オイシックスが企業向けサラダデリバリーに参入、稼働率の引き上げや新規顧客の獲得狙う
オイシックス厳選の野菜を使ったサラダを企業に届けるデリバリーサービスを開始、福利厚生などのニーズを見込む
オイシックスは5月13日から、オフィス向けに自社が厳選した野菜を使ったサラダを届けるデリバリーサービスを始めた。企業が料金を負担する社員への福利厚生としてのニーズを見込む。現在、IT企業など5社への導入が決定。新規顧客の開拓を進め、早期に年間売上高10億円まで引き上げる。
サラダのデリバリーサービスは今年4月2日から実験的に開始。ソーシャルメディア支援のアライドアーキテクツなどが利用し、導入企業先のスタッフから好評を得ている。その他にはネットプライスや外資系企業など計5社への導入が決定しているという。
デリバリーできるサラダは、レギュラーサイズが800円(税込)、ミニサイズが600円(同)。オイシックスで扱う有機や特別栽培などの野菜を使ったサラダをオフィスのランチ向けに宅配する。宅配する対象地域は東京23区内で、毎週、曜日指定でお届けする。
このデリバリーサービスは、オイシックスの福利厚生の一環として利用していた。「他社にも喜んでもらえるかもしれないということでサービス化した」と高島宏平社長。近年は健康意識の高い社員の満足度を上げたい企業が増えており、企業の福利厚生としての導入も見込んでいる。
企業向けにもサービス対象を広げることで、オイシックスで取り扱う野菜の「稼働率を増やす」(同)。「サラダと出会ったお客さまが、(オイシックスの)顧客になるかなと思っている」(同)と、新規顧客の獲得につなげる狙いもある。
これは広告です
オイシックスは昨年度、新規顧客を増やすためのプロモーションとして、「どのようなチャネルで(プロモーションをすれば)どれくらい成約率があるか精査した」(高島宏平社長)。
イベント出店などのオフラインの場でそれなりの成果を上げているようで、「オンライン事業者でもペイすることができる時代になった」と高島社長は手応えを感じている。
サラダデリバリーは野菜を消費する稼働率を引き上げる狙いもあるが、健康意識の高い社会人にアプローチする目的の方が大きい。オイシックスのサラダデリバリーを導入している企業のスタッフによると、「とても評判がいい」という。利用者がECの顧客にどれだけ転換し、優良顧客になるかは不明だが、オンライン専業企業があの手この手を使って、オフラインの潜在顧客にアプローチする時代がやってきた。
EC専業企業はこのままオンラインにとどまっていてもいいのか。オンラインとオフラインの垣根が少しずつ無くなってきている今こそ、ビジネスモデルについて再考する時期になっているのかもしれない。