定価販売が基本のメーカーが通販・ECを行う際、他店で2~3割引きが当たり前に行われている商材で売り上げを伸ばすことはなかなか難しい。タカラトミーも同様で、商品は他社のECサイトで割引販売されている。そんな環境下でも3年連続でEC売り上げが倍増しているというタカラトミー。どのような手法で売り上げを伸ばしてきたのか? メーカーとしての基本的な取り組みや、玩具メーカーならではのユニークな手法などをタカラトミーの次世代マーケティング室WEB部・中村駒夫部長が語った。

Webオリジナル商品が売り上げの4割

タカラトミーは現在、ECサイト「タカラトミーモール」で自社の商品である「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」「トランスフォーマー」「ゾイド」などを定価で販売している。

顧客属性を男女比で見ると、やや男性のほうが多く、30~40代が中心。この年齢層は2つに分けることができ、「自分のために購入する人」「いわゆるマニアな人」「家族がいて子供のために購入しているユーザー」に分かれる。

アンケートを取ってみると、30代男性の77%が「自分のために購入するユーザー」で、30代女性では「家族などのために購入するユーザー」が70%という。

デバイス別の訪問割合は、2016年1月時点で約58%がスマートフォン、8%がタブレット経由。一方、購入率は51%がPC経由という。ただ、スマホ経由の購入率が年々増加傾向で、今後スマホがPCを抜くようになるのではないかとしている。

そのため、メーカー通販・ECといえどもスマホ・タブレット対策はとても重要になっている。

タカラトミーがECの売り上げを伸ばしている理由は、Webオリジナル商品を数多く用意している点があげられる。「トランスフォーマー」「トミカ」などのWebオリジナル商品を用意し。ECサイト売上の約40%を占めているという。

定価販売が基本のメーカー通販・ECでは、オリジナル商品がまずお客さまに興味を持ってもらうきっかけとなり、集客の大きな役割を果たす。そのためNB商品を買ってもらうためにも、オリジナル商品展開は必要だ。

ECサイトで株主優待、社内販売、ニコ生などさまざまな試み

タカラトミーではECサイトを使ったさまざまな試みも行っている。

成功した試みとしては、株主優待割引をECサイト上で行っていることをあげる。従来は、「トミカ」や「リカちゃん」といったアイテムを株主にプレゼントしていたが、株式を長期保有するほど高い割引率で商品をECサイトで購入できるようにした。これによって、安定して長く株式を保有してくれる個人株主が増えたという。

また、社内販売をECサイトで行ったことで売り上げを伸ばし、社員に自社でもECをやっていることが啓蒙できるようになった。「メーカー通販・ECをやっている会社は是非ともやってもらいたい試みだ」と話した。

ニコニコ生放送を使ったライブショッピング番組も売り上げにつながっている。「週刊タカラトミーちゃんねる(仮)」という番組枠では、その中で新しく販売した商品について説明したり、おまけで付けるアイテムを紹介。視聴者がすぐに購入してくれるため、瞬発的に売り上げをたたき出すことが可能という。

週刊タカラトミーちゃんねる(仮)

一方で、失敗した試みもある。「トミカショップ」で提供している、その場でオリジナルのトミカを作って手渡ししてくれる「トミカ組み立て工場」をECサイトでも再現。動画などを使って、その場で手渡しするような仕組みを整えたが、1台購入648円に対し、送料が540円かかるといった割高感があり、転売する人が大量に購入するケースが相次いだ。そのため、現在はサービスを休止しているという。

こうした売り上げを伸ばす試みを行っているが、中村氏はメーカーが通販・ECを行う意義は売り上げを高めるためではなく、

  • 購買データの獲得
  • 購買分析情報
  • 会員アンケートの実施
  • 会員向け情報発信

といったマーケティング活動の一環にあるとしている。

メーカー通販・ECは売り上げを伸ばすことが重要なわけではない。メーカーのマーケティング活動として何が重要かを考えながら運営していくことが必要だ。

会場の様子
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中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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