いで売れる傾向があります。

坂本氏坂本氏

回遊性アップの一番のコツは、実は「余計な情報を削ること」かもしれません。お客さんが求めている情報に絞って導線を作ると、反応が急増します。

この記事は『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。

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