レッドブル、ネスプレッソなどメーカー系の通販サイトが「ハイブリス」を選ぶ理由
SAPジャパンでは、オムニチャネル・コマース・ソリューション「hybris Commerce」の提供を行っている。「hybris Commerce」の強みはどこにあるのかについて、現在のEC市場の動きと合わせて阿部匠ソリューション・エンジニアリングディレクターに話を聞いた。写真:山中智衛
デジタル化によりメーカーと消費者が直接つながる時代に
従来、メーカーは消費者との関係づくりを進めておらず、むしろ消費者との関係については既存のエコシステムである小売りの販売ルートに頼っていました。しかし、最近ではデジタル化により、メーカーであっても消費者と直接情報を発信できたり、商品を販売できるようになっています。消費者にとってはメーカーから直接情報を得ることで、最新の情報を得られるとともに、より、そのメーカーの取り組みなどを知ることになり、メーカーと消費者が感情的につながるようになっており、より深い関係づくりができるようになってきています。
つまり、メーカーにとってはオムニチャネルとはコマースの話ではなく、マーケティングそのものであり、従来のエコシステムを大きく変革させることにつながるというわけです。この変革を最も先立って進めることで、エコシステムを変革し、小売りに対して価格決定権などを取り返すことができたのがアップルという会社です。
マーケティングまで行えるコマースシステム
こうした動きは、アップルだけでなく、多くのメーカーで進められています。エナジードリンクを製造・販売するレッドブルもそうしたメーカーの1つです。
レッドブルでは、「エナジードリンクを飲みたい」と思うユーザーを増やすよりも「レッドブルを飲みたい」というユーザーを増やすため、デジタルマーケティングを進めています。具体的には、まず様々なログを保有することで、PCからのアクセス、モバイルからのアクセス、SNS上でのアクセスなどを統合し、Aというユーザーが過去にどのような動きをしているかを把握しています。そして、AというユーザーがレッドブルのECサイトでレッドブルのロゴが入ったトレーナーを買った際に、過去のデータと紐づけ、どのようなことに興味を持っているか、どのようなルートでレッドブルに興味を持ったかを把握するようにしています。
ほとんどのECサイトでは、購入した時がスタートであり、その後、ユーザーの動きを把握していきますが、レッドブルでは商品を購入した段階で多くのユーザー情報を持っているため、顧客との深い関係づくりが行いやすくなっています。
また、ネスプレッソではサイトとリアルの売り場を同じブランディングで統一することで、「ネスプレッソで有意義な時間が欲しい」というユーザーを集め、利用体験から、最終的にサイトでのコーヒーカプセルのリピート購入につなげています。
こうした、取り組みはECシステムだけでは構築することができず、ビッグデータの処理や分析の機能がシームレスにつながっていることで行えるマーケティングとなっています。こうした、マーケティングまで行えるコマースシステムとして提供しているのがハイブリスの特徴です。
とはいえ、最初からマーケティングまで含めて、計画を練って導入するという企業は多くありません。ハイブリスでは段階的に導入できるようにもなっていますので、事業の進捗状況に合わせて、ビッグデータとの連携や分析システムとの連携などができる仕組みになっているので、将来的にコマースを中心としたマーケティングを行っていこうと考えている企業にとって、最適なシステムといえます。