瀧川 正実 2018/5/29 9:00

プリントメディアが持つ高いレスポンスの強みはそのままに、(紙媒体の)課題だった最適なタイミング・最適なコンテンツによるCRMを、デジタルマーケティング施策と同列で実現することができる――。

レスポンスが(Webよりも)高い傾向の紙媒体、1人ひとりに最適なタイミングで最適なコンテンツを配信できるデジタルという両者の強みを融合した新しいEC向けのマーケティングツールが誕生した。

名称は「Re;p(リップ)」。ファインドスターと、デジタル印刷テクノロジーを活用したプロダクションワークフロー構築を支援するグーフが共同開発した。

ファインドスターと、デジタル印刷テクノロジーを活用したプロダクションワークフロー構築を支援するグーフが共同開発した「Re;p(リップ)」
「Re;p(リップ)」の仕組みと特徴

ファインドスターは蓄積してきたダイレクトマーケティング領域のノウハウを活用し、シナリオ設計・運用、レスポンスを最大化させるクリエイティブのA/Bテスト実行をサポート。グーフはデジタル印刷機で培ったプリントメディアの生産性コントロールノウハウを用い、「1枚でも1万枚でも同じ納期・同じコスト(単価)」を実現する支援を行う。

ファインドスターは「企業の顧客体験価値を向上させるソリューションとして提供が可能になる」としている。

ファインドスターと、デジタル印刷テクノロジーを活用したプロダクションワークフロー構築を支援するグーフが共同開発した「Re;p(リップ)」
グーフが保有する技術などを活用して「Re;p(リップ)」をサービス化した

MAツールとの連携で実現するプリントメディアの自動最適化

「Re;p」導入企業がMAツールを利用している場合、ソリューション連携でプリントメディアを活用したリテンション施策の自動最適化も可能になるという。

たとえば、ECサイトで一般的な「カゴ落ちメール」のシナリオ。Eメールと同じタイミングで紙DMの発送手配をかけるといった施策も行うことができる。

ファインドスターと、デジタル印刷テクノロジーを活用したプロダクションワークフロー構築を支援するグーフが共同開発した「Re;p(リップ)」
MAツールとの連携で、さまざまな施策が実行できるようになるという

プリントメディア・デジタルの強みと弱みが融合

DMなどプリントメディアによる顧客へのリテンションは、リーチ率やクリエイティブの高さなどから高いレスポンスを成果をあげてきた企業が多い。

しかし、制作などの準備期間に時間を要するため、メールやアプリのプッシュ通知のように、即時に顧客1人ひとりへ最適化したリテンション施策として活用することは困難だった。

一方、近年のデジタルマーケティングでは、メルマガ開封率の低下、クーポンなどのインセンティブを前提としたリテンションの乱発などが課題としてあがっている。

こうした課題の解決策の1つとして、デジタルとアナログを融合したマーケティング手法が台頭してきたのがここ1年。

紳士服大手のAOKIは2018年2月、ファッションブランド「ORIHICA(オリヒカ)」で、Eメールとダイレクトメール(DM)を併用した販促を実施した。「一見顧客」「休眠顧客」「離反顧客」を、それぞれ「Eメールのみ」「DMのみ」「EメールとDM」の3つのグループに分けて販促効果を調査。

その結果、「DMとEメール」で告知した場合は「Eメールのみ」の告知よりもCVRは2.5倍、売上金額は1.9倍に増加した。特に「離反顧客」では「DMとEメール」のCVRは「Eメールのみ」の3.9倍、売上金額は2.9倍だった。

ディノス・セシールは2017年11月1日、「EC」とカタログやDMなどの「紙」をリアルタイムで連携させたCRMの運用を開始すると発表。第1弾として、「ディノスオンラインショップ」においてカートから離脱した顧客に対し、内容を顧客ごとに最適化した紙のDMを最短24時間で発送する取り組みを行っている。

2017年9月末から2週間、試験的にこの施策を運用したところ、カート離脱対策メールだけを送った顧客に比べて紙のDMも発送した顧客の購入率は約20%向上したという。

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