アトピーで肌の弱いわが子のために、独学でせっけん作りを学び、肌に優しい素材を選び抜いてせっけんを手作りした女性がいた。2年後、わが子は完治。「同じように肌トラブルに悩む人に使って欲しい」と、おすそ分けを続けるうちに評判が評判を呼び、気付いたらお店になっていた……。

ナチュラルコスメブランド「monday moon(マンデイムーン)」は、そんな背景から生まれたショップだ。ナチュラル志向の女性から支持を集め、女性誌や大手クチコミサイトでも評判の高い人気ショップだ。

初めてせっけんを作ってから13年。瀬戸内海に面した四国の玄関口、徳島県徳島市にオフィスを構え、15人の従業員でビジネスを展開している。

製造から発送まですべて社内で

monday moonのオフィスは、徳島駅から車で10分ほどの閑静な住宅街にある3階建てのビル。1階は総務とデザイン室、2階は製品開発と商品作成、3階は梱包作業と在庫管理という業務体制。

すみずみまで清掃の行き届いた清潔感のあるオフィスでは、材料の輸入、製品の精製、受注処理、梱包、発送といった、業務に関する一連の作業をワンストップで行えるようになっている

すべての工程がオールインワンになっているので社員間での意識共有も高く、活発に意見を交わしやすい雰囲気がある。

monday moonの商品
monday moonはフェアトレードの素材を使用したスキンケア製品を取り扱い、手作りコスメの原料まで販売しているのが特徴。中でも一番の人気製品は、高品質で手頃な価格のアルガンオイル
monday moon社内風景
女性用化粧品を取り扱うこともあって社員の女性率は高め。オフィスに社長室はなく、社長と社員が直接会話する機会が多いことも、オープンな雰囲気に貢献している
こども食堂の様子
社長の青木陽子氏の視線は、企業としての成長だけでなく地域社会にも向けられている。お腹をすかせた地域の子どもたちに居場所と食事を提供する「こども食堂」の活動に参加している。この日は小学生を中心に100人以上が集まり、ボランティアスタッフが餃子や焼売などを振る舞った

monday moonのバックヤードでは、下記のような分担で注文から発送までを行っている。

  1. 自社サイト、Amazon、楽天市場、各店からの注文の処理や、問い合わせ対応を行う
  2. 出荷確定した注文をプリントアウトして出荷場に渡す
  3. 注文と照らし合わせてピッキング、検品、梱包して発送

それぞれの業務の担当者に話を聞いた。

電話の声に表情を乗せる

お客さまとの最初の接点・受注のメールを担当するのが、永井あゆみさん。注文の情報は商品と個数がメインだが、備考欄にはお客さまの気持ちが込められていることもあり、密なコミュニケーションが始まるスタート地点ともいえる。

monday moon 永井あゆみさん
monday moon 永井あゆみさん

「ひとつ間違えればもうショップに来てくれないかもしれない」。永井さん自身はそんな緊張した意識で対応を行っている。

ただホームページを見ているときよりも、電話やメールでやり取りをしたことの方が印象は強く残りますよね。monday moonを次回も使っていただけるかどうかは、結構私たちにかかっているかなと思っています。

「こんなことでも電話していいんだ」とか「メールの返信がすぐ返ってきた」とか、そういう安心を持っていただけるような部署になりたいです。

永井さんは仕事をしているうちに、ひとつコツを憶えた。見えない相手の表情を知りたいから、まずは自分から声に表情を乗せる。面と向かって話すときの何倍も表情を付けて話さないと、自分の気持ちは相手に伝わらないと考えている。

monday moon製造風景

声に表情を乗せることによって、丁寧な対応がいいのか、フレンドリーな対応がいいのか、相手の好みを察しやすくなり、会話のバランスを調整しやすくなったそうだ。そんな風に気持ちのこもったやり取りができるのはなぜなのか。

組織の一員として、会社を回していこうという意識ができたからだと思います。入社時はデザインの補助に始まって、製造や出荷など社内の業務を一通り経験しました。それによって各部署それぞれの苦労がわかり、全体を回していこうという意識ができました

monday moon社内風景

ときには苦言を受けることもある。そういったやり取りの後はどうしても気持ちが沈みがちだ。しかし、どんなに落ち込んでも、次に対応するのはまったく別のお客さま。失礼な対応はできない。永井さんは気持ちの切り替えを毎回意識的に行い、数分前の出来事を引きずらないようにしている。

