アラタナECコンサルがお伝えするECビジネスの課題を解決するヒント

集客力を持っているメディアがECを始める際の注意点

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アラタナ ECマーケティング支援サービス「ECコンサル」

2016年9月1日 7:00

オウンドメディアのEC化について考える

「運営しているオウンドメディアのPVが伸びてきて、次の一手としてECサイトを作りたい!」というご相談を、最近ちょくちょくいただくようにになっています。「運営するオウンドメディアのトラフィックが増えたから、このトラフィックを利用して新規事業=ECで収益を上げたい」というのは自然な気持ちだと思いますので、今回は「メディアのEC化」について私なりに考えていきます。

オウンドメディアがEC化を考えるタイミング

だいたい月間のPVが数万を超えてくると、オウンドメディアをEC化しようか、という声が社内であがってくることが多いように感じます。

このトラフィックをなんとかマネタイズできないだろうか…と考え始めるのがそのくらいなのでしょうか。

ジャンルや商材にもよりますが、たとえば月間500万円の売り上げをつくるECサイトの場合、客単価1万円、CVRが2%と仮定すると、単純に計算して2万5000のアクセス数が必要になりますので、タイミングについてはうなずけるような気もします。

EC化するには

メディアにEC機能をつけて収益を出していくためには、そのメディアが発信している情報の分野において一定以上の価値があることが絶対に必要です。

この点については、当社顧問の土屋が以前別の記事で下記のような形で触れていました。

メディアコマースが可能となるメディアの条件

メディアが持つ付加価値をここでは、カテゴリバリューと呼ぶことにしますが、このカテゴリバリューががあるかどうかです。

このカテゴリバリュー(メディアの持つ付加価値)と、カテゴリバリューの確立・拡大・成長には一つのサイクルがあると考えました。

特定カテゴリへ向けたコンテンツが提供される
    ↓
特定カテゴリを嗜好するユーザーに好まれる
    ↓
より特定カテゴリの先鋭的なコンテンツが集中する
    ↓
さらに、深い嗜好性を持つユーザーが集客される
    ↓
深い嗜好性を持つユーザーが集客していることがコンテンツの持つ意味合い(ストーリー)をより拡張させる

このステップが、ネットワーク外部性を産み出し続けるものとなります。コンテンツが価値を持ち、そのコンテンツに集まるユーザーに価値を感じるユーザーがさらに集まるというサイクルです。

大前提としては、このコンテンツのカテゴリ(クリエイティブの方向性)コントロールを維持するという難易度の高いハードルが存在します。ある意味、特異なセグメントされたセグメントメディアとも言えます。

これはECサイトで売上を作っていくときの基本となる「ペルソナを設定して販売戦略を立てる」部分に近しいところです。

ペルソナ設定についてはこちらの記事”ネットショップは分析命!ペルソナの作り方”で書いています。

要はペルソナを設定するための素材となる情報がそのメディアに蓄積されていれば、その人たちに何を販売するのか、どのような商材が求められているのかが自然と見えてきますので、ECサイトとしてしっかり売上を作っていく道筋が見えやすいと言えます。

EC化は難しいパターン

オウンドメディアのトラフィックはある程度確保できている、コンテンツを継続的に書いていくことが可能な体制になっている、という状態であっても、EC化をおすすめできない場合もあります。

たとえば、

  • 広く情報を提供している場合
  • フロー型の情報提供をしている場合

などです。

広く情報を提供している場合は、上記土屋の記事で言及している「カテゴリバリュー」が形成されにくい傾向にあります。

ECサイトとして物販をする際にペルソナが設定しづらく、ターゲットを絞りきれないことでうまく商品の訴求ができずに、ECが軌道にのらない、という事態が想定できるパターンです。

フロー型の情報提供をしている場合も同様に「カテゴリバリュー」が形成されにくい傾向にあると言えます。
SNS上でいわゆる「バズらせる」ことで一定数以上のアクセスを獲得することができても、そこには特定のカテゴリに造詣の深い、いわばマニアックな集団というのはなかなか形成されないので、トラフィックを作ることはできても、それをECという形につなげていくのは、なかなか難しそうに思えます。

まとめ

私たちが普段サービスを提供しているお客様は、先にECサイトがある状態で、それをメディア化したい・メディアを新設してECサイトの集客につなげたいというパターンが多いです。

このような場合は、しっかり自社の状況を確認し、ECの売上アップのためにいま必要なのは本当にメディアなのかということをしっかり見極めてすすめましょう、というお話をしています。

今回書いたように、先にメディアがあってあとからEC機能をつけることについては、結論としては是も非もなく、社内と周囲の状況によってベターな方を選択するのがよいのでは、というのが現時点での私の感じるところです。

ECサイトとメディアは本当に切り離せない関係になっています。この2つのことでお悩みのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

「ECコンサルコラムサイト「ECコンサル」」掲載のオリジナル版はこちら:
オウンドメディアのEC化について考える(2016/08/29)

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