この仕事のやりがいを聞くと、「メールでやり取りをした方から再度注文をいただけると嬉しいです」と答えてくれた。顔の見えないミュニケーションでも気持ちが伝わった結果なのだ。

monday moon製造風景

「できません」で終わらせない

monday moonの顧客対応を支えるもう1人が、伊勢奈緒美さん。永井さんが受ける問い合わせの中には「洗顔料の粒の大きさをミクロン単位で教えてほしい」というような専門的な質問もある。そんな時は学生時代に化学を学んだ伊勢さんにメールや電話を引き継ぐ。

monday moon 伊勢奈緒美さん
monday moon 伊勢奈緒美さん

伊勢さんは専門知識を活かして、monday moonの新製品の開発にも携わっている。トレンドに合った商品やお客さまの要望に応える商品など、社長と相談しながら材料を仕入れ、ラインナップに新たな彩りを加えている。

monday moon製造風景

伊勢さんも永井さんと同じようにインターネットからの注文は顔が見られないことが問題だと考えている。

オンラインショッピングに不慣れなお客さまからの問い合わせもある。商品点数が多いため、それぞれの魅力が伝わりにくい部分もある。伊勢さんが心がけていることは、電話の場合は、お客さまの悩みを聞いてから製品をすすめること。メールの場合は文面をコピー&ペーストせず、毎回キーボードで書くこと

それによって「女性ならではのやわらかで気持ちのこもったやり取りができるようになった」という。

monday moon製造風景

お客さまとの会話は「できません」で終わらせるのではなく、代替案を提示するようにしています。納得していただける場合が多いですね。

伊勢さんを指名した連絡も増えたという。

お客さまと私たちのやり取りは一対一

永井さんがプリントアウトした注文のメールを受け取るのが、出荷担当の紀本理巴さん。1日に数百個の注文商品を数名で梱包する。

monday moon 紀本理巴さん
monday moon 紀本理巴さん

受け取る人に喜んでほしいという気持ちを込めながら、注文の商品をピックアップし、検品、梱包を行う。商品に髪の毛などが混入しないよう、全員が白衣に着替えて作業にあたる。ただ梱包するわけではなく創意工夫も盛り込んでいる。

開けやすいようにリボンを付けるなど、梱包の仕方を工夫しています。梱包した人が納品書に印鑑を押して、少しだけ存在をアピールしています。そこが私たちのモチベーションにつながっているんですよね。

monday moon ご注文ありがとうございました

作業量はとても多いが、仕事をする上での心掛けをこう語った。

梱包や発送は“作業”になってしまいがちですが、お客さまにとってmonday moonとはひとつだけ。お客さまと私たちのやり取りは一対一です。だから、絶対にミスが出ないように心がけています。

その気配りの積み重ねで出荷のクレームはない。品質マネジメントシステムの国際規格 ISO9001を取得した。紀本さんは普段から商品レビューを閲覧しているという。

直接お客さまの声を聞くことは少ないんすけど、レビューで「商品無事に届きました。ありがとうございます」とか「使ってみて良かったです」という声を見ると本当にすごく嬉しいです。「こういった点が良くなかった」というレビューもあるので、改善点だと思って参考にさせていただいています。クレームの予防になるんです。

monday moon製造風景
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この記事はB.Y(CROSSBACKYARD.COM)の協力のもと、「STORY of BACKYARD」に掲載された記事をネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。オリジナル記事では動画をふんだんに使ったコンテンツをお楽しみいただけます。オリジナル記事へは下記のリンクをご利用ください。

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B.Y

B.Yは、普段表に出ないEコマースのバックヤード(受注、出荷、顧客対応)担当者を取材した“日本初”バックヤードに特化したWEBメディア。 バックヤードの人々が実践する「運用業務の創意工夫」「仕事への向き合い方」をSTORY、「バックヤード運用ノウハウ」をTOPIC、として発信している。本来Eコマースがもつ可能性を拡げ、バックヤードの人がいきいきと働けるキッカケを提供することでEC業界全体を支援している。

